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神様の端末としてのんびりまったり縁を結びます  作者: 愚true
第2章 幼少期編
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(61)   特許制度


「さて、それじゃ商会を立ち上げるとして、その商会の商売品目をどうするかを決めなきゃならねぇんだが、どうする?」


 食事の間はまったりと雑談などをしながら、のんびりとした時間を過ごしたが、その後のティータイムとなったところでディカルトがさっそくそう言って商会についての話題を出してくる。


「そうですね……ひとまず、昨日出した物のうち、クリップとバインダー、それにバインダーを利用するための2穴パンチと言った文具類は、さほど複雑でもないですが、昨日の受けの様子から、商品項目に組み込んでみたいと思います」


 ヴァルトがそういうと、ディカルトも頷く。


「やっぱりそうだろうな。あれらは地味だが堅実に売れる商品にはなるだろう。最初はそうだな……この商業ギルドに直接売り込んでみるのがオススメか。あと、おまえの親父さんや上の兄貴、文官の一部に試供品として売ってみるのもいいかもしれねぇが……」


「んー……ある程度軌道に乗るまでは、父や兄たちには秘密にしたいですね。いくら初期保証者をディカルトがしてくれるとはいえ、軌道に乗ってからでなければ心配されたり禁止されたりしかねませんし」


「まぁ、それもそうか。なら、最初は商業ギルドと商人たちが売り込み先の主力になるな。それと、カイロとオイルライターだったか、あれらは商品に組み込んどけ。そうすれば行商や冒険者、旅人に売り込める」


「そうですね……じゃあ、それらが主な商売品目となることでしょうか。問題は販売形式ですね。商会を立ち上げるにしても、立場上、僕やティアナが常時店舗を開いて商売をするという訳にはいきませんし……」


「それなら店子を雇って店を開くか、もしくはヴァルトの知り合いで店舗商売をしている者に売り込みをかけて、(おろ)しで売ってもらうというのはどうだ」


「ふむ……そのどちらか、ということなら、まずは店舗商売をしている家の子に声をかけてみる方向でいきたいですね。さすがに最初から店子を持つというのは責任がありすぎます」


「まぁ、そうなるだろうな。あぁ、それとそれらを販売したり契約したりする前に、まずギルドに販売物の特許を申請しておけよ」


「特許ですか、了解で……ん? 特許という制度……ですか??」


 ファンタジー的なこの世界に特許という制度があるのだろうか、と、ヴァルトは疑問に思う。


「ん、あぁ知らねぇか。特許っていってな、特徴的な意匠や商品を新しく作った場合、その作成者の権利を保護して利益を守るための制度が商業ギルドにはあるんだよ。どんなに新しい品物や優れた技術、意匠を考え付いたとしても、それをすぐに真似られてしまったら、真似する方は真似される方より試行錯誤したり悩んだりしないで済む分、費用がかからねぇからな。そうなると費用の負担分があるだけ、考案者が損をしちまう」


 ディカルトは「けっ」と悪態をつくと続けて、


「損だけで済めばまだいいが、大店なんかが金にモノを言わせて大々的に真似して低価格競争して考案者を潰しにかかったりしたら、弱い商人や技術者が新しい技術や品物の改善や創造をできなくなっちまうからな。そして過去に実際そういうことをしたクズが居たんだわ。それで商業ギルドがそういった問題対策として特許という制度を設立して対応することにしたんだよ」


 商業ギルドでは過去の大店による丸パクリ・資金力に言わせての弱者を食い物にした暴力的商法に対抗するため、またギルド員の権利を守るために特許制度を設定したのだという。ただしこの世界はまだ通信技術が未熟な世界である。結果、どうしても特許が効力を発生させるのは商業ギルドが属する都市に限られるのだという。

 もっとも、一つの都市で取られた特許契約はその都市の商業ギルドが代行責任者となって即座に他の都市へも情報が回され登録されていくことで、実質的に全都市的に守られるようにしているのだという。なお、他者による特許抵触物の利用があった場合、その特許使用料の徴収金の一部は該当者のいる都市の商業ギルドと登録ギルドの収入ともなることから、登録や徴収はしっかりと行われるらしい。また、商業ギルドには特許制度の維持・運営を行うための専門部署や人員、商業ギルド本部による秘密監査部門も存在しているとのことだった。


「というわけでな、特許をとっておけばおまえの考えた商品を他人に勝手に売り出されて商売にならなくなるって心配が減るっつーわけだ。だから、やり忘れるんじゃないぞ」


 真面目な顔でそう忠告するディカルトに、ヴァルトは頷いた。同時に、それなら手押しポンプについてはどういう扱いになっているのだろう?と尋ねてみることにする。


「あぁ、あれは特許は子爵家にってことで話がついてる。俺が子爵家に手押しポンプの知識を売ったって形だ。

 なのでこの都市における特許は子爵家の物扱いだ。ただし他都市に特許はまだ送ってないって聞いている。おそらく他の領か国への交渉材料のひとつにするつもりなんだろうな」


 どうやら特許については公開するだけでなく、製法や詳しい構造を他都市にわざと伝えず、その都市だけの秘密にするという手段もあるらしい。地域の産業の育成・保護などでよく使われる方法なのだそうだった。




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