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第38話:次元のシミと「異界の大掃除」

お読みいただきありがとうございます!

第38話は、物語の規模がついにこの世界の「外」へと飛び出します。

あまりにも徹底的に磨き上げられた王宮。しかし、その「究極の清浄」が、予期せぬ次元の歪みを引き起こしてしまいました。

現れたのは、世界の理を侵食する「未知の汚れ」。

物理的な掃除が通用しない概念的な不浄を前に、フェイトが提示する「次元レベルの清掃術」とは?

勇者のモップが唸り、将軍のバケツが吼える、時空を超えた大掃除の幕開けです!

「摩擦ゼロ事件」を禁断のワックスがけで乗り切った王都に、ようやく「歩ける喜び」が戻ってきたのも束の間。フェイトが極限まで空間を磨き上げた副作用は、物質界の壁をも透過させてしまっていた。

 王宮の地下、最も清浄に保たれた「絶対清潔の間」の壁面に、それは突如として現れた。

 この世界の色彩とは明らかに異なる、どす黒く、粘つくような質感を放つ亀裂。それは、隣接する異世界——「不浄次元・ゴキブリノス」から漏れ出した、次元のシミであった。


「……フェイト様。あそこに、見てはいけないものが付着しています」


 エルシアが顔を青くして指差す先では、亀裂から「永遠に拭き取れない絶望」のような形をした、形容しがたい触手状の不浄が這い出し、ピカピカの床を汚し始めていた。その触手が通った後は、フェイトが磨き上げた「透明」が瞬時に濁り、ドロドロとしたヘドロへと変質していく。


「ふむ。この世界の汚れではないな。どうやら、磨きすぎたせいで次元の壁が薄くなり、向こう側の『ゴミ捨て場』と繋がってしまったらしい」


 フェイトは眉一つ動かさず、愛用の白い手袋をキリリと嵌め直した。

 そこに、最新の「次元干渉型スチームクリーナー」を担いだヴォルグと、特注の「魔法防護エプロン」に身を包んだガウス将軍が駆けつける。


「師匠! あいつら、俺たちの聖域を……! 三日三晩かけて磨いた、あの光沢を台無しにしています! 許せません!」


 ヴォルグの目には、かつて魔王と対峙した時以上の殺気が宿っていた。彼にとって、美しく磨かれた床を汚されることは、勇者の誇りを踏みにじられることと同義であった。


「落ち着け、ヴォルグ。敵は異次元の概念そのものだ。ただの雑巾では歯が立たん。……これを使え」


 フェイトが二人に手渡したのは、青白く発光する液体が入った小瓶だった。

「それは『神域抽出・漂白エッセンス』。一時的に使用者の魔力を『究極のアルカリ性』に変換する。それをモップに染み込ませて、次元の亀裂ごと『こすり落とす』んだ」


「了解しました! ……行きますよ、ガウス殿! 第一次異次元除菌作戦、開始だ!」


「おおお! このバケツに誓って、不浄をこの世に残しはせん!」


 二人は猛然と次元のシミへと突っ込んだ。

 異世界の触手が、呪いと腐敗の言葉を吐き散らしながら襲いかかる。しかし、漂白エッセンスを纏ったヴォルグのモップは、触手に触れるたびに「ジュッ!」という凄まじい音と共に、不浄を純粋な光の粒子へと分解していく。

 ガウス将軍は、バケツから溢れ出す「浄化の波」を壁面に叩きつけ、亀裂が広がるのを力技で抑え込んだ。


「……さて、仕上げだ」


 フェイトは静かに亀裂の正面に立つと、右手を空中に突き立てた。

「汚れが向こうから来るのなら、向こう側を掃除するまでだ。……全自動・次元洗浄サイクル、起動」


 フェイトの魔力が王都全域の「清潔エネルギー」と共鳴し、巨大な吸引力を生み出した。それは亀裂から漏れ出す不浄を吸い出すのではなく、逆に「強烈な洗浄成分」を異次元側へと噴射する逆流洗浄であった。

 亀裂の向こう側から、聞いたこともないような異形の悲鳴が響き渡る。

 数千年にわたって積み重なっていた不浄次元のゴミたちが、フェイトの容赦ない「高圧次元洗浄」によって、一気に洗い流されていく。


 やがて、どす黒かった亀裂は、眩いばかりの純白の光へと変化し、最後にはパチンと音を立てて消滅した。

 後に残されたのは、以前よりもさらに輝きを増し、うっすらと神々しいオーラを放つ、完璧に「除菌完了」した地下室だけだった。


「……ふぅ。これでしばらくは、向こう側からの侵入もないだろう。ヴォルグ、そこの隅に一箇所だけ磨き残しがあるぞ。やり直しだ」


「は、はい! 申し訳ありません、師匠!!」


 こうして、世界を揺るがすはずだった異次元からの侵略は、フェイトの「ついで掃除」によって、歴史に刻まれることもなく綺麗さっぱり消し去られたのである。

 しかし、この一件で「フェイトの掃除は異次元まで届く」という噂が、天界の神々の耳にまで届くことになってしまった。

第38話をお読みいただきありがとうございました!

ついに異次元(不浄次元ゴキブリノス!)から「シミ」が漏れ出してきましたが、それすらもフェイトにとっては「高圧洗浄機の逆流モード」で解決する程度の問題でした。

「向こう側が汚いなら、向こう側を掃除すればいい」という、フェイトのあまりにも脳筋(清掃脳)な解決策には、ヴォルグたちも心酔するしかありませんね。


そして、その噂がついに天界の神々にまで……。

これまで人間や魔族を相手にしてきたフェイトですが、次なるターゲットは「雲の上の神殿」になってしまうのでしょうか。


さて、物語の着地点についてですが、現在**「全45話〜50話」**程度での完結を予定しています!

残すところあと10話前後。ぜひ最後まで見守っていただければ幸いです!

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