30/51
祭の果てに
夏野丘星祭の騒動が終わって――秀一たちが姿を消した後、二人の若い男女が、そこに茫然と立っていた。
「なんだか大変だったね。まあ無事に騒ぎも終わったみたいで良かったよ」
「……」
明るい調子の男に対し、女の方はまだ上の空のようである。
「織原さん? 大丈夫?」
彼が心配そうに尋ねると、彼女はハッとしたように視線を戻して、慌てて答えた。
「ご、ごめんなさい――あの……申し訳ないんですけど、今日はもう帰っても大丈夫ですか? あんなこともあって、すっかり動転しちゃって……」
「あ、ああ……。そりゃもちろんだけど……」
その声は少しがっかりしているが、彼女はそんな男の様子にはまったく気づかず、すっと一人で歩きだしていた。そして、
(……あれって、秀一……だったよね…………?)
琴子は、頭の中でずっと、そう考え続けていた。




