ロールプレイヤーズ
「『占い師』は名前通り占いもできるんだけど、一応は戦闘系のジョブで、『占術』って呼ばれるスキルを使えて、実質どの属性の魔法も使うことができるの」
「それって強くないですか?」
「かわりに結構運が絡むスキルが多いって聞いたかな」
カマセーヌの知り合いに『占い師』を取っているキャラがいるとのことで、その人物に会いに向かう道中、ケイディアはフローデから『占い師』というジョブについての説明を聞いていた。
「代表的な『タロット』って技は、タロットカードを投げて、タロットが正位置か逆位置かで属性や効果が変化して、場合によっては自分にダメージが返ってきたりとかもあるらしいよ」
「運のパラメーターが絡んでくるんですかね」
「たしかそのはず。不確定要素が強すぎて、わたしは取ろうとは思わなかったな」
「へぇー……」
精神力と運を重点的に上げていくのが、一般的な占い師のステータスの振り方である。
そんなフローデの説明を聞きながら、先ほどから気になっていることをケイディアは聞いてみることにした。
「ところで先輩」
「ん?」
「だんだん口調が女性的になってません?」
ケイディアの指摘にスイッと目をそらすフローデ。そんな気はしていたが、やはり、故意にやっていたことのようだ。
「いやあ、女の子の声で男口調なの違和感あるからさあ。もうなりきりロールしてしまおうと思って」
「そうですか……」
「ここからネカマパワー高めていこうと思うので。よろしくね!お兄ちゃん!」
「お兄ちゃんはやめてくださいw」
ピースサインの振り付きで挨拶を飛ばしてくるフローデにケイディアは苦笑気味に返す。
圭馬自身、女性キャラを使うことも少なくないため、ネカマプレイに嫌悪感があるわけではないが、キャラが目の前で動くVRゲームだと、どうしてもリアルでの顔がちらついて複雑な気持ちになってしまうのだった。
そんなケイディアの心中をよそに、フローデはネカマパワーを高めるべく、かわいらしいポーズや仕草を実践中である。
「わかりました。先輩のことはなるべく女性キャラとして扱います……」
「そ、そんなに苦しそうに宣言しなくても。年下の女の子だと思ってタメ語で話してもいいぐらいだよ」
「いきなりは無理かな……当分は幼女先輩ってことで」
「後輩に不本意なキャラ付けをされてしまったw」
幼女先輩は落胆したように肩を落とすが、普段からケイディアの先輩への扱いはこんなものである。先導するカマセーヌが、わははと笑いながらケイディア達のほうへ振り向いた。
「まあロールプレイは恥じらいを捨ててなんぼだからな!どんどんやってこうぜ!」
「はい!そのうちリアルのわたしを見て違和感が出るレベルにしてやります!」
「やめてほしいw」
意気投合する2人のロールプレイヤーに挟まれてケイディアは苦い顔になる。
「イトリスは他の町に比べてロールプレイヤーとか変なジョブ構成の人が多いんですよね」
「……それは否定できない」
「そうだな。俺の知り合いにも多いぞ」
「俺はカマセーヌ様が元凶だって噂を聞きましたけど……?」
「……まあ思い当たる節が無くも無いな」
「ちなみにどんな方がいるんですか?」
フローデの質問にカマセーヌは「そうだなぁ」と呟き、指を折りながら挙げていく。
「忍者の恰好をしたエセ外国人、感情豊かな女暗殺者、腹黒聖女、双子の双剣士、大砲娘、幽霊憑き、バンドグループ、ハイスピードデブ、筋肉タンク、邪気眼、宇宙人、元天使、元悪魔、元勇者、元魔王、元会社員」
「なんすか元会社員って」
「会社で仕事をしていたはずなのに、気づいたらこの世界にいたらしい」
「異世界転生かな……?」
「なるほど……?え?これ全部知り合いですか?」
「見かけただけなのと噂で聞くやつもいるが……まあ半分くらいは知り合いだな」
顔が広いカマセーヌといえど、全員と知り合いというわけではないらしい。
そんな雑談を交わしながら歩くうちに、一行は目的地である町の東側の大通りにたどり着くのだった。
随分長いこと放置していて申し訳ない。
何話か続けて更新する予定です。




