VSレッサーレッドドラゴン
「グオオオオオオオオォォォォ!!」
「囲め囲め!どの攻撃も当たれば死ぬぞ!」
「ちっ……!このっ!」
雄叫びを上げながら突進してくるドラゴンに、4人は囲むように左右に分かれた。移動しながらもケイディアは眼を狙って弓を射る。だが、動きながらスキルも使わずに撃った矢は、ドラゴンの太い首にあたり、ダメージを与えることはできない。
だが、攻撃をされたとは認識されたらしく、ギョロリとその眼がケイディアを捉える。
「おらっ!『ファイアショット』!」
ダングルスも魔法を唱える。『ファイアボール』よりも威力は劣るが、どうせダメージは通らないのだから上位の魔法は使うだけ無駄である。案の定、ドラゴンは顔に炎の直撃を受けてもびくともしなかった。
「グオオオオオオオオォォォォ!」
「尻尾の薙ぎ払いだ!」
「っ!!」
ドラゴンが攻撃のモーションに入った瞬間にダングルスの声が飛ぶ。ケイディアは尻尾が届かない位置まで跳び退き、難を逃れた。
「攻撃パターンとかわかるのか!?」
「ベビーと同じ動きならな!火球来るぞ!」
続けてドラゴンは火球を連続で吐き出してくる。ベビーよりも数段早いが、二重に移動バフのかかったケイディアとダングルスはそれを難なく避けながら、弓と炎で攻撃する。目元を狙って挑発しつつ、サリミラとはなるべく対面の位置を取るように移動する。
「つーか、クロちゃんは?」
「『ファイアショット』!どっかで魔力回復させてんじゃねえ……っかな!」
飛んできた火球を避けつつダングルスが答える。
サリミラは大きな銃を抱えながら機をうかがっているのが見えるが、ドラゴンのほうもサリミラの銃を警戒しているのか、牽制する様に時折火球を飛ばす。
そしていつの間にやらクローベルの姿はない。岩陰にでも隠れているのだろうか。
クローベルの攻撃スキルは近接技のため、注意を引こうにも手軽な攻撃手段がないのだ。先ほどMPが切れたため、自動回復するのを待っているのかもしれない。
「まあ今のところ2人でもなんとかなってるが……っと知らないモーション来たぞ!多分ブレス系!」
大きく息を吸い込んだドラゴンを見て、ダングルスが声を上げる。
息を吸い込む予備動作が終わると、ドラゴンは右から左へと首を動かしながら炎を吐き出した。逃げ場を作らない全体攻撃である。適正レベルならば耐えられるのかもしれないが、レベル差のある自分たちが食らえば大ダメージは免れない。
「『ハイジャンプ』!」
「炎よ!『ドラゴンブレス』!……くっ!」
とっさの判断でケイディアはジャンプによる回避を、ダングルスは魔法による迎撃を行った。ケイディアは上手くブレスを飛び越えノーダメージだったが、ダングルスのほうには結構なダメージが入った。
そのままドラゴンはブレスを吐きながら円を描くように一回転する。
「真下に『アースウォール』!からのジャーンプ!」
サリミラは土属性魔法の『アースウォール』で壁を作り、そこを土台にジャンプしてかわした。作った土壁はブレスに耐えられずに崩れたが、タイミングよくジャンプしたおかげで、ブレスによるダメージは0だ。少し落下ダメージは入ったが。
「サリ!大丈夫か!?」
「平気ー!そろそろ行くよー!」
声を上げて無事を主張するサリミラ。その声に答えるように、クローベルが少し離れた岩陰から姿を表すのが見えた。軽くステップを踏むと、そこから一直線にドラゴンに向かって走り出す。
走り出してからほんの一瞬で、クローベルの体は現実世界では出せないほどの速度に到達する。走りやすいとは言えない地形をものともせず、ものの数秒でドラゴンへと肉薄した。
ブレスを吐き終わったドラゴンは地を駆ける音が聞こえたのか、そちらに首を向けようとするが、もうクローベルは止まらない。
「『流星拳』!」
クローベルは一直線に、技名の如く、流星のように駆け抜ける。そしてその勢いを緩めることなく、高速の拳をドラゴンの横腹に叩きつけた。
スタミナのシステムが無いので、マラソンみたいに走るのは無制限にできますが、短距離走のような全力のダッシュは、長時間やるとLP(体力)が削れていきます。




