ホルテ遺跡
ホルテ遺跡は遺跡の中でも小規模な物である。それでも小さな美術館ほどの広さがあり、クエストの事前情報によると、地上2階、地下1階の3層分のフィールドがある。
「到着ー」
「やっと着いたな」
「ああ、いい運動になった」
「ゲームの中だけどね……」
そのホルテ遺跡の入り口までやってきたケイディア達。クラリネと別れた後はそれほど歩いていないが、町からは30分近く歩いている。
「車とか自転車とかないの?この世界」
「馬車とか魔法で動く車とかのレンタルは門の近くにあったぞ?隣町への乗り合い馬車もあるし」
「乗り合い馬車ってファンタジーっぽいよねー」
「へぇ。そんなものもあるのか」
転送装置以外の交通手段もあるらしい。ただ、何をするにも費用がかかるので、新米冒険者にとっては歩いて行ける範囲が狩場となる。
「よし、じゃあ乗り込むか」
「おー!」
今回のクエストの達成条件は、ホルテ遺跡に出現するゴブリン種をメンバー数×5体、つまり20体を討伐することだ。4人は意気揚々と遺跡に潜り込む。
遺跡の内部の壁には火のついた松明がかかっており、通路を照らしていた。
「中は明るいな」
「一応松明くらいは準備しておくべきだったかもね」
「暗かったら困るとこだもんねー」
「……今、『トーチ』の魔法を覚えたから大丈夫だ」
会話で松明の魔法を思い付いた判定がされたようだ。ただ十分明るいので、せっかく覚えた魔法だが、使わずに奥へと進む。
「お、広い部屋だぞ」
通路の先はエントランスホールだろうか、少し広い部屋へとつながっていた。奥には両開きの扉が見え、部屋の中に入ると左右にも通路が伸びていることに気付く。ダングルスに並んでケイディア、その後ろからサリミラとクローベルが付いてくる。
そして最後尾のクローベルが部屋に入った瞬間、2つの影がクローベルの背後に降ってきた。
「え!?」「何!?」
「「ギギャギャー!」」
降ってきた影はゴブリンだ。先ほどぼこぼこに倒した相手だが、クエスト開始直後の奇襲に4人は少なからず動揺する。ゴブリン2匹は2匹ともがクローベルに躍りかかった。
さらに、ギィ、と正面の扉が内側から開いた。
「グガアアァ!!」
「「!!??」」
扉を押し開け咆哮をあげながら、出てきたのは1匹の大きな魔物だ。背中を丸めた2メートルほどの巨体に太い腕。両の手には切れ味は鈍そうだが硬質化した爪を生やし、その太い手首には鎖のちぎれた鉄製の手枷がはまっている。
レッサーオーガと呼ばれるその魔物は、オーガ種の中では最底辺の魔物だが、新米冒険者にとっては驚異となりうる存在である。素早さは無いが、冒険者たちの倍近い巨体が振り回す太い腕と爪は、容易に彼らのLPを吹き飛ばすだろう。
おまけとばかりに両側の通路からも1匹ずつ、2匹のゴブリンが顔を出した。逃げ場は無い。
4人の冒険者は瞬く間に5匹の魔物に囲まれてしまった。
フラグは回収するもの!
ちょっと短めですが、キリがいいのでここまでです。
追記:ちょっと伸ばしました。




