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世界の色は一つでいい  作者: oqutopus
1章 世界の色は一つでいい
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修学旅行 三日目(1)

 今日は班に分かれての京都めぐりだ。


「全員、十六時までにここに集合。十五時半を目安に京都駅に戻ってくること。それから、事前に伝えた注意事項をしっかりと守って、楽しい思い出にするように。では解散!」


 朝から気合の入った安桜先生のその一声を合図に、生徒たちは皆班に分かれてそれぞれの予定している観光場所へと散っていった。


「さ、いこっか薫ちゃん!」


 蜘蛛の子を散らしたとはこのようなことを言うのだなと、そんなくだらないことを考えながらその様子を眺めていると、後ろから菜月に声をかけられた。妙に弾んだ声だった。


「ああ。今日は目いっぱい楽しもうな!」

「……なんか、気持ち悪いよ薫ちゃん?」

「そうね。嘘だと分かりきっているのにそういう振る舞いをされると、逆に盛り下がるわ」


 三日目だからテンションがおかしくなっているわけではなく、桃華に楽しんで来いと言われているため俺も結構頑張って場の空気にノッてみたのだが、その反応はあんまりじゃないか?


「……天ノ目はどうした?」


 班は男女三人ずつの六人で組むことになっている。男子は俺と他二人、女子はこの二人のほかに天ノ目も班員だったはずだ。


「そういえば今朝のモーニングの時も見かけなかったね?」

「そうね。委員長の……誰だったかしら? まあ、彼女達と相部屋らしいから、彼女達に聞いてみれば」

「すまない。君たちの班は少し残ってくれ」


 菜月と古谷が別の班の女子に話を聞きに行こうとしたそのとき、古谷の声に割り込んで安桜先生が近づいてきた。


「天ノ目のことで少し話がある」


 続いた先生の一言に、古谷も菜月も足を止め、先生の話の続きを待つ。


「彼女は今朝から少し体調を崩してしまったようで、残念ながら今日はホテルで休むことになった」


『っ……!』


「……あいつは大丈夫なんですか?」


 顔を伏せて残念がる班員たちを代表して尋ねると、何故か、先生はどこか安心したように頬を緩めた。


「ふふ、真っ先に彼女の心配をするところが実に君らしいな。心配ない。べつに熱があるわけではないし、おそらくは慣れない集団旅行で疲れがたまっていたのだろう。まあ、大事をとっての外出禁止という判断だ」


 何か予定に変更がないか確認した後、先生は、


「……まあ、彼女がいないのは残念だが、それでも学校生活最後の修学旅行だ。精いっぱい、楽しんできなさい」


 そう言って、時間を取らせて済まないと手を挙げて去って行った。



「よし! 先生の言う通り、メメちゃんがいないのは残念だけど、メメちゃんの分もしっかり楽しもうよ! それで、後でいっぱい話してあげよう!」


 菜月が言った。

 その言葉に、古谷も気持ちを切り替えるように同意していた。同じ班の男子二人も、事情を聞いて盛り上げようとしてくれていた。いい奴らだな。さすが俺なんかと班になってくれるような変人たちだ。



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