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神様の端末としてのんびりまったり縁を結びます  作者: 愚true
第2章 幼少期編
32/67

(31)  教導院(1):外出許可



「ティアナ、今日は小さい子たちと一緒に行動することになるけど、そういうのはだいじょうぶかい?」


 ティアナと出会った日から、一ヵ月が経過した。

 その一ヵ月の間に、人攫いたちに捕まっていた子どもたちのうち身元が判明していた子どもたちは、彼らの故郷からやってきた他領の騎士たちに保護され、両親の下へ帰る旅路についていた。

 その間にティアナのことについては、父エイオスや長兄グレウスの手により、領内においての各部署への情報統制が完全に敷かれ、それにより領内においてはもう行動の自由を認めていいだろう、ということになった。もっとも、それでも念のために外出する際は、なるべく銀狼族としての特徴である耳や尻尾を隠す方針で、ということにはなってしまったが、それについてはティアナもまた狙われたりするのが嫌だからか了承してくれた。

 また、あの奴隷商の事件を受けて領内の広範囲に渡って、犯罪者の取り締まりが強化されていたが、それによりいくつかの隠れ潜んでいた賊などを新たに捕らえたりして領内の治安が向上していることも、ティアナの行動の自由の幅を認めようという動きに繋がった理由の一つでもある。

 そうして行動の自由の幅が広がったこの日、ヴァルトはティアナや護衛騎士のミルカと共に、あの事件以降会えていなかった街の子どもたちのところへ、久々に会いに行こうと計画していた。

 

「別にわたしは問題ないよ?

 里では自分より年下の子らの面倒を見たりすることは、たまにあったし」

 

 ヴァルトの問いかけに、ティアナはそう答えながらミルカと彼の後をついて歩く。

 ちなみに今のヴァルトの服装は灰色のシャツに黒い革のベスト、それに焦げ茶の長ズボンといった服装であり、ティアナは幅の長い襟の縁にフリルがアクセントとしてつけられた薄水色のシャツ、ヴァルトと同色のひざ下までの長さの裾広がりのスカートという服装である。その上で先日と同じようにマンティーラを狼耳を隠すように頭の上に重ねて着用し、遠目にはヒト種と見分けがつかない姿になっていた。さらにティアナは先日あの後子爵家へとやってきたディカルトに作ってもらった、アルシュタイン家の紋章が彫り込まれたペンダントを先日購入したペンダントトップと組み合わせて身に着けている。なお、このアルシュタイン家の紋章のペンダントについては、エイオスから子爵家の保護下にあることの証として、常に身に着けておくようにとティアナには伝えられている。

 なお、護衛騎士のミルカは、護衛としての付き添いではあるが街中だけの移動なので、麻布で作られた騎士団の制服の上に胸甲と籠手だけを着用し、長剣を腰に佩いているという軽装である。ミルカは騎士団でこの1ヵ月の間、実戦と常よりも激しく厳しい訓練を積んだ結果、重い騎士鎧で固めて防御力を高めるよりも、要所以外の装備を極力減らすことで身軽さと動きやすさを重視した戦闘スタイルに切り替えたほうがいいと判断したらしい。


「そっか、じゃあ心配なさそうだね。そうなると今日は最近の彼らの様子の確認とティアナとの顔合わせってことを考えてものんびり過ごせそうだ。僕も彼らと会うのは久々だし、元気にしてるかなー」


 ティアナの世話兼保護者役をしていたという理由もあったが、ヴァルトも父や兄たちから治安の確保が確認できるまでは、特別の用事がある場合を除いて館と騎士団詰所以外への移動を基本的に禁じられていた。だが、先日のティアナの日用品の購入のための外出を踏まえて、危険性はだいじょうぶそうだという判断がなされたことで、外出許可が出るようになったのだ。

 そのため、これまで毎週のように会っていた街の子どもたちと会うのが久々なのである。なので今日のヴァルトは、朝から少しうきうきとした気分で行動していた。


「今日会う子どもたちは、僕と年の近い子たちなんだ。もっとも、ほとんどの子が年下なんだけどね」


ヴァルトがそう言ったところで、ティアナがふと疑問に思ったように問いかけてきた。


「そういえば……ヴァルトっていま何歳なの?

 たしか、前にグレウスさんが3年後には学園、っていうのに通うことになるとか言ってたよね」


「あれ? そういえば年齢のことはお互いに言ってなかったっけか。僕はいま7歳だよ。次の眠獣月の最初の光の日がくれば8歳になるけど」


 この世界では1年は360日で数えられ1カ月は30日である。4年に一度、狭間月と呼ばれる閏月が加えられ暦が調整されていた。春分の日を1年の正月とし、12の月で暦が作られており、月はそれぞれ、春花月、草萌月、種植月、水浴月、光祭月、実付月、収穫月、彩樹月、眠獣月、雪待月、風寒月、春待月と呼ばれている(狭間月が入る場合は、春待月と春花月の間に基本入れられる)。また、1週間は光の日、空の日、焔の日、水の日、樹の日、鋼の日、地の日の七つの曜日で表されており、この国では月と曜日の組み合わせで誕生日が表されていた。

 ちなみに、ヴァルトとティアナが出会ったのは光祭月であり、いまは実付月に入っている。


「ふぅん……じゃあ、ヴァルトは私より一つ年下なんだ」


「ん? っていうことは、ティアナはいま8歳なの?」


「ん。私は8歳。里では新年の宴でみんな年を一つ増やしてた。攫われる前に7回目の新年の宴があって、それから1度、新しい年になってるから8歳」


 その話で、どうやらティアナの里では数え年で年齢を数えていたことが判明する。なのでヴァルトとしては、どうせなのでもう少しティアナの里の情報を得ようと話を続けてみることにした。


「ふぅん……ちなみに、攫われたのはどの月の何回目の曜日かは判る?」


 ここでそのことが分かれば、どのくらい離れた場所からティアナが連れてこられたのかがある程度搾れるのではないか、との思いからの問いかけだった。

だが、残念ながらそこまで深い情報を得ることはできないようだった。


「わからない。里では星詠みの婆が星を読んで1年の始まりがいつだって決めて宴が開かれてたから。それ以外の時は何月だとか、そういう考え自体がなかったし」


そう言って首を振るティアナの様子から、ティアナとしてもそれが分かっていれば里の場所がどのくらい遠くにあるのか把握できるかもしれない、という考えを持つことができるということに気が付いたのだろう。ちょっぴり落ち込んでしまっている様子だった。



 春花月(4月)、草萌月(5月)、種植月(6月)、水浴月(7月)、光祭月(8月)、

 実付月(9月)、収穫月(10月)、彩樹月(11月)、眠獣月(12月)、

 雪待月(1月)、風寒月(2月)、春待月(3月)

 といった形式です。


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