逃走か闘争か
「回避ー!回避ー!」
「わああああああ!!」
突っ込んでくるレッサーレッドドラゴンをケイディア達は左右に別れて回避する。その間を炎を吐きながら体長7メートルはありそうなドラゴンが通過していった。ドラゴンは数メートルの距離を滑空し、翼を羽ばたかせて着地した。
「ど、どうすんのよ!?逃げる?」
「セーフティエリアは結構先だから、飛んで追ってこられたらどうしようもないぞ!?」
「いや、でもとりあえず逃げるぞ!勝ち目ねぇわ!」
幼体ですらまともに戦って倒せるかわからないのに、その成体が相手ではどう考えても勝ち目がない。サリミラの攻撃なら通るかもしれないが、幼体と成体では適正レベルも段違いで、防御力も体力も比べ物にならないのだ。逃げ切れるかは賭けだが、とりあえず逃げる方針でまとまるかに見えた。だが、
「格上とどれだけ戦えるか試すんじゃなかったのー?」
そんな声に振り向くと、サリミラは銃を構え、すでに臨戦態勢。ゆったりと伸びた口調とは裏腹に、じっとドラゴンを見据えて視線をそらさない。
「やだ、かっこいい……」
「トゥンク……」
「ボケてる場合じゃないよ!?」
口元を押さえ、ときめいた乙女のようなリアクションの男二人にクローベルは律儀にツッコミを入れる。ドラゴンは逃げる気のないサリミラを警戒しているのか、グルグルと咽を鳴らしながらこちらの出方をうかがっているようだ。
「で、どうするんだリーダー」
「もう私はバフ撒くくらいしかMPのこってないけど」
「どっちにせよ、わたしは戦っていくよー?」
「……わかったよ。デスペナ込みでも黒字だ」
「やるぞ」とダングルスが決意を口にする。ドラゴンは自分に向けられる敵意を前に、いっそう唸り声を大きくした。
「とりあえず、どうにかサリが一発入れろ。もし、それが効かなきゃ打つ手無しだ。逃げるぞ」
「まかせてー。今までこれを食らって無事だったやつはいないんだからー」
「じゃあ……『フェザーステップ』」
「これでMP最後だからね?……全員に『スピードアップ』」
ケイディアとクローベルが二重のバフをかけ、全員の移動能力を上げる。もう回復のためにMPを温存するつもりはない。クローベルのMPはほとんど空になり、ケイディアのMPもあとわずかだ。
「ついでだ。……火の加護を『ファイアーソウル』」
「炎耐性バフか」
「まあ無いよりましだろ」
『ファイアーソウル』は火属性のダメージを軽減する火属性魔法である。軽減するといってもドラゴンのブレスが直撃すればおそらく即死は免れないので気休め程度ではあるが。
ちなみに、先ほどからほとんど魔法を使っていないため、ダングルスのMPにはまだ余裕があるようだ。
「3人で攪乱、サリが一発を狙う、ってことで」
「わかった」
「了解」
「おっけー」
「じゃ、行くぞ!」
方針を決め、ダングルスの掛け声で4人は散開するように動き出す。
ドラゴンからすれば、先ほどまではただ一方的に狩るだけの存在だった逃げ腰の人間たちが、挑んでくるという状況は面白くないのだろう。レッサーレッドドラゴンはひときわ大きく咆哮を上げ、こちらに向かって走り出した。
レビューで急にべた褒めしても何も出ないんだからねっ!(ツンデレ)
流石に一年放置したら続き書かないなと思ったので、4月を機会に更新しようと思ってたのに……(一週間経過)
とりあえず2部完結までは書き上げたいと思います。




