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アーリア  作者: 猿蟹月仙
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第85話『夜に咲く花』

 アルの叔父はギルと名乗った。旅の行商人をしているそうな。

 アーリアのヒーリングで切り傷は塞いだものの、足の腫れがあり、歩きづらそうなので近くの集落までグルドが背負って運んだ。


「医者はいないそうだ」

 戻って来るなり、ロイがそう告げた。

「だが、泊めてくれる家があった・・・」

 集落の入り口で腰を降ろし、休憩をとっていた一行は、いそいそとその場を離れ、ロイの案内で一軒の農家へと。


 石を積んだ人の背よりずっと高い外壁。しっかりとした門構え。中庭に入ると、家畜の鳴き声が、より明瞭に響き出した。

「前金で、ひいふうみい・・・七人なら銀14枚貰うよ」

 そんなやり取りを、ロイが家の者らしき壮年の男と話始め、アーリアは思わず懐からガッシュから貰った財布を取り出そうとするのを、グルドが手で制した。


「滅多やたらに・・・」

 そう言われて、少し舞い上がっていた自分にハッとさせられたアーリアは、てへっと舌先を少し覗かせて苦笑する。

「あいつに任せろ」

「あ~い」


 身を寄せては笑い、背におぶされたギルの様子にも目を配らせた。

「良かったね、ギルさん。今日はここでゆっくり出来るよ」

「ん・・・」

 すると、少しうとうとしていたギルは、薄っすらと目を開けて、それから周囲の様子をぼんやりと見渡す。

「寝てましたか・・・アルは?」


 すると、すぐ傍からアルの声がした。

「僕はここだよ、おじさん」

「ひゃん!?」

 あまりにも近くから声がしたので、アーリアは驚いて振り向いてしまった。

 正直、いつからそこに立っていたのか、全然気付かなかったのだ。


 暗い目で、じっとギルの顔を見るアルは、背負っていたギルの商売道具であろう大きな物入れを、建物の奥へと運び入れる。

 小柄でほっそりとした体形に似合わぬ力持ちか、それとも物入れが見た目以上に軽いのか。大きな布で包まれているので、中味に関しては良く判らない。

 働き者だなぁ~と感心するばかり。

 そこで、自分のところの働き者の姿が見当たらないのに気付いた。


「あれ? ジミーと一緒じゃなかったの?」

「知らないよ、あんな奴」

 ぷいとそっぽを向くアル。

 すると、グルドに背負われたままに、叔父のギルは厳しく叱りつけるのだった。


「こら! お世話になってるのに、そんな言い方があるか! いや、どうもすいません」

「いえ! その、こちらこそ・・・」

 口ごもるアーリアに、ギルは首を左右に揺らし、苦笑いを浮かべた。

「どうも母親に甘やかされていたみたいで、すっかり・・・おい! 判ってるのか? 俺がこんなだから、お前一人で行って貰うからな!」

「判ってるって・・・」

「行って貰うって、これからですか!?」

 ぷいっとそっぽを向くアルと好対照に、アーリアはびっくりしてしまった。

「これからだと暗くなる。何の用事がは知りませんが、一晩ゆっくり休んで、明るくなってからじゃいけない用事なんですかい?」

 よっこらせと、背負ったギルを降ろしながら、グルドが訊ねると、玄関内の床に腰を降ろしながら、ギルは少し困った顔をした。


「いえね。助けて戴いた方だからお話し致しますが、アルには夜にだけ咲く花を採って来て貰いたいんですわ」

「夜に咲く花!?」

 アーリアは、思わず復唱してしまった。

「しぃ~・・・」

「あ・・・すいません」


「商売上、どこに何があるなんて事は、親兄弟にだって言えない事なんだが、こいつの母親に仕込んでくれと泣いて頼まれましてね。それで仕方なく・・・」

 ギルは改めて小声で話しながら、アルが置いた物入れを手繰り寄せ、中から黒い袋と白い手ぬぐいの様な物を取り出した。

 それを傍らに立つアルの手に、ぐいっと押し付ける様に手渡した。

「ほい・・・使い方は教えた通りだ。判ってるな?」

「ああ・・・判ってる・・・」

「よし。今から出れば、明日の朝には戻ってこれるだろう。昼までに帰って来なかったら・・・判ってるな?」

「ああ・・・判ってる・・・」

 こくりこくりとうなずくアルは、手渡された品をぐっと胸元に抱きかかえた。無表情に。


「ああ! ロイさん!! こいつは、これから用事で出るんで、こっちの宿代は一人分で!!」

「無茶な。オーク鬼が出たばかりだぞ」

 宿主とあれこれ話をしていたロイは、振り向いて、少し意外そうに眉をひそめた。

「アルなら大丈夫で!! 逃げ足は人一倍ですから!!」

「知らんぞ・・・」

 それからアルは人数の変更で少し揉めてる様子。


 そんな事は、我関せず。

 アルはすたすたと門扉へと歩み出る。

「あ、ちょっと!」

「いいんですよ!」

 慌てて引きとめようとするアーリアを、逆にギルが引き止める。

「でも、でも・・・」

 わたわたと焦るアーリアに、ギルは眩しそうに目を細め、小さく小首を揺らして見せた。

「男って奴は、いつか一人で歩き始めるもんなんですよ。奥さん」

「へ? あ、そんな・・・お、奥さんだなんて~・・・」

 その一言で、ぷわっと舞い上がったアーリアは、色んな事をスパッと忘れて、一人身をくねくねさせて恥らうのだった。

読んでくださり、ありがとうございます


最近、ますます暑くなりましたね

イオン新船橋店では、スロープの裏を塗装工事しているみたいで、最大の日陰が進入禁止で、超辛いです

台風も大変そうですね

おとといまでは雨模様だったのが、昨日は炎天下

いやあ~、しねます(苦笑)

11日には、台風が関東直撃なんて事にならない事を祈ります

皆さんも、命を大事に

今年の夏をのりきりましょう!


今日は雨模様

涼しくて良さそうです

さて、お仕事の時間だ!


宜しかったら、続きを読みに来て下さいね~♪


今日は、ありがとうございました~(^^)/~

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