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ノクスのこと2
うんともすんとも言わないノクスに何を思ったのか、先代は再度、考え込んだ。
「⋯⋯ですが、我々は貴女に助けられました。その分と百年以上の労役の特典分を差し引いて、四五〇年でどうでしょう?」
労役の特典とは。
先代はおよそ、愉快な人柄のようだった。
しかし、尋ねておいて、拒否権はないに等しい。
「分かった」
ノクスはすんなり頷いた。
魔法師でもない先代が四百年どころか、百年先も生きているのかは怪しい。魔力を多量に持つ人間であれば、百年以上生きていることがほとんどだが、それ以外の人間の寿命は七十年といったところ。獣人種やドワーフ、エルフなどの人類もいるが、魔力が少ない者は総じて寿命が短い。
ノクスが見た限りでは先代にそれほどの魔力はなく、ただの人間と言ってもいい。
とは言え、机上にある書面によってノクスの労役と期間は確定している。短命な先代でもノクスを縛り付けることができるというわけだ。
「では取り敢えず、炭鉱に」
廊下の隙間から見ていた幼きセヴェランは想像していたような商談ではないことに暫くしてから気付いた。
「⋯⋯これは、奴隷の誕生だ」




