リベンジマッチ
「おい!誰だ!出てこい!」
ダングルスが声を張り上げ、矢が飛んできた方向に注意を向ける4人。だが、予想に反して草薮から現れたのはPCではなくゴブリンだった。
「ギギャギギャ!」
「グギャグギギャ!」
「……またこいつらか」
「PKじゃなくてよかったと言うべきか」
ゴブリンの数は3体。そのうちの1体が弓を持っている。
「俺が棍棒持ちを一体相手するからケイも「昨日の恨みー!!」おい!?」
ダングルスが指示を出す前にクローベルが飛び出した。
「ふんっ!」
「グギギギャ!?」
「グギャギギャ!」
そして走った勢いのままゴブリンを殴りつける。スキルも何もない単純な殴り攻撃である。そのクローベルの拳は、見事にゴブリンの顔面を捉えた。
ぶん殴られたゴブリンは転がるようにして吹き飛ぶ。だが、ダメージはそれほどでも無いらしく、すぐに立ち上がり、再び棍棒を構えた。
「クギギャー!ギギギャー!」
「グギャギギャ!ギギャー!」
ゴブリン達は目に見えて興奮している。一方のクローベルは、やり遂げた表情で満足げだ。
「ふう。『アタッカーブースト』」
白魔法だろうか。何かのスキルを使うと、そのまま1人でゴブリン2体を相手に大立ち回りを始めた。
「……おい、ダン、どうするんだよ」
「……もうあいつ1人でいいんじゃないかな」
「がんばれー。ベルちゃーん」
「あっちの弓持ちは任せるから!誰かどうにかしといて!」
その弓持ちのゴブリンはというと、クローベルに対して攻撃をしかけようと頑張っていた。だが、クローベルの動きが激しいことに加え、仲間2体が近すぎるためになかなか弓を射ることができないようだ。
「じゃあ俺が――『ラピッドシュート』」
ケイディアは2本の矢を番え、ゴブリンを狙う。ゴブリンはクローベルを狙うことに必死でこちらの動きには気づいていない。修練所で教わったようにスキルのモーションアシストよりも長く構えることで狙いを絞り、手を放した。
「キギャッ!?」
放たれた2本の矢は立て続けにゴブリンの頭部に命中し、見事にその命を刈り取った。
「お見事―」
「ナイスショット。……サリミラは、銃使ってみなくていいのか?まだ一発も撃ってないだろ?」
「ふっ、切り札は最後まで取っておくものさー」
「まああの状況には撃ちこめないとは思うが」
そう言って戦っているクローベルのほうを見やる。ケイディアは最初よりもクローベルの動きがよくなっているように感じた。やはり先ほどのは能力上昇のスキルだったのだろう。
やがて、最初に1発殴られた方が倒れ、そして残った1体もクローベルの連撃の前に力尽きた。
「よーし、スッキリしたー!江戸の敵を京都で討った!」
「それを言うなら長崎な」
「あれ?そうだっけ?」
「素で間違えてたのー?」
「……ちゃんと用意しとけばゴブリン程度は余裕なんだな。俺の出番もなかった」
本来、同数のゴブリンは全滅するような相手ではないらしい。
「まあこの調子なら、ゴブリン討伐くらいなら楽にこなせそうだな」
「またお前はそうやって……」
ダングルスはフラグを立てるのが好きな男だった。
なぜか京都だと思っていて、予測変換に長崎と出て「あれ!?」と思いました。危ない危ない。
初心者クエストですし、ゴブリンくらい楽勝でしょう(フラグ)




