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世界の色は一つでいい  作者: oqutopus
1章 世界の色は一つでいい
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アメ色の世界(2)

 ある雨の日だった。

 まるでバケツの水をひっくり返したように降りしきる雨。ごうごうと容赦なく窓を揺らす風。ザザアッっと風に乗って大量の雫が窓に当たると、窓の隙間から入る風がビュウッと一際大きな音を立てるものだから、窓際の席の生徒はその度に何人かビクッと身体をこわばらせ、少し心配そうに窓の方をちらちと見る。

 天変地異の前触れではないかと思うほどの激しい雨。近頃は台風でなくとも、ただの雨でもそれと変わらないほどの被害を出すことも少なくない。


「……まったく、凄い雨だな」


 老教師の眠たい授業を聞き流しながら、窓の外、まるで生き物のようにうねりを上げて窓に叩きつけられる雨風を観察する。確か天気予報では今日は曇りだったはずだ。お天気お姉さんがじゃんけんをしながら告げていたので間違いない。

 朝方は少し雲が多い程度で、この分なら傘はいらないだろうと思っていたのだが、やはり桃華の忠告に従って折り畳み傘を鞄に突っ込んできて正解だった。俺のお天気お姉さんは桃華だったようだ。


「はい。ほんとうに、困りました」


 と、俺が漏らした声に反応し、隣からそんなつぶやきが聞こえた。

 俺が話しかけたのだと思ったのか、天ノ目は本当に困ったように言って、こちらにいつもの嘘くさい笑みを向けてくる。

 あまり関わりを持たないように、最初の頃のように話しかけることはなくなったのだが、そんな俺の考えなどもちろん天ノ目に伝わるわけもなく、こうして普通に話しかけてくることもある。そんなわけで、もういっそ嫌われた方がこいつのためになるのではないかと最近は思ったりもしているのだが、しかし、流石に自ら進んで嫌われるような態度をとるのは心に来るものがある。


「……今は授業中だぞ。よそ見するな」


 一瞬無視するべきかとも思ったが、ヘタレが発動し、つい普通に答えてしまった。


「あなたも同じことをしているのですか……」


 困ったような、呆れたような顔で言って愛想笑いする天ノ目。


「それで、何が困ったんだ?」


 そんな天ノ目を無視して、俺は気になったことを尋ねる。


「え? ……いえ、実は今朝、天気予報を確認するのを忘れてしまって」


 ――どうしましょう。


 いつになく弱った様子で言って、もう一度窓の外に目を向ける天ノ目。

 その視線を追って俺もまた窓の外を見ると、未だ雨は降りやむことなく、むしろ数刻前よりもその激しさを増しているように見える。


「そうか。それは災難だな」


 俺はそれに適当な返事を返し、窓から教卓に視線を移す。教卓では未だ現国のおじいちゃんが弱弱しい声で教科書を朗読していた。

 聞いたところで、俺が何かをしてやれるわけでもない。

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