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キルロイド  作者: 武嶌剛
第四章 天才の難問
31/51

それぞれの狙い (1/2)

 昨晩の花火誤射の事件は、各報道局のニュースで、こぞって放送されていた。

 ただし、どの番組も『彼ら』については一切、触れていない。

 テレビを消すと、春香はこう向き直った。

「やっぱり、あの連中は、秀一くんの命を狙っていると考えて間違いないようね。その証拠に、貴方の家の中に、ホラ――」

 テーブルの上に盗聴機がバラバラと並ぶ。それらは秀一の家から、くまなく洗い出したものだった。

 琴子に変装した者と、異常な戦闘能力を誇る軍人風の男――きっと彼らが設置したもので間違いはない。秀一が夏祭りに参加することを知って、先に手を打ったのだ。

「いつの間に、こんなもん……」

「まあ、わたしらもシューイチの家にずっといるわけじゃないし。たぶん、そん時でしょ」

 座布団に寝転んだまま、ノインが答える。

「……悔しいわね。ノインちゃんの一件が片付いてから、私も油断してたわ。今後は四六時中体制にして、あらゆる手段をもってギチギチに秀一くんを監視しないと――」

「は、春香さん。今はそんなことより、あいつらをどうするか考えないと」

 恐ろしい発言を口にする春香に身震いして、秀一が慌てて話題を戻す。

「そんなの考えるまでもないじゃん。スイッチがないなら……もう破壊するだけだよ」

「私も同感。あれはキルロイド以外に考えられないし、スイッチなしの説得はほぼ不可能。しかも彼らは明確な殺意を持っている。……きっと、花火の事故も混乱に乗じて片付けるためでしょうね。迷う必要なんてないわ」

 二人の考えはほとんど同じのようだった。

 ノインがまとめて、こう結論づける。

「要するに、しばらくはわたしたちがシューイチのそばにいて、あの二人をとっちめる。それだけのことね」

 だが、秀一は違う考えであった。

 彼は一息つくと、こう問いかけた。

「でも……それは根本的な解決法じゃないよね?」

「……なにが言いたいのかしら。秀一くん」

 声のトーンを下げて、春香。

 彼女にはうっすらと発言の意図が読めているのかもしれない。

「だって、そうですよね。仮にそいつらを破壊できたとしても、また第二、第三のキルロイドが殺しにやってくるかもしれないのに……」

「その時はその時。その都度、相手を倒していくだけのことでしょう」

「それで勝機があると本当に思うの、春香さん? あいつの強さは明らかに、ノインよりパワーアップしていた。今回、なんとか勝てても次回は分からない……」

「そうかもしれないわね。でもね、もう戦いは終盤。こっちの時代にこれるキルロイドはせいぜい残り数体。決して絶望的な数字じゃないと思うけど?」

「……どうして、そんなことが言えるんですか?」

「貴方には話してなかったけど、時間遷移はとても不安定なの。私とノインちゃんの間で、じつに四十回もの失敗が続いている。そして、マスターの寿命は無限じゃない。つまり、あと少し凌げれば、もうキルロイドは現れなくなるのよ」

「そんなの……いちかばちか過ぎじゃないですか」

「なら……貴方には他に答えがあるのかしら」

「……俺は、手段は一つしか残ってないと思ってます」

 険悪そうに、二人がじっと睨み合う。

 そして、春香はやはり答えが分かっていたのだろう、秀一の考えを見事に言い当ててみせた。

「つまり、貴方はこう言いたいのかしら。マスターが自殺を考えた動機を突き止めて、それを阻止してやろうって――」


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