少女の決心
アイリスに案内され、クロエは花束を買って両親の墓前に立った。クロエは花束を置き、しばらく黙祷していたが、泣き出してしまった。アイリスも黙祷していたが、中断し、クロエをさすった。
「さぞ辛いでしょうね。いきなり親しい2人がいなくなってしまったもの。」
「何で死んじゃったの?!パパ、ママ・・・・・」
出来るならば、救って欲しかった。元に戻ってもらいたかった。でも、そのせいでダイアンやナックを危険な目にあわせてしまった。
「ダイアン、怒ってるかな?ナックの傷、治るかな?」
「あの子は怒ってなんかないわよ。むしろ、助けられなかったことをすごく負い目に感じて、あなたをかなり心配していたわ。ナックの傷も深くないし、受け身をとってダメージを減らしたみたいだから、すぐ治るわよ。大丈夫よ。あなたが責任を感じることなんて何もないの。」
アイリスはクロエを優しく抱きしめた。
「ありがとうございます。良かった・・・・」
クロエは涙が枯れるまで泣いた。 クロエが泣き止んだころ、アイリスは落ち着かせようとリビングへ連れて行き、席につかせた。アイリスが席についたと同時に、クロエは話しかけた。
「ダイアンはどんな人なんですか?母親のあなたならわかりますよね。」
「ナックと話していたのはダイアンのことだったのね。・・ごめんなさい。素性を明かすことは本人から固く口止めされてるの。ただ一つ言えるのは、“ニッポンの亡霊”の正体はダイアンよ。暴れまわっていたところを発見して保護したの。JRSメンバーは全員知ってるわ。」
「そんな!!可哀想なダイアン・・・・」
「あなたが悲しむことじゃないでしょう?」
「元々、“ニッポンの亡霊”については可哀想に思っていたんです。いきなり故郷を滅ぼされて、怪物たちと戦わなくてはいけなくて・・・私だったら、耐えられませんから。」
「そう・・・優しい子ね。あの子が聞いたらきっと喜ぶわ。」
「ですからアイリスさん、戦い方を私に教えて下さい!!ダイアンやみんなの力になりたいんです!!!」
アイリスは驚いて、しばらく黙っていた。
「失礼だけど、あなたに人を傷つける覚悟があるとは思えないわ。」
「私、わかったんです!半端な思いじゃ誰も助けられないって。そのせいで、ダイアンたちを危険な目にあわせてしまったから。人を助けられる人になりたいんです!!」
アイリスは眉間にしわをよせた。
「わがままで申し訳ないけど、あなたにはそのままでいて欲しいの。あなたみたいな、純粋を権化にしたような人は今まで見たことがないから。それに、あなたを護るのが私たちの仕事なのよ。」
「でもっ!私─」
「そうだ、思い出した!!まだ施設を案内してないわね。ついてきて。」
クロエはほっぺを膨らませてそっぽをむいた。
「後で教えてあげるわ。こっちだって、頭が混乱してるのよ。」
アイリスはクロエを連れて1階に行った。
「この建物は全部で3階建てよ。1階には研究室と医療室。2階にはリビングと食堂と浴場とゲストルーム。3階にはトレーニング室と武器庫よ。班員の部屋は、1階に研究班、2階に掃討班、3階に医療班ね。研究室を紹介するわ。」




