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神様の端末としてのんびりまったり縁を結びます  作者: 愚true
第2章 幼少期編
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(40)  領の税制



「父様、兄様、少しよろしいでしょうか?」


 行動方針を決めたヴァルトが、その翌日訪れたのは父と長兄の仕事場である領主としての執務室であった。


「おや、ヴァルト。どうかしましたか?」


 めったにそこへはやってくることがないヴァルトが訪れたことに(エイオス)長兄(グレウス)は少し驚いたようではあったが、すぐに仕事の手を止めてほほえみかけてくれた。


「はい、実は先日アイギス兄様の講義で領内の地理や領や国を取り巻く地域状況についての話を聞いて、いろんなことに興味がわきまして。その興味を引いたことの一つに、この領のことをもっとよく知りたいと思って、父様や兄様にお話を聞けたらな、と思ったのですが……お仕事中だと思いますがだいじょうぶでしょうか?」


 ヴァルトがそういうと、エイオスは右手を顎に当てて数秒考え込んだ後、小さく頷いた。


「うん、いいよ。まぁちょうど書類も一段落するところだ。残りの書類を処理したら休憩時間を兼ねて時間を取ることにしよう。グレウス、すまないがだれかに声をかけてお茶を用意してもらえるかね」


 エイオスがそう言うとグレウスが了承の意を伝え、ハンドベルを鳴らす。そしてやってきたメイドに短く指示すると父と一緒になって手際よく書類を片していったのだった。

 なお、その間ヴァルトは応接用の椅子に座ると、その様子を静かに眺めていた。








「さて、待たせたね。それでヴァルト、ヴァルトは一体どんなことを教えてほしいんだい?」


 エイオスが席についたところでメイドが盆に載せたお茶とティーカップを部屋に持ち込み、それを受け取ったグレウスが席について3人の前にお茶を配膳し終えたところで、エイオスがヴァルトに向けてそう問いかけてきた。


「はい。ではまず最初にこの街の住人の正確な人数や老若男女の割合、その居住状況の分布、それに住民における貧富の差の割合が都市内における収入と居住でどのように分布状況と関連して発生しているのかや、住民の職種ごとの数がどのような分布状況になっているのかとか………」


「……ふむ、ヴァルトが知りたいというのはそういうことなのかね?」


 ヴァルトがエイオスに向けてそう問いかけたい事柄についてさっそく語り始めると、エイオスは一瞬きょとんとした顔をした後で、ヴァルトにそう問いかけ、その横でお茶を飲もうと仕掛けていたグレウスも小首を傾げていた。


「え、あ、はい。他にもいろいろとありますが……そうですね、だいたいこういった内容のことについて、正確な数値を聞いてみたいのですが」


 ヴァルトとしては、領主とその補佐である次期継嗣なら知っているか資料を持っていることだろう、という程度の感覚で尋ねたのだが、二人の様子から「あれ?」と、なにやら微妙そうな様子を感じ取ってしまった。事実、ヴァルトの質問を投げかけられた二人はというと、見当違いの質問を投げかけられたような様子を見せている。


「あー……まぁ興味を持ったとしてそういうのが知りたいのか……とはいえヴァルト、正確な住人数や老若男女の割合だったか、そういうのを知ったところで何の意味がある?」


「え?」


その感覚はどうやら正しかったようで、そんなエイオスから発せられた言葉や、その後に続くエイオスとグレウスの話を聞いていくうちに、逆にヴァルトが唖然としてしまうことになる。


「そもそもですが、市民権の持ち主の数は記録していますが、年齢や性別といったものはいちいち記録していませんよ?

 街に居住する者には、一時的に滞在する冒険者や旅人なども多いですからね。永住権と被保護権を与える代わりとして課税対象となることから、市民権の持ち主については名前の記録はしていますが、それだけです」


「そうだな。それに住民の貧富の差などは、各自の努力や才気により発生するものだからな。市民でも貧しい者たちは自然と河原のあたりか農業地区の方へと流れていくし、裕福な者、羽振りの良い者については好きなところに住居を持つか、高級住宅街に住居をもつのだから、収入と居住の関係性などその程度のことを把握してればいいではないか」


「職種についても、先のことと同じで、冒険者や旅人も多いですからね。住民だけで言うなら、まぁ商人や農民がほとんどでしょうし、その次が鍛冶師や職人といった者たちであるくらいですか。けれど、正確な数などはいちいち数えたことも記録したこともありませんでしたし、そういったことを調査する必要性は何かあるのでしょうか?」


「そんなことをなんで知りたいんだ?」と言わんばかりのエイオスとグレウスの話に、ヴァルトは思わず問いかけてしまう。


「あ、あの……それじゃ、もしかして戸籍とかは無かったりするんでしょうか?」


ヴァルトが思わず言ったその言葉に、エイオスとグレウスがきょとんとした顔をして、同時にこう尋ねてきた。


「「戸籍?

  ヴァルト、戸籍ってなんですか?」」



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