↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アーリア  作者: 猿蟹月仙
91/102

第88話『復活の・・・』

 無数の触手がアルのほっそりとした身体を後ろから押し上げていた。

「ジミーちゃん、いくヨ~!」

「よっこらせっ!」

 息を合わせ、倒れたアルを背に負うと、ジミーはそれが異様に熱く感じられて驚かされた。

「熱~、あるのかな?」

「どれどれぇ~・・・熱はあるヨ~」

 ぴたぴたとシルフーの食腕がアルの背を叩く気配。

「そうじゃなくって、俺と比べて~!」

「え~!?」

 ぐるり、不意にこちら側に回りこみ、ジミーの視界いっぱいにシルフーの白い身体が迫ったかと思うと、ぺたり。ジミーのおでこにシルフーのおでこがくっついた。

 柔らかくひんやりとした感触がむにゅっと。

「どっちもどっちかナ?」

「はわわわわっ!?」

「どしたノ?」

 どぎまぎするジミーから、ひょっこり離れるシルフーは、何気ない様子でカラカラと笑う。

「近い! 近いって!」

「そお~? 変なジミーちゃん」


 暗がりのお陰で顔が真っ赤になってるのが判らないので助かった。

 ようやく立ち上がると、身体を揺すって背中のアルの位置を直す。

(よし! 歩けない重さじゃない!)


「でも、どっちに歩けば良いのやら・・・」

 そうこぼしたジミーに、シルフーは真っ直ぐに一方を指差した。

「あっち・・・みンな、あっちに居ル・・・」

「判るの?」

「判らないノ?」

 きょとんと、不思議そうに聞き返され、ジミーはしぶしぶと頷いた。

「判らないノ?」

「判らないよ!」

 思いっきり言って返すジミーに、シルフーはその十本の触手全部を使って、フッと肩をすくめてみせた。

「こんなに暗くて見晴らしが悪いんだから、判んないのが普通だよ!」

「やだやだ、変なジミーちゃん。そんなの、自分がどのくらい移動したかで、大体の位置が判るじゃなイ」

「え・・・?」

 そこでジミーはハッと気付く。

 シルフーが風の妖精なんだって。

 まるで困った子供扱いなんだが、実際そうなんだろう。今はこんな問答をしている場合じゃないや。

「じゃあ、姐さん。お願いだから、道案内してよ。二人抱えて空を飛ぶなんて、流石に無理だろ?」

「ん? ふふ~ん、仕方ナイなぁ~♪」

 空気袋をぷうっと膨らませ、全部の触手で腕を組むシルフーは、少しだけ身を反らして、何度もうんうんと頷いて見せる。


 それから、ぴょんぴょんと弾む様に先を行くシルフーに続き、ジミーはアルを背負って木々の間を、生い茂る藪をその身で掻き分ける様に突き進んだ。

 シルフーは、軽やかに飛び越えてしまうのだから、そうするしかない。時折、振り向いてはジミー達が追いつくのを待っていてくれた。

 そうこうする内に、引っかき傷だらけになったジミーは、ようやく開けた場所へと出る。

 そして、遠く月明かりに集落らしき黒い影のラインを、外壁を認めると、ようやくホッとして、思わず涙ぐんだ。


 戻ってこれたんだ!

 色々とあり過ぎた一夜から、かつてのアルを取り戻した達成感!

 そして、それに取って代わる、黙って飛び出して来てしまった事に対する、アーリア姐さんのお叱りモードに対する何とも言えないもどかしさ。

「うう・・・きっと、怒ってるんだろうなぁ~・・・」

 そんな独り言を、背中のアルは薄っすらと目を開けて耳にしていた。


 アルの頭の中では、どうすればジミーと一緒に居られるだろうかと、一思案中。その想いは、紛れもないアルのもの。

 ギルがイチに倒され、農家に残して来た擬態がどうなってる事やら。

 実際のところ、操られていたのだから、本当の事だけを言っておけば、後は同情を買う様に仕向ければ、案外みんな騙されてくれるかも知れない。

 幸い、魔道に通じた者や、司祭クラスの者も居ない筈。

 問題は、用心深いだろう殺し屋連中を、どうだまくらかすかだ・・・

 ふふふふふ・・・

(なる様になるさ・・・)

 アルは赤く輝く瞳を瞑り、しばらくこの状態を楽しむ事にした。


「じゃ、私みんなを呼んで来るネ~!」

 ぽ~んと一足先に飛んで行くシルフー。

 そして、ジミー達が集落の入り口である小さな門扉に差し掛かったところで、その向こうから飛来するものがあった。


 白い身体を大きく膨らませ飛行するのはシルフー姐さんだが、その触手が抱えているのは多分・・・

「ジミィィィィィィィィィィィィ!!!!」

 不意にでっかい声。間違える筈の無い、アーリア姐さんの怒声だ。

「やっべ・・・」

 もの凄く怒ってる。そういう響きがびんびんに伝わって来て、ジミーは思わず立ちすくみ、それから二三歩後ずさる。

「た、ただいま~っ!!」

「そこを動くなぁ~っ!!」

 切り離されたアーリアの細い身体は、門扉を飛び越えジミーに肉薄。

「うわっ!? や、止め!」

 十字に組んだ両腕をジミーの胸元に叩き込む様に、アーリアはそのままぶち当たった。

「こ~の馬鹿チンがぁ~っ!!」


 派手に転んだ三人は、一緒くたになって柔らかな草の上をごろごろと転がるのだが、ジミーは手足を掴まれたと思った時には、まるでアーリアの手足が絡みつくみたいに巻き込まれ、顎の下に腕が入って一気に手足の関節やら背骨やらが一斉に悲鳴を上げ出した。

 背後からずっしりとアーリアの熱い重さがのしかかり、更にぐいぐいと絞り上げるのだ。これはたまらない。

「たたたたた、たんまたんまたんま!!」

「い~や、待たない! こんな大変な時に! 勝手に飛び出して!! 心配するじゃない!!」

「ごめんごめんごめ!! 痛い痛い痛い痛い!!]

「よ~し・・・」

 ひとしきり痛がったところで、アーリアはパッと手を離し、ジミーを解放した。

 ジミーは痛めつけられた手足の関節をさすりながら、非難めいた目線をアーリアに送るが、それは真っ向から受け止められて睨み付けられてしまう。たじたじだ。

「いつの間に、こんな技を!?」

「それはグルドから! それより! あ、アル君! 大変なの! 叔父さんが!!」

 そこで、ようやく傍らに立つアルに目を向けたアーリアは、何が起きたのかを説明しようとするのだが、それをアルは手で制した。


「待って下さい! その前に、僕から謝らなくっちゃいけないんです! ごめんなさい! ギルが叔父だと言うのは嘘で、本当は僕に取り憑いていた悪魔だったんです!」

「え? 何それ・・・」

 唖然とするアーリアに、アルは用意していたシナリオに沿って、説明を行った。即ち、アルに取り憑いていた悪魔は、ジミーが崖から転落した段階で、友達を死に追いやったアルを嘲笑して去って行ったと。だから、叔父のふりをしていた変わり身も姿を消したのではないかと。



 シルフーの手により、窓からギルやロイの寝ていた小部屋に集まったアーリア、ジミー、アルは、そこで昏々と眠るロイと、そこに控えていたグルド、そしてギルだったろう羽の塊を前にどうしたものかと思案にくれていた。

 もちろん、床一面にも同じ茶色に白い筋の走った羽が散らばっている。

 そして、こんな状態にも関わらず起きる様子の無いロイ。その顔には、どういう事か、無数の青い線が走り、瞼には目が、口元にはくるるんとした口ひげが、そしてその額には「肉」という何かの記号が書かれているのだ。一体、ロイの身に何が起きたのだろう?

 そしてそして、じっとみんなが見つめるのは、ロイの口元。

「あれって・・・」

「もしかするとだな・・・」

 アーリアとグルドは、にやりと口元を歪め楽しそうに笑い、残る三人はきょとんとそれを眺めていた。


 ロイの口元には、縦に唇の形をした真っ青なキスマークがくっきりと残されており、明らかに悪戯だと・・・



          ◇   ◇   ◇



 その木には奇妙な果実が成っていた。

 枯れ果て、葉も全て落ちた朽木に、その奇妙な果実は成っていた。

 ただひとつ。

 人の大人くらいの大きさはあろう、奇妙な果実。

 まるで繭の様にまろやかな形状の果実は、日の光を浴びて、虹色に輝いていた。

 周囲の木々も枯れ果てていた。

 下ばえも枯れ果て、その間に黒ずんだ動物の死骸も散見された。

 死後、何日も経過しただろう死骸を食む生き物もない。虫も飛ばぬ。鳥も飛ばぬ。

 ただ、そこには死が停滞しているかの様であった。


 そして、その果実に、この日は変化が生じた。

 初めは小さな点だった。

 それが、ゆっくりと縦に。

 つうっと、一筋、縦に線が走る。


 すると、唐突にそれは大きく裂けた。

 どろりと、鮮やかな色彩を放つ、虹色の液体がゆっくりと滴り落ち、その場に留まった。

 まるでその液体は、一つの塊であるかの様に、一条の筋となって地面に完全に落ちきると、地面に吸い込まれる事も無く、まるでスライムの様に丸まり、ぶるぶると震えだし、そして一つの形を取る。

 その塊の中に、最初から立っていたかの如く、すらっと立つその姿はまるで人の女性の様。

 次の瞬間には、ずわっと虹色の輝きは色を失い、そこには服を着た人間の女性が立っていた。

 ごくありふれた茶色い染料で染めた上着に、色褪せた赤い染料のスカート。茶色い髪は後ろで束ね、しみの浮いた顔は三四十台のそれ。

「やれやれだわ・・・失った細胞を補充するのに、思ったより時間がかかってしまった・・・」

 ぐるりと茶色い眼球が、正面を向く。

「だが、もう問題無い・・・」

 ゆっくりと歩き出す。

 べちゃり。

 木靴を履いている筈の脚が、湿り気のある音を発てる。

「やれやれ・・・歩き方も忘れてしまったらしい・・・」

 次の一歩は、足の裏で凝結した草木や枯れ枝がぱきりと折れる乾いた音。

「さて・・・あの者達は・・・」


 連金帝国のアルファベットエージェントCは、ゆっくりと周囲の状況を、そして現状を確認した。

読んでくださり、ありがとうございます


色々とあって、執筆が滞っておりました

結構、ぐだぐだなんですが(苦笑)


19日のジャンフェスに行ってたのが最大のアレかな?

実は、アップを開始した四月から、遊戯王関連の遊びがストップしてまして

無理無理参加してみたのですが

あっちを立てれば、こちらが立たず

もう若くないんですねぇ~・・・


ペンデュラム召喚・・・クリフォートデッキを組んで勉強しますか!


あ、さて・・・

お話を小説の方に戻しますと、アーリアはフライングクロスチョップをかましてから、STFに移行したというイメージです(苦笑)。あれ? STFだと両手が空くか~。

な~に、寝技を教わってるんでしょうね(^^)?


さて。

そろそろ、ブラウボウ編に突入しようかというところ。

宜しかったら、また読みに来て下さいね♪


今日は、ありがとうございました~m(__)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。