可愛いか綺麗か
「今クロエが変な感じでここを出てったけど、何言ったんだ?」
「ただ質問に答えただけだ。それ以外は何もしてない。」
詩の朗読でもするように淡々と言うダイアンに、ナックはやんわりと声を荒げた。
「もし、クロエに手を出したらお前でもただじゃおかないぞ。」
するとダイアンは冷ややかに笑った。
「すげぇな、お前は。こんなバカ正直に想いを告白するなんて。クロエもクロエだ、こんなストレートな想いに気づかないなんてな。」
「だ、黙れよ!俺は・・・」
「そのリアクションは正解と捉えていいな?別に俺はお前らの恋路を邪魔する気はねぇよ。ただ仕事に支障をきたさなければ、それでいい。」
心を読む力でもあるのかと聞きたいぐらいに的を射ているダイアンの言葉に、ナックは観念して想いを打ち明けた。
「そうだ。俺は、クロエが好きだ。彼女のことを誰よりも守りたいし、誰よりも側にいたいと思っている。その為には、お前が邪魔なんだよ。おかげで、彼女の想いは全部お前に向かってるんだ。」
それを聞いたダイアンは心からありえないと思った。彼女は何を考えているんだ?昨日、自分の考えは伝えたはずだ。
「ウソだろ?そんな気はないんだけどな。」
「ふざけんな!俺の邪魔はしないって言っただろ!」
「一旦落ち着け。悪かったよ、俺の今の言い方はよくなかったと思う。改めていいか?クロエのどこがタイプなんだ?」
「全部だ。特に笑顔かな。あの喜びを体現したような笑顔が、俺は好きだ 。」
「は?お前の脳内はそんなロマンチックだったか?驚いたよ。」
ダイアンは堪え切れなくなって笑い出した。ナックは即座に顔を赤くしながら声を荒げた。
「笑うなよ!こっちは真剣なんだ。」
ダイアンは裏返る寸前の声で口を開いた。
「だってお前、女は笑顔が武器なんだぞ。
お前に向けた笑顔が作り笑いの可能性もある。」
「お前は彼女の笑顔を見たことないのか?作ってるなんて思わないだろ?」
「確かに、作為は感じなかったな。少なくとも、彼女、根は真面目だと思うよ。」
「お前もそう思うだろ?それに、何事にも全力で取り組む姿が気に入っているんだ。それで慌てる姿がかわいいと思うんだ。」
「なんだ、普通だな。大抵の男は好きな女にそう思うらしいぞ。」
「じゃあお前はどう思ってるんだよ?」
「俺は、アイツのことを・・・綺麗だと思っている。顔も、心も美しい。誰もアイツの心は奪えない気がするし、アイツのそばに男がいることが想像できない。」
「なるほどな・・・もし、俺がクロエへのアプローチを成功したら、彼女は俺に夢中になるに違いない。」
「そう簡単に上手くいくとは思えねぇけど・・・まぁせいぜいがんばれ。」




