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10 強敵

 余裕を見せていた冒険者たちに緊張が走る。ドラゴンはゲーム中盤以降にあらわれる魔物。とても強く、出現したら戦わず逃げたほうが懸命なくらいだ。

 

 ドラゴンたちの姿がはっきりと見えてきた。全部で3匹、前に2匹のドラゴン、そして後ろには前にいるドラゴンよりも2回りは大きいドラゴンが。


「オーガドラゴン! ドラゴン2匹だけでもきついってのにそのうえあんな大物まで。冗談じゃねえ、撤退するしかねえ」

「しかし俺たちが逃げたら!」

「住民たちのことなら大丈夫だ。各避難所から裏山へ逃げる隠し通路が伸びている。街は諦めるしか無いがな。伝令、各避難所に逃げろと伝えてくれ。お前ら、全員撤退だ!」

「そうか、なら遠慮なく!」


 撤退の指示が出る。衛兵、冒険者たちは一斉に逃げ出した。オーガドラゴンはゲーム後半の敵。メイン近接攻撃とドラゴンの中では特殊なタイプ。後半登場の敵だから当然強い。

 ミアが「なんとかならない?」と俺に言う。たしかに俺はステータスが高いから、倒せる可能性は高い。

 

 頭を捻って考える。目立ちたくはないな、3人でいけないだろうか。1匹2人に任せて残り2匹を俺がやれば倒せるか。まだ2人ではドラゴンは早いかもしれないが補助すればなんとかなるだろう。やってみるか。


「やろう。先頭で飛んできている1匹は二人に任せる。もちろん補助はする。俺がドラゴンにスキルをかけたら全力で頭を叩いてくれ」

「わかった」


 冒険者達と一緒に逃げるふりをし、頃合いを見て隠れる。そして皆が遠くへ行ったのを見てまた外壁の上へ。そろそろ1匹目が到着、緊張で頬に汗が伝う。

 射程内に入った。俺はスキル、アーマーバニッシュをドラゴンに向け放つ。問題なく命中。


「ミア、イリス、今だ!」


 2人はドラゴンの頭に向かって飛び込む。イリスが剣で突き刺し傷をつけ、ミアが同じところを狙って炎をまとった一撃を食らわせた。頭部は大きく陥没、ドラゴンは力なく落下していった。よし、まずは1匹。

 

 だが喜んでいる暇はない、次は俺の番だ。2人に逃げるよう伝える。後続のドラゴンが来た、そいつは炎を放とうとしている。ムーブスロー、放たれる前にこちらのスキルを食らわせた。途端動きが鈍くなるドラゴン。空を飛んでいるのがやっとの状態、そして徐々に落下。炎を上に吐きながら必死に翼を羽ばたかせている。


 今度はオーガドラゴン。ヤツは遥か上空にいる。俺の真上に来ると羽ばたきを辞め、頭を下にしてこちらに向かって落下してきた。見るにこのドラゴンは下半身が非常に発達している、落下の勢いをつけた蹴りを俺に食らわそうってところだろう。

 落下してくるオーガドラゴンはまるで隕石。爆発音にも似た落下音を聞きながらそのタイミングを待つ。


「ショックスタン!」


 射程に入ったオーガドラゴンにスキルを放ち、逃げる意味も含めてゆっくり落下しているドラゴンに向かって飛ぶ。必死に羽ばたいているドラゴンの横っ腹を叩く。ドラゴンの腹部は破裂、地面へ落下した。

 

 オーガドラゴンはどうだ。外壁に衝突する手前で意識が戻ったようだ。だがもう遅い、体勢は立て直せない。頭から落下したからそのまま外壁に頭がぶち当たる。外壁が衝突音と共に、盛大に崩壊した。


「ギヤァ……」


 そんな状況だったがオーガドラゴンはまだ動いている。

 瓦礫を弾き飛ばしながら、オーガドラゴンは立ち上がった。だが、首が変な方向に曲がっている。そこに向かって飛び上がりハンマーを叩きつける。首が完全に折れ、オーガドラゴンはその場に倒れ込んだ。


「すごい、オーガドラゴンを倒した……」

 

 2人がこちらに駆け寄ってくる。なんとか倒した。

 

 それにしても大きな牙に大きな角だ。見た目的に恐ろしい顔をしている。そうだ、オーガドラゴンの牙と角は結構レアだったはず、もらっておこう。角と牙を叩き折ってアイテム袋に入れる。その後は「逃げるのに手間取った」と適当なことを言って冒険者達と合流。

 

 2日後、街の人たちも帰ってきて、街に活気が戻る。

 これからこの街はどうなるのだろう、情報通な冒険者に聞いてみた。


「お国が動いたって話だ。もうじき多数の兵たちがこの街へ来る。もう心配はいらねえな。だけど、魔物はこの国エニスと、隣国スクアのちょうど中間くらいにある「叫びの森」、魔物が多数住んでいるその森から来たんだとは思うが、そこにはドラゴンなんて住んでねえのよ」


 気になる話ではあったが国が動くのなら大丈夫かな。

 翌日俺たちは街を出て旅に。

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