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アーリア  作者: 猿蟹月仙
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第99話『遠回りにて一回休み』

アーリア達一行はようやく隣の村へw


 気絶した御者を後ろで寝かせ、一行の馬車が隣の村へと到着したのは、あれからそう経たぬ内の事だった。

 御者台には仏頂面のグルドとロイ。二人は殺し屋。決して仲の良い間柄では無い。


「おい・・・」


「なんだ・・・」


「村だな・・・」


「村だが・・・」


 村の門扉は硬く閉ざされていた。


 ちらっとロイの顔を見、目で即すグルド。


「ちっ・・・仕方ねぇ~なあ~!」


 やれやれと腰を上げたロイは、ひょいと御者台から降りると、てくてくと歩み寄り中へと声をかけた。


「うお~い! 誰かいねぇ~か~!?」


 来た村と大差ない、粗雑な石組みの壁。門扉は木製で古臭さが醸し出ている。その上から、ひょいと二つ三つ顔を出した。


「なんだね!? 今、近くにオークが出たってっからよお~!」

「領主様が、兵隊さ~出してぇ~! 村は門さ閉じてろって事さあ~!」

「・・・」


「兵隊? 見ねぇ~なぁ~! 隣の村から来たんだよぉ~! 門を開けてくれぇ~!」


 みっつの頭は互いを見ては何事か話しているが、どうにも怪訝そうな顔だ。

 その内、話がまとまったのか・・・


「おめぇ、誰も知らねぇ! 誰だぁ~!?」

「見ねぇ顔だなっ!」

「・・・」


「やれやれ・・・俺は旅人だ! 村の奴は、気絶しちまってよぉ~! 休ませてやってくれ~!」


「・・・どうする?」

「人相が悪いぞ・・・」

「・・・」

 三人は嫌そうな顔で、互いに首を左右に振った。




「おいおい、どうしたよ!?」


 渋面で戻って来たロイを、グルドは大笑いで暖かく迎えた。


「今度はお前行け!」


 不貞腐れてそっぽを向くロイは、それだけ言うとさっさと荷台の藁へよじ登り、ジミー達がさっと避けたスペースにひっくり返って、放り投げる様に足を組んだ。


「あちゃ~、俺じゃぁ~どっこいどっこいだぜ!? アーリア! お前ちょっと行って、愛想振りまいてくれよ!」

「あ~い♪」


 どう見たって強面のグルドだ。にっこり微笑もうものなら、逆に卒倒しそうなもの。振り向いては手を振り、嬉々として駆けて行くアーリアに手を振り返し、まぁあの後だから少しは苦労するかもな、と一所懸命にお願いする様を想像してはにやり。

 そんな妄想から目を開き、現実に戻ったグルドは目の前に戻っているアーリアと目が合った。

「あ、あれ?」

「開いたよ」


 あっちを見れば村の門がゆっくりと開いていく。これはびっくり!


「お前・・・何したの?」

「お願いした」

 てへへと褒めて褒めてしてくるアーリアは、さっとグルドの隣に腰掛け、腕に抱きついて来るので、戸惑いながらもその頭をなでなで。

 むっと不満気な顔をして見せるアーリアに、不意打ちの軽いキス。

 これはしてやられたと、最初は驚き、むっと怒り、くすっと笑い、くるくる表情を変えたアーリアは、ちゃんとしてくれとばかりに、目を閉じて唇を突き出して見せた。


「む~~~」


「・・・あの~、姐さん方・・・お取り込み中悪ぃ~んだけど・・・」


 ぱちっと目を見開くアーリアは、ちょっと怒った様な目の色で、じっとジミーを。ジミーと共に麦わらの山から見下ろす、アル、シルフーの三人をねめつけた。


「いやぁ~、僕は不味いと思ったんですけどねぇ~・・・」

「ちゅっちゅシなイノ?」

 苦笑いのアルはジミーを横目に。シルフーは純真なまなこでこれからの行為に大注目だ!


「・・・ジミーだけ、後でおしおきね・・・」

「ええっ!? そりゃないぜ、姐さん!?」

「ははっ! 災難だったな、ジミー!」

 全部ジミーにおっかぶせと、馬車を進ませ始めたグルドは、わざと大仰に操作して見せた。

 それを横目に、交互に目線を移しながら、アーリアは思いっきりいたずらめいた表情を。


「ど~んな事、しちゃおうかなあ~♪」

「普通じゃ駄目ですよね?」

「アル!? てめぇっ!!」

 またも麦わらの上ではちょっとしたレスリングタイム。

 傍らには、手を出す隙を伺うシルフーがゆらゆらと。


「あ~、もう好きにしてろ! 俺は寝る!」

 気絶した村人を挟んで、ロイは不貞寝の構えだった。




 村の中へ入り、気絶したままの村人を下ろした所で、ちょっとした困った事に。

「確か、今日までに領主様の館に飼い葉を届けるって事なんじゃぁ~・・・」

 ここでお別れと、荷馬車を預けようとした矢先に、こちらの村人からそんな話が帰って来た。


「まぁまぁ。オーク鬼の騒動だからねぇ。何日か遅れたって、そう大した事無いだろうさ。精々税の割り増しを払わされる程度さね」

「もしかしたら、鞭打ちくらいで済むだろうよ」

「だね。畑を取り上げられて追い出されるかも知れないけどねぇ」

 気楽に笑いながら話す村人達が、どんどん悪い方向へ膨ませて行く。


「ちょ、ちょっと待って下さい! そんなに厳しい方なんですか?」

 びっくりしたアーリアは、思わず身を乗り出してそれぞれの顔色を覗き込む様に眺めた。

「あ・・・いや・・・俺達は、きちんとやってるからなぁ~・・・」

「たぶん、大丈夫だろうよ」

「きっと大したお咎めは無いさ」


 どうも本当のところ、どうなるか判らないらしい。


「グルド・・・」

 そう言って振り向くと、少し困った顔のグルドに答えを求めた。


「参ったな・・・急ぐんだが・・・」

 ちらっとそっぽを向くロイを。その耳がかぁっと赤くなっていくのを見た。

「判った! 俺達で持って行ってやれば良いんだろう!? 元はと言えば、俺が脅かしたのが悪いんだ! こんな御託はほっといて、さっさと用事を済ませれば良いんだろう!? で、どこだ!?」


「へっ!?」

 余りにドスの利いた剣幕に、おっかなびっくりの村人達は冷水を浴びせ掛けられた様に及び腰に。

「へ、へい・・・すぐ近くで・・・」


「ほら! さっさと行くぞ!!」


 有無を言わせぬ迫力で、ぐいぐい引っ張るロイのお陰で、夕方には領主の館へ到着し、その馬小屋へせっせと飼い葉を運び入れる一行。

 そして、周囲はどっぷりと暮れて行った・・・

今回も読んでくれてありがとうございました。


「女勇者は~」の本文でも少し触れましたが、元ネタとなったTRPGのシステム「TheRoadsToTheLord」には称号のルールがあります。キャラクターが条件を満たすと、その称号を得られる。そして、次回からはその称号による修正を得る事が出来る様になるのですが、称号は様々、その効果も様々です。


冒険者の称号などは、同族とのコミュニケーションに+1の修正が付きますが、私が作ったローカルルールに「ならず者」系の称号があります。

要は悪い事ばっかりやってると、「ならず者」と呼ばれる様になるのですが、それが過ぎるとどんどん悪い称号が増えていくのです。普通にロールプレイを楽しんでる人には罰ゲームみたいな称号ですが、そういったロールプレイを楽しむ余裕のある上級者には、さほど難しいものではないでしょう。

どういったものかと言うと、「ならず者」系称号は「ならず者」系称号を持つ者に対してはプラス修正になるのですが、持たない者を相手にした場合は、逆にマイナス修正になるというものです。

前回や今回、ロイが村人相手にあまりうまく行ってないのはこのマイナス修正が大きいからで(殺し屋はかなりのマイナスw)、アーリアは冒険者、吟遊詩人等の称号によるプラスの修正が大きいので、すんなり協力して貰えるというのを表現してみましたw


これが悪人相手なら、ロイもグルドもなかなかの悪漢と一目おかれて、コミュニケーションがうまくいく・・・かも、というものですwww

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