12 試験
街は観光客用の街とはうってかわり、ちゃちな作りの建物が建ち並んでいる。すぐに壊れるから簡易な建物にしているのだとか。街にいる人達も殺気立っている人たちがおおい。
街に入ってすぐのところ、大きな建物が目に入る。衛兵さんが言っていた受付があるところってここかな。
建物の中に入るといくつか受付があった。空いているところをみつけて話を。
「ここはバトルタウン参加者受付になります。あなたは参加希望者ですか?」
「はい」と返事を返すと手続きが始まった。名前の記入欄で手が止まる。素性を隠しているから別名にしたほうがいいよな、では「サイゴ」で。
まずは試験があるとのこと。ある程度の実力がないと街には入れないようだ。
「それからこれを。あなたの試験番号は20番になります。当日これを胸元につけてお越しください。今回は以上です。試験は5日後、待機宿泊所は街の西側にあります」
手続きが終わり街の西側にある宿泊所へ。荷物を置くと街へと繰り出した。あちらこちらで戦闘が行われている。そのためか街は非常に広かった。
お金持ちの人たちも多数見かける。彼らは建物の2階バルコニーから優雅に観戦していた。
ミアとイリスをみつけた。声をかけたかったがここは我慢。ここに来るまでいつも一緒だったからちょっと寂しい。
5日後、試験を受けるため宿泊場近くにある訓練場へ。俺以外にも多数の人達が。30人くらいはいるだろうか。
「これから街入試験を始めます。では面接から、5箇所あるんで空いている所に並んでください」
面接か、確かに話をするだけでもある程度の情報は手に入るからな。そうこうしているうちに俺の番が。面接官の前に座り話をする。
「よろしくおねがいします。それではいくつか質問を。あなたがここへ来た理由、目的等をお教えてださい」
ふむ、ここは正直に答えたほうが良いよな。理由、目的か。特にないな、彼女たちについてきただけとも言えるか。
「なんとなく」と答えると面接官は渋い表情を。他、クラスも聞かれた。これまた渋い表情をする面接官。
「……単刀直入に申しますが、デバッファーでは無理だと思います。魔術士というだけでも不利なのにそれがデバッファー。そもそもデバッファーで強い人なんて聞いたことはありませんけど」
そうだよな。1対1では魔術士より武器戦闘職の方が有利だろう。遠距離スタートならまだなんとかなるかもしれないが、いや結局近づかれてしまうと攻撃を防ぐ手段が少ない魔術士はほぼ負けが確定か。しかもデバッファーだからね。
それでもがんばります、とアピールし面接は終了。
次の試験のため皆で移動。連れて来られた場所には大きい機械が。その先端に円状の金属がついており、機械の隣にはハンマーが置いてあった。
「ハンマーでこの検査機を叩いてください。それから今後、3つの身体能力を計る試験はスキルを使わないようにしてください。純粋な身体能力をみたいので」
力を見る試験かな。
試験を受ける人の中からステータスが高ければ試験をせずともそのまま街にはいれるのでは? という質問が。試験官の人の話によると昔、虚偽の申請や職員がステータスの情報を他の人間に売り渡したりと問題が多発したため試験で直接見る方向になったとのこと。上位まで行けばどのみち情報はほぼ出ちまうがな、とも。皆うなずき納得する。
順番に検査機を叩いていく。そして俺の番。
「アイツ魔術士じゃないか」「冗談だろ」と声が聞こえ周りがざわめきはじめた。笑い声も聞こえてきた。そうだな、逆の立場なら俺も腹を抱えて笑っていたのではないだろうか。
さて、問題はどの程度の力で叩くか。加減しすぎて落ちましたってのが一番つらいだろう。仮面をしているし身バレもない。前に岩を破壊したときは2割位の力だったかな。それよりももっと強め、6割位で叩いてみるか。
ハンマーを持ち上げる。体を捻りハンマーを振り抜き金属にぶつけた。激しい金属音が鳴り響いた後、金属部分は大きく変形。機械は吹き飛びながらこの部屋の壁を破壊、奥の方でもいくつか壁を破壊して止まった。
皆の動きが止まる。
「……は?」
「き、機械の故障かな? 隣の部屋にも機械があるから皆そちらへ」
「なんだ、故障か」
力の測定が終わったら全員外へ。お次は速さを調べる試験、短距離走を。スタート地点に大きな鐘、ゴールに砂時計が置いてある。
番号の小さい順に4人ずつ、スタートラインへ立つ。鐘を鳴らしスタート、同時にゴールにいる人が砂時計を回転。到着順に砂時計をまたひっくり返している。あれで時間を計っているのか。
そろそろ俺の番。どうしようかな、あまりにも遅いと落とされるだろうか、となると早いほうが良い。ここも6割位の力で。
俺の番が来る。鐘の音を聞いて猛ダッシュ。ゴールにいる人は砂時計を回転させた後、あくびをした。
俺は土煙を上げながらゴール。ゴールに居た人はあくびを止め、何事かと一瞬考えてから砂時計を回転。その少し後に他の人達もゴール。
スタート地点に居た人がこちらに。
「い、今のは? あれ、ものすごい速さに見えたけどそんなでもないんだな。目の錯覚ってやつか」
「は、はい」
砂時計を見て納得している。砂時計を回転させるのが遅かったんだけどね、まあいいか。他の人より速いから。




