本日のクエスト
「お、これがちょうどいいんじゃないか?」
全員の装備が出来上がり、ケイディア達4人はクエストボードの前で受けるクエストを探していた。
「火炎蝙蝠の羽の納品ねぇ。羽は何に使えるの?」
「……調合と裁縫素材だな」
「却下で」
「火炎竜の鱗の納品なんかもあるよー?」
「おいサリミラ、なんのために行くのか忘れてないか?」
「火山付近の討伐系のクエストは人気高いみたいだなあ。全然無い」
ケイディアの言う討伐系のクエストとは、○○というモンスターを○匹倒せ、といったクエストのことだ。これを頼むのは基本的にNPCしかいないため、プレイヤーが注文することもある納品系クエストよりも数が少ない。
「草原エリアの落とし穴の撤去……。土木作業か?」
「土属性魔法あれば楽できそうだな」
「帰ってきて残ってたらソロで行こうかなー?」
「みんな、火山のクエスト探してね?」
あれでもない、これでもないと悩む彼らに人影が近づいてきた。
「おう。お前ら、火山に行くのか?」
話しかけてきたのは巨体の男だった。上半身は素肌に1枚羽織っただけの、見るからに荒くれ者といった格好をしている。
「ん?ああ、そうなんだよ。幼火竜を狩りに行くついでに受けられるクエストを探してるんだ」
「カマセーヌ様こんちわー」
「おう、サリミラ」
「……いつの間に仲良くなったんだ?」
話しかけてきたのは、最初の日にサリミラに絡んできたカマセーヌだった。そのサリミラとダングルスはやけに親しく接している。
「一昨日、かな。サリミラといたときに」
「先日のお詫びもされたんだよー。ギャラも貰ったのに、カマセーヌ様紳士だよねー」
「ここで言うんじゃねぇよ。キャラが崩れるだろ」
この和やかな会話はすでにキャラを崩しているのではないだろうか。ケイディアはそう思ったが口には出さなかった。
「えっと、ケイディアです。こいつらとはリア友です」
「クローベルです。私もです」
「おう。俺様はカマセーヌだ。よろしくな。敬語は使わなくていい」
ケイディアとクローベルはニヤリと悪そうな笑顔のカマセーヌと握手をする。顔は悪役面だがそれもロールプレイなのだろう。
「あれー?カマセーヌ様って、もう2人くらい連れてなかったー?」
「ああ、トリマキとキンチャクは今日は都合が悪いらしい」
「いいのか、そのネーミングで」
残念な名前のメンバーで苦笑いしか出てこなかった。
「それよりお前ら、火山付近に行くならこの依頼なんかいいんじゃないのか?」
「ん?岩石鳥?」
カマセーヌが指したのは、岩石鳥の鶏冠10個の納品だ。
「火山の周辺を飛んでる魔物なんだが、ノンアクティブで地上になかなか降りてこないから狩りにくいんだよ。しかも鶏冠は微レアアイテムだから数狩らないと手に入らなくてな」
「報酬は、1500Nと……プルプルボール30個ってなんだ?」
「プルプルの微レアドロップだな。投げて遊べる」
「ゴミアイテムなんだよなあ。今の相場1個10Nいってないだろ」
プルプルボールの解説をしたカマセーヌに補足をするダングルス。
「錬金スキルでプルプルを作り出したり何かできるんじゃないかと試行錯誤してる奴もいるらしい。今のところ使い道は見つかっていないな」
「まあプルプルボールはおまけとして、1500Nは悪くないな」
一人辺り400N近く入ることになる。彼らのパーティは遠距離職が充実しているため、難易度もそれほど高くない。火山に行くついでに受けるクエストの報酬としては十分だった。
「岩石鳥の鶏冠は何に使う素材?」
「えーっと……知らねえ」
「調合か錬金素材だったはずだ。裁縫には使えないぞ。逆に岩石鳥の羽は裁縫の素材にできるはずだ」
「あ、それならいいかな。ありがとうございます、カマセーヌさん」
「へっ、礼には及ばねえぜ。どうしてもっつうなら体で払ってくれても」
「はーい、そこまでねー」
サリミラに銃口を向けられ、肩をすくめるカマセーヌ。ケイディア達の中でカマセーヌの悪役キャラはすっかり崩壊していた。
いい人オーラが隠しきれていないカマセーヌ様。
やっとクエストに出発できます!




