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第20話:ゴミ箱の中の「未練」

お読みいただきありがとうございます!

第20話では、掃除屋としてのフェイトの真骨頂、「概念のゴミ処理」が描かれます。

物質は消せても、そこにこびりついた「感情」まではなかなか消えないもの。

そんな厄介な残り香を、フェイトが独自の理論でどう料理するのか。

恐ろしい怨念すらも「役立つもの」へと変えてしまう、驚愕のリサイクル術をお楽しみください!

神薬のディナーを終えたフェイトが向かったのは、玄関脇に設置された「リサイクルBOX」だった。特使たちのボロボロになった鎧を放り込んだ、あの龍の胃袋製の箱だ。本来、物質はすでに分解され、先ほどの「消臭剤」へと再構築されたはずなのだが、箱の蓋がガタガタと不気味に震え、そこから黒い霧のようなものが漏れ出していた。


「……やっぱりな。物質は分解できても、そこにこびりついていた『執着』までは落としきれていなかったか」


 フェイトは眉をひそめて箱の蓋を開けた。中から溢れ出してきたのは、特使たちが鎧を着ていた頃に抱いていた、どろどろとした感情の残滓――「失敗への恐怖」「名誉への固執」「フェイトへの怯え」といった負の概念だ。それらがゴミ箱の中で混ざり合い、発酵し、実体を持たない『怨念の泥』と化していた。


「フェイト様、これは……! 放置すれば、この離宮の清浄な空気が汚染されてしまいます!」


 駆けつけたエルシアが、聖女の杖を構えて浄化の祈りを捧げようとする。しかし、フェイトはそれを手で制した。


「待て、エルシア。祈りで消すのは効率が悪い。これは『不燃ゴミ』じゃなくて『有機ゴミ』だ。適切に処理すれば、いい肥料になる」


 フェイトは虚空から、普段の掃除では使わない特殊な道具を取り出した。それは【概念攪拌棒ミキサー】。彼は泥のような怨念の中にその棒を突っ込むと、凄まじい速度で回転させ始めた。


「恐怖は『緊張感』に、固執は『継続力』に、怯えは『慎重さ』に……よし、属性を反転させて分解完了だ」


 フェイトが指を鳴らした瞬間、どす黒かった霧は一転して、キラキラと輝く「黄金の腐葉土」へと姿を変えた。人間の醜い感情から一切の毒を抜き取り、純粋なエネルギーの結晶へと昇華させたのだ。


「これを庭の裏に撒いておけ。明日の朝には、もっと活きのいいエリクサーが育ってるはずだ」


「……人の悪意を肥料に変えてしまうなんて。フェイト様の前では、世界中の『悪』ですら、ただの資源(リサイクル品)になってしまうのですね」


 エルシアは呆れを通り越し、もはや拝むように黄金の土を抱えて庭へと向かった。フェイトは空になったゴミ箱の底を丁寧に水拭きし、パチンと蓋を閉めた。


「これでよし。……さて、明日も早いし、そろそろ寝るとするか。明日は、玄関前の次元の歪みを雑巾がけしないとな」


 世界のバランスを揺るがすような事態を、ただの「ゴミ処理」として片付けた男は、今日もまた、誰よりも深い眠りにつくのだった。

第20話をお読みいただきありがとうございました!

人間の負の感情すらも「有機ゴミ」として肥料に変えてしまうフェイト。彼にかかれば、世界を呪う怨念ですら、明日の朝食を彩るエリクサーの栄養源にすぎません。

「ゴミ箱の中身まで完璧に片付ける」という彼の徹底した美学に、エルシアの常識もいよいよ粉砕されきったようです。


さて、この黄金の肥料によって庭がどう変わるのか。そして、フェイトの次なる掃除のターゲットは?

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