表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
後宮の魔女〜輿入れした薬学魔法マニア妃は宮中を魔改造ならぬ魔法改造する〜  作者: 朱坂卿
第十症 天竹帰りの三蔵法師による華燿夫人への恋患い
40/40

#40 三匹の手下

「ブヒー!」

「クエッ!」

「ああもう……日本語いや間違えた、大錦語喋りなさいよ!」


 私は目の前の唸る二匹に、そう叫んだ。

 ああ私ったら、日本語なんて話されても分からないわ!


 そうよ、あんたたち大錦語で喋りなさいよ!


「ブヒッ!」

「クエエッ!」

「ああもう……こりゃあ読んで字の如く、大錦語が通じないって奴ね!」


 だけど、妖魔たちは!

 私に応えとして攻撃を返して来た!


「ったく、これじゃあしゃーがないわね!」


 私はさっと躱して。


「玉帝有勅、神硯四方 、木精(シルフ)所司八卦之風使我乗、急急如律令!」

「ぶ、ブヒ!?」

「ク、クエエ!?」


 素早く瓶から薬を撒き、風を起こした!

 ん、目眩しかって?


 いえ、違うわ!


「さあて……さあ、そこのあなた! 私の可愛い弟子を、離しなさい!」


 私はそのまま、風がまとまり旋風となった時を見計らい飛び乗り。


 去魔を抱えて空へと逃げた妖魔を、追いかけたわ!


「し、師匠!」

「ウキ?」

「く、何あれ!? さ、猿?」


 だけど私は。

 未だ空にある、去魔を抱えている妖魔が猿のような姿をしていることに少なからず動揺した。


「師匠、大丈夫です! 僕に構わず」

「莫迦なこと言ってんじゃないわよ! まずはあなたからよ!」

「し、師匠……」


 だけど去魔の一言に、ふと目が覚めた。

 そうよ、仇がどんな姿であれ。


 私は愛弟子を、守らないと!


「玉帝有勅、神硯四方……」

「ウッキー!」

「し、師匠! 危ないです避けて!」


 そうして私が、呪文を唱え出して動きを止めると。

 それを好機と見たのか、猿の妖魔は。


 去魔を抱えたまま、私に突撃を仕掛けて来た!


「……木精(シルフ)所司八卦之風祓妖魔、薬克妖、急急如律令!」

「うわあ!」

「ウッキー!?」


 だけど、飛んで火にいる何とやらね!

 私は風を今乗っているものとは別に起こし、近づいて来た妖魔に掛けてあげたわ!


「し、師匠!」

「えい! 去魔ちゃん……」

「わっぷ! し、師匠……」


 そのまま、自由落下して行く去魔だけど。

 私はそこを、風を急かして受け止めたわ!


「ごめんなさい、去魔ちゃん……」

「! ふ、ふん……お、遅いんですよ……」


 私は去魔を抱いたまま謝り。

 去魔は抱きしめられていることを自覚したのか、顔を赤らめてそっぽを向いちゃった。


 あらあら。


「ごめんなさい」

「ウッキー!」

「ブヒ!」

「クエエエ!」

「! し、師匠敵が!」

「あら……これはこれは。」


 だけど、そんないいところへ。

 さっきの猿の妖魔が、豚と……何かよくわからない妖魔の二匹を雲に乗せ。


 私と去魔が乗る風に鼻息も荒く向かって来るわ!


「し、師匠! 今はひとまず逃げましょう!」


 あらあら、去魔ったら。

 もう怖気付いたのか、そんな風に及び腰よ。


 だけど、それじゃしゃーがないわ!


「いいえ、去魔ちゃん……私は元を探るわ!」

「え? も、元、ですか? ……っぐ!?」


 私は、去魔にそう言うと。

 乗っている風を加速させた!


「そうよ、こいつらがこれまで通りの妖魔なら! 元になった人がいるはず。だったら! この妖魔たちの心に繋がって元になった人の意思を探るわ! だからしっかり掴まっていなさい去魔ちゃん!」

「ひぐう! は、はい師匠!」

「……さあ、妖魔たちいい!」


 私がそう言うと、去魔は私の裾をキュッと掴む。

 ええ、それでいいわ!


 しっかり、掴まっていなさい!


「ウッキー!!」

「ブヒー!」

「クエエエ!」


 私たちの風が向かって来る様に、三匹の妖魔たちも雄叫びを上げた!


 まあ、敵意の現れなんでしょうけど。

 でも。


「さあ……あなたたちのご主人様についてちょっと覗かせてね! 玉帝有勅、神硯四方 、土精(ノーム)所司五志之思――我之思克夢、薬克妖! 急急如律令!」


 私は、夢幻之香を焚き。

 妖魔たちの夢に、入り込むわ!


 ◆◇


「ん……これは……?」

「し、師匠これは……?」


 私たちはふと、目を開けた。

 すると私たちは、どこかの山の中に立っていて。


 周りを見渡しても、どこか分からない。

 と、その時。


「!? そなたは……狐、か?」

「! え……?」


 ふと、茂みの中から声がして。

 私と去魔が、そちらの方を見ると。


「げ、玄壮三蔵法師殿!?」


 そこには、何やら馬に乗る身なりの立派な人と。

 三蔵法師含む、その従者たち。


 その人たちの目の先に、一匹の狐が。


「そなたら……天竹の太子らか! ちょうどよい……うまそうだから食ってやる!」

「くっ、太子様に近寄るな! えい!」

「ぐっ!?」


 ん、天竹!?

 ここは、天竹だって言うの?


 私がそんな風に驚いている間にも。

 その天竹の太子の従者の一人が放った矢が狐の頭に当たった!


「く……覚えておれ!」


 狐はそのまま、捨て台詞と共に走り去って行く――



「ふむ……脈をお見せ下さい。」


 それから少し経ち。

 王宮の中で、太子の妃たる華燿夫人が頭が痛いというので。


 三蔵法師が、治療に当たることになったわ。


「そなた、大錦の……大陸の東の大国の者か。」

「……え?」


 だけど。


 ん、大錦?

 華燿夫人が、突如としてそんなことを言い出した!


「は、はいそうですが……」

「そうか……懐かしいのう、大錦の者に会うのは!」

「!? な、何だそなたは!」

「! え!?」


 そしてそして、更に驚いたことに。

 華燿夫人が変化したその姿は。


「き、狐之妖妃!?」


 狐之妖妃、そのものだった!


 ――はあ、はあ……あの方に……忌まわしいが、惚れた腫れたの話だ!


「!? この声は、三蔵法師!?」


 そこへ。

 この妖魔たちの元である、三蔵法師の声が聞こえて来た!


 ――魔王開封、四凶所被流於四方! 木魔(オリエンス)土魔(アマイモン)所司五志之思――妖克薬、急急如律令!


「む……待って、この声は!? きゃっ!」

「!? し、師匠! ぐあっ!」


 だけど、更に声が響いて!

 私たちは、現実に引き戻される――


 ◆◇


「まったく三蔵法師、悪い子ですよ……そんなにお喋りが過ぎては!」

「! あんたは……」

「ええ、また相見えましたね後宮魔女!」


 な、な何と!


「裏宮妖女!」


 狐之妖妃の娘たる、裏宮妖女が!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ