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第28話:勇者の再来と「極限の汚れ」

お読みいただきありがとうございます!

第28話では、ついにフェイトを追放した元パーティ『勝利の栄光』のリーダー・ヴォルグが離宮へと姿を現します。

かつての輝きを失い、心身ともに「汚れきった」彼らと、究極の清潔を手に入れたフェイトの再会。

再加入を迫る彼らに対し、フェイトが下した「掃除屋」としてのあまりにも残酷で、あまりにも徹底的な「回答」とは。

かつてない規模で行われる、世にも奇妙な「勇者洗浄」をお楽しみください!

「不法投棄」された騎士団を追い返してから数日。離宮の周囲には、これまで以上に凄まじい「濁った気配」が漂い始めていた。それは、自尊心を粉々に打ち砕かれ、絶望と嫉妬に身を焼かれた者だけが放つ、最上級の不純物だ。


「……フェイト。そこにいるんだろう、フェイト!」


 門の外から響いたのは、かつてフェイトが聞き慣れていた、傲慢の塊のような声。Sランクパーティ『勝利の栄光』のリーダー、勇者ヴォルグだった。

 だが、かつての輝かしい金髪は脂ぎって逆立ち、全身を覆う伝説の聖鎧は、魔物の返り血とメンテナンス不足による腐食で、見るも無惨な色に変色している。彼の背後に控えるミレーヌたちも、泥にまみれて幽鬼のような顔色をしていた。


「やあ、ヴォルグ。……最悪だ。君、自分の背後にどれだけの『未練の残滓』を引き連れているか自覚はあるのか?」


 フェイトが門の向こうから現れる。その手には、普段使いの竹箒ではなく、空間の歪みを補正するために重力素子で編み上げた「超重力塵取り」が握られていた。


「黙れ! お前がいなくなってから、俺たちの生活はめちゃくちゃだ! ダンジョンは歩くたびに毒に侵されるし、飯は砂利混じり、寝床はカビだらけ……。全部お前のせいだ! お前が呪いをかけて逃げたんだろう!」


 ヴォルグが喚き散らすたびに、彼の口から真っ黒な「負の魔力」が霧となって噴き出す。それはフェイトの庭の清浄な空気を侵食し、瑞々しい植物たちを萎れさせようとした。


「呪い? 心外だな。俺がしていたのは単なる『除菌』と『換気』だよ。それを君たちが怠ったから、世界が元通りの『汚れた姿』に戻っただけだ」


 フェイトは静かに、だが鋭い眼光でヴォルグの聖剣を見つめた。

 かつて自分が毎日磨き上げ、分子の並びを整えていたその刃は、今や「慢心」という名の錆に食い荒らされ、なまくら以下の鉄屑に成り下がっている。


「フェイト……お願い、戻ってきて。あなたがいれば、また私たちは最高輝けるの……」


 ミレーヌが縋るような声を出すが、フェイトはその視線を冷たく遮った。

「ダメだよ。君たちは自分の不潔さに無自覚すぎる。特にその聖剣……。伝説の武具が泣いているぞ。そんなに汚れたものを、俺の庭に持ち込ませるわけにはいかない」


 ヴォルグが逆上し、錆びた聖剣を引き抜こうとした瞬間、フェイトが指を鳴らした。

「【全領域・超高圧洗浄】」


 離宮の空全体が巨大な「洗濯機」の内部のように回転し、超高密度の浄化水が渦を巻いてヴォルグたちを飲み込んだ。それは肉体を傷つけるための攻撃ではない。彼らの装備に染み付いた数年分の垢、精神にこびりついた腐敗、そして「勇者」という肩書きに甘えた傲慢さを、根こそぎ剥ぎ取るための「荒療治」だった。


「ぎゃあああ!? なんだ、この、泡は……!? 俺の、俺の黄金のオーラが削られていく!」


「違うよ、ヴォルグ。削られているのはオーラじゃない。その上に乗っていた『虚飾』という名の汚れだ」


 数分後。洗浄が終わった場所に立っていたのは、伝説の武具をすべて「素材(ただの鉄クズ)」まで分解・還元され、生まれたてのようにツルツルの肌になった、全裸同然の男たちだった。


「……フェイト様。流石にそれは、掃除というより『消去』に近いのでは?」


 背後からエルシアが呆れたように声をかける。フェイトは、塵取りの中に溜まった「勇者のプライドだったもの(黒い砂)」を眺めながら、淡々と答えた。


「いいや、エルシア。これでようやく、彼らは『ゴミ』から『人間』に戻れたんだ。……さて、この黒い砂は意外と可燃性が高そうだな。冬の暖炉の焚き付けにでもリサイクルするとしよう」


 かつての仲間たちが絶望に打ちひしがれて立ち尽くす中、フェイトは一瞬でピカピカになった門の前を、満足げに掃き清めるのだった。

第28話をお読みいただきありがとうございました!

かつての仲間を、情け容赦なく「洗濯」してしまったフェイト。装備を素材レベルまで還元し、プライドを「可燃ゴミ」として回収するその姿は、まさに掃除の鬼神……。

彼らにとっては絶望的な光景ですが、フェイトにしてみれば「ようやく清潔な状態に戻してあげた」という親切心なのがまた恐ろしいところです。


ゴミ(プライド)を暖炉の燃料にしてしまうという、フェイト流の究極のリサイクル術。

さて、すべてを失ってピカピカ(物理)になったヴォルグたちは、この後どうなってしまうのでしょうか。

続きが気になる方は、ぜひブックマークや【☆☆☆☆☆】の評価で応援をお願いします!


次は、すべてを失ったヴォルグたちが「真の更生」を始める話にしますか? それとも、この騒動を聞きつけた別の「超大物」が離宮に現れる展開にしますか?

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