余計なこと
今日もルシアンは炭鉱にやって来ていた。
長椅子に腰かけ、足をプラプラ揺らす。
「ノクスはいつからここにいるんですか?」
最早、ノルマのようになった告白の後、ふとルシアンはそう切り出した。
「⋯⋯何、急に」
「世間話ですよ、世間話。それに、好きな人のことは知りたいものなんです」
胡乱げにノクスはルシアンを見る。いつもニコニコと楽しそうに笑っていて、何を考えているのかよく分からない。
毎日こんな薄暗い、熱気がこもった場所に来て、何が楽しいのやら。
長い髪がルシアンの動きに合わせて揺れている。
「商会長から聞いているんじゃないの」
ノクスの名前を本人ではなくセヴェランから聞いたのだ。その時に聞いていると考えてもおかしくはない。
ルシアンはきょとん、としてノクスを見つめた。
「聞いてないですよ? だって、本人から聞きたいじゃないですか」
名前を本人から聞いていないくせに何を今更、そんなことを言っているのか。ノクスは心底不思議に思う。
「何歳なんですか?」
「さあ。百は超えてるんじゃない?」
何年生きているのかなど、考えなくなって久しい。
ルシアンは適当に答えたが、実際、百年以上は生きている。
「⋯⋯おばあちゃんだったんですね」
「シバくぞ、このクソガキ」




