果たせた再会
その頃、クロエはどこに行くわけでもなく、外を歩いていた。頭の中は先程ダイアンが述べた言葉が何度も巡り、何度も響いていた。
ダイアンはかなりの信頼をナックに置いている。そんなに人を信じ切れるのはすごいと思ったし、ダイアンはナックを羨ましがっていたけど、ダイアンは仲間のピンチにはすぐ駆けつけるし、仲間の苦難を取り除こうと全力で助ける。その姿がまたかっこいい。今ならわかる。私はダイアンが好きなんだ。ナックも決して悪い人間じゃないけど、ダイアンの方が全てがハイレベルだ。私はダイアンの力になりたいし、支えていたいんだ。気持ちに踏ん切りがついて顔を上げると、クロエは女性にぶつかった。
「ごめんなさい!大丈夫ですか?」
「いいのよ。あなたこそ平気?・・・ってあれ?あなたは・・・」
「まさか、あなたは・・・アンネ伯母さん?」
「そうよ!あなたはやっぱり、クロエなのね!ずっと探してたのよ!」
伯母とクロエは抱擁を交わした。
「ハンナからあなたのバイト先の近くでリップオフが出たって連絡を取ってから音信不通になったから、探してたのよ。ハンナは・・・あなたのお母さんは元気?」
「ママは・・・ママとパパは死んじゃったの。リップオフに襲われて。」
「まぁ・・・ごめんなさい、なんてことを聞いちゃったのかしら。」
クロエはすぐに首を横に振った。
「気にしないで伯母さん。伯母さんも辛いでしょ?」
「今、時間はある?近くのカフェで色々話しましょう。」
2人は近くのカフェに行って今までの時間やこれからの生活について話し合った。
「あなたの家のポストを見たら大学からの手紙が来てたわ。おそらく、出席日が少ないことへの警告でしょう。あなたは、あなたを助けてくれた人たちといっしょにいるのが楽しいんでしようけど、あなたは本来、大学生なんだから、学生生活を楽しんで送るべきよ。
そういう訳で、家に来なさいな。家に伯父さんもいるわ、新しい一歩を私達と踏み出しましょう。」
「わかったわ、伯母さん。でも、その前に、みんなにさよならを言いたいの。」
アンネは優しく頷いた。
「私もお礼を言いたいわ。特にダイアンって人には。あなたをまるで騎士のようにしっかり守ってくれたんだもの。」
2人はカフェを後にして本部に向かった。
本部に着くと、クロエはすぐ全員に事情を説明し、ここを去ることを告げた。ナックを始め、ほかのメンバーはクロエとの別れを惜しみ、労いの言葉をかけたが、ダイアンはあっさりと了承した。
「構わない。元々お前は大学生としての生活を送るはずだったんだし、最近は敵が手強くなってるからな。」
クロエは深く感謝の言葉を述べた。
「ありがとう、ダイアン。他のみんなも今まで優しく接してくれた事、忘れないわ。」
クロエの伯母も、姪の肩を抱きながらダイアンに礼を述べた。
「妹夫婦のことは残念だったけど、愛しい姪っ子を守ってくれて頼もしかったわ。これからも、身体に気をつけて、ニッポンを復興できるように頑張ってくださいね。」
ダイアンはアンネに穏やかな笑みを浮かべて頭を下げた。
「ありがとうございます・・・」
掃討班メンバーをはじめ、クロエが少しでも会話したメンバーたちが、クロエとアンネをエントランスで見送った。クロエと伯母は感謝の言葉を何度も述べながら本部を去った。クロエは、見えなくなるまでダイアンの姿を両目に捉えながら、手を振り続けた。




