予期せぬ再会
嬉しそうなクロエにダイアンは一瞬微笑んだ後、優しく声をかけた。
「見回りもかねて5番街に連れてってやるよ。」
それを聞いたクロエはその場で軽くジャンプして喜んだ。
「やったー!ありがとう、ダイアン!」
「30分後にリビングに来い。」
ダイアンはトレーニング室を後にして自分の部屋に向かった。途中、飲み物を飲むためにリビングへ向かうと、ナックを見つけたのでダイアンは誘おうと声をかけた。
「少ししたらクロエと5番街に出かけるんだ。お前も来るか?」
「それなら俺も行くよ。今のところヒマだ。」
ダイアンはキッチンの冷蔵庫からジュースを出してコップに注ぐと、一気に飲み干した。
「じゃあ30分後にここで会おう。」
30分後、ダイアン、クロエ、ナックの順でリビングに集まった。ダイアンはナックとクロエを交互に見て言った。
「2人共、準備は整ってるな。これから5番街を周るぞ。ある程度済んだら好きなようにしよう。」
3人は5番街に向かうと、端から端まで入念に周った。異常どころか事件すら起きない平和な状態を見せる5番街に3人は安堵した。ダイアンは少し素直になれなかったが平和であることを喜んだ。
「いいことだ。ちょっと骨折り損な気もするけど。」
ナックが見回りの切り上げを提案した。
「今日はこれくらいでいいんじゃないか?」
クロエは同意して空腹を訴えた。
「お腹すいたわ。何か食べない?」
ダイアンが近くの店を見回して馴染みのあるレストランを紹介した。
「近くに美味いレストランがあるからそこに行こう。この後はもう自由時間でいいだろ。」
ナックが即座に同意した。
「賛成。すぐ行こう!」
レストランで腹を満たした3人は腹ごなしのためにセントラルパークを散歩した。噴水を通り過ぎようとした時、ダイアンは近くのベンチに腰を下ろした。クロエは内心驚きながらも尋ねた。
「どうしたの?」
「歩き疲れた。ここで休んでるから2人で楽しんでこいよ。」
それを聞いたナックがぼやいた。
「年寄りみたいだな。別にそれでいいけど。行こうぜ、クロエ。」
ナックはクロエの手をひくと、すたすた歩いてダイアンから遠ざかった。
ダイアンは目を閉じて周りの喧騒にしばらく耳を傾けた後、頭を回転させてこれからのことを考えた。敵が何かしかけてくる可能性は高確率だろう。今いるセントラルパークも戦場と化す可能性は無きにしもあらずだ。普段よりも警戒態勢を上げた方がいい。ダイアンは決意を固めるとゆっくりと目を開け、立ち上がろうとした。すると、どこからか少年がダイアンを見つけて嬉しそうに駆け寄った。
「久しぶり、お兄ちゃん!僕を覚えてる?」
ダイアンは追い払おうとしたが、初対面の雰囲気を感じないことに驚いた。
「なんだお前は?」
少年はがっかりした口調で話した。
「覚えてないの?お姉ちゃんと一緒に助けてくれたでしょ?」
それを聞いたダイアンはハッとなった。
「そうかお前、あの時の!!・・・」
ダイアンの反応を見た少年は嬉しそうに答えた。
「うん!僕、トレバーって言うんだ。」
「トレバー!!」
2人の元に男が駆け寄り、トレバーを叱った。
「ダメじゃないか、勝手に動いたら!心配したんだぞ。」
トレバーは頭をもたげて謝った。
「ごめんなさい、お兄ちゃん。」
ダイアンは現れた男に質問した。
「あんた、この子の兄弟か。」
「正確にはいとこだな。でも、弟みたいに想ってるよ。この子が君を見た途端、走ってったのには驚いたよ。どういう関係なんだ?」
「前にリップオフに襲われた時に助けたんだ。怖がらずにじっとしてくれてたのはこちらとして大いに手間が省けたよ。」
前に助けた話題になると、トレバーは目を輝かせてダイアンを指さした。
「このお兄ちゃんね、めちゃくちゃ強いんだよ!いっぱいいたリップオフを次々倒してったのはかっこよかったなぁ!」
男は半ば呆れ気味にトレバーを制した。
「わかったから話に割り込むな。」
邪魔者扱いされたことにトレバーは頬を膨らませた。
「フィリップお兄ちゃんよりも全然強いもんねー!」
それを聞いたダイアンは男に名前を確認した。
「あんた、フィリップって言うのか。」
男は名乗ってないことを思い出して謝った。
「悪い!自己紹介がまだか?その通り、僕はフィリップって言うんだ。」
ダイアンはフィリップの話が終わるとすぐに質問した。
「さっきトレバーが、俺があんたより強いと言ったけど、何をやってるんだ?」
フィリップは少しはにかみながら答えた。
「僕はFBI志望生なんだ。自慢になっちゃうけど、僕の大学のFBI志望生の中で僕が首席で、色々期待されてるのさ。」
ダイアンは改めてフィリップの全身に目をやってオーラや見た目、品や理知的さを分析すると、心の中でうなずいた。
「自信を持つのは良いことだ。見たところ伸びしろを秘めているし、エリートになるのも時間の問題かもな。」
フィリップは改めてダイアンに向き直ると、トレバーを助けたことに感謝の言葉を述べた。
「トレバーを助けてくれたこと、礼を言うよ。」
ダイアンは軽く首を横に振った。
「気にするな。助けたいから助けただけだ。それに、礼を言うならアイツにだよ。」
ダイアンは噴水の前にいるクロエを指差した。
「彼女を呼んでくる。クロエがトレバーを抱きしめていなかったら怖がっていただろうし、先にあの子を見つけたのは彼女だ。」
ダイアンはクロエに向かって叫ぼうとしたが、フィリップはすかさず手で制した。
「呼ばなくていいよ。見たところボーイフレンドとのデート中だ。邪魔しちゃマズい。」
ダイアンは一瞬フィリップをまじまじと見つめるとフィリップの気遣いを褒めた。
「わかった。あんたいい男だな。」
いきなりトレバーが指を指して叫んだ。
「見て!ワニがいる!」
トレバーの指さす方向を見てダイアンも叫んだ。
「ほんとだ。ワニを散歩させてるヤツがいる!」
フィリップは目を見開いて興味を持った。
「珍しいな、ワニをペットにするなんて。」
3人はワニを散歩させてる男に近づいた。




