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神様の端末としてのんびりまったり縁を結びます  作者: 愚true
第2章 幼少期編
42/67

(41)  現状の税制度



「ヴァルト、ヴァルト、どうしました?」


戸籍制度が無い。そのことを知って唖然としていたのは数秒程度だと思ったが、実際は結構な時間呆然としていたらしい。

あっけにとられて口を半開きにして固まっていたヴァルトの様子を心配したグレウスが声をかけてきたことで、やっとヴァルトは再起動することができた。


「ええっと……戸籍、つまり住民の年齢や性別、家族構成や職業、収入を纏めたもののことを戸籍というのですが……それを調べておかずに、いったいどうやって領地では税を取り立てているんですか?」


どうにか再起動したヴァルトが説明がてらそう尋ねると、エイオスとグレウスが「ふむ、戸籍というのはそういうものを纏めた言葉のことなのか」と興味深そうにつぶやいた。


「税の取り立てについては、市民権を持つ者については、1人あたり年に1度3大鉄貨を支払ってもらうことになっていますよ。あとは各ギルドがギルド組合費として各ギルド所属の者から徴収した金額の4割が街に収められることになっていますね」


「冒険者や旅人なども多いからな。そういった者たちからは流民であるため、入場税や各ギルドでの依頼の報酬から街のギルドが税にあたる分を天引きし、その徴収分を街に収めることになっている。だからこそ商人や冒険者の出入りが多い街は栄えることになる。ただ、流民が多いということは治安の悪化や問題の引き金になる者を呼び寄せることにもなるので、難儀なところがあったりもするのだが」


「あとは、農民の場合に関しては、その年にできた作物の5割を税として徴収していますね。なので、税を取り立てるのに、戸籍……でしたっけ、それを構成する家族構成や職業、年齢性別や収入などは別に把握する必要などないと思いますね」


「あと他に税として民から受け取るものがあるとすれば、魔物暴走(スタンピード)が発生した場合の後方支援用の徴用義務、といったところでしょうか。ですがこれは市民だけでなくその時に街に滞在する大人全員に課すことになる義務であり、同時に皆が生き残るために必要なことですから、税というのはちょっと違いますかね」


「あとは婚姻や建築など各種の申請があった時に行う税くらいかな。それらにしてみても許可を出す代わりにというだけだから、別に誰が申請してきたかさえ判別できればそれで事足りるだろう」


まじめな顔をしてそう語る父と長兄の姿に、ヴァルトは呆然としてしまう。


「えっと……じゃあ、どうやって都市の発展計画や将来の予想、貧困対策などをしてるんでしょうか?」


どうにか絞りだすようにそう尋ねてみると、父と長兄の返答はあっけらかんとしたものだった。


「都市の発展計画や将来予想?

 そうだね、まぁ、まずは平原地帯を開拓して農地を広げたり、リヴァン山脈側の森林地帯を伐採して鉱石の採掘を進めていくのが基本かな」


「そうですね、食料の増産が行えれば増産分の食料は他の領地への輸出品となって外貨を稼いだり、より多くの民を呼び込んでも飢えずにすむことになるでしょう。また、街とリヴァン山脈の鉱山までの間に道を作ることができれば、鉱山に坑道をつくって発掘することができます。そうなれば鉱夫や鍛冶師、商人といった者たちが増えることで、街は発展していくことでしょう」


「民が増えればその分、税が増えるからな。ある程度税収が増えれば騎士を増やして東の森に騎士団の駐屯地をつくり、魔物を狩って脅威を下げたところで東の森やカイバル山脈を開拓していくというのが常道といったところだろう」


「もちろん、そのためにはまず平原地帯で水を確保することが重要ですね。硬い岩盤がない、もしくは水量が豊富な井戸を掘りあてることさえできれば、後は開拓村を作ることで対処できるのですが……これまでに何度も失敗しているので、そこが頭の痛いところです」


「それに関しては、先日ヴァルトが連れてきたあの者が語っていたことが実現できれば、かなり楽にはなりそうだがな。

 あとの質問は……貧困対策、だったか?

 それに関してはそもそも我らが行う必要があるわけではないな。貧困に陥るのは各自の責任であり怠惰が理由というものだろう。

 たしかに哀れな生活や困窮した身の上の者と出会えば可哀そうに思うこともあるが、いちいち助けていては限りがないというものだ」


「そうですね。それに施政者の側として語るとすれば、だれかをえこひいきしたりすることはできません。民は平等に扱わなくてはいけないのですから。また、領地の運営をするにも資金の余裕があるわけでないのですから、余程の事情を抱えているとかでない限り、保護するわけにもいきませんからね


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