ある日の夜会
恋愛モノ初挑戦ですっ!
自分の好きな物詰め合わせパックを書こうと思います!
大きなシャンデリアが吊るされ、
華やかで優雅な夜会が始まる。
ミーナは今日も平々凡々。
兄と一回目のダンスを義務的にこなし、
特に殿方から誘いがある訳でもないので、さっさと壁際へ寄りベストポジションを取る。
隣には以前同担拒否だと言われ、大層言い争った
リネーレ伯爵令嬢もいる。
「リネーレ様っ!今日のフリース様はどんなお召し物をされていると思いますか?」
「そうねぇ、以前の夜会は確か...。」
「以前の夜会は白にフリース様の御髪のような金の刺繍がされた礼服に、瞳のような深い青色の椿のブローチをされていましたよね!」
「さすがね...。もちろんわたくしも覚えていたわよ!
...今回もフリース公爵家のモチーフである椿はワンポイントどこかに入っていると思うわ。」
「さすが、リネーレ様です!
私も今回は上着の袖に金色で椿が刺繍されているのではないかと予想しているのです。」
そんな話をしていると、ドアマンを務める憲兵が
高々と告げる。
「フリース公爵家より、
レイド・フリース公爵閣下が御入場されます。」
この声聞き、ざわめいていた会場はしんと静まり返り、
全員の視線が入場口へ向かう。
全ての貴族の目が「今日こそは」と獲物を見つめる猫のように蘭々と光る。
令嬢達は今日こそお顔を覚えて頂こうと、
令息達は今日こそお側へ置いて頂こうと、
若者たちだけでなく、各家の当主を務める者たちが
レイドの代になってから税収も産業もうなぎ登りに成長し、大成功を収めている、フリース公爵領の秘密を聞き出そうと必死になっている。
そんな中でミーナはいつも通り、遠く離れた場所から
双眼鏡を構え、入場口を目が開くほど凝視する。
扉が開き、
ミーナの目にスラッとしながらもしっかりと鍛えられた足がまず映る。
扉が開いていくにつれ、引き締まった無駄のない体、美しい手、端正できりりと整った彫刻のような顔がミーナの目に飛び込んでくる。
「はぁ〜、今日も"わたくし"のフリース様はなんて美しいの!」
「はいっ!今日も"私"の推しが光り輝いていますっ!」
「何よ?男爵家の分際で伯爵家に口答えするわけ?」
「推しの前ではみんな平等ですっ!」
「あらそう、それは素敵ねぇ。
では伯爵令嬢のわたくしはフリース様のお近くに行ってこようかしら。
貴方はせいぜい遠くから眺めてなさい?」
「はいっ!そうさせていただきます。
リネーレ様、フリース様の近くは人が沢山いますからお気を付けてくださいね。」
「あら、ご心配ありがと。
...後でフリース様が何していらっしゃったか
わたくしにも教えなさいよ。」
リネーレはこういう所があるからミーナはリネーレが酷い人ではないことをしっかりとわかっている。
寧ろ可愛らしく思え、最近はフリースの姿が見えるまではリネーレを推しているのは絶対に秘密だ。
リネーレが傍にいなくなってからはミーナは壁の花となり、ひたすらフリースの一挙手一投足に心の中で大はしゃぎしながらペンライトを振り続けた。
家に帰ってからはお決まりの兄・ルークへの今日のフリース様報告会が行われた。
「────それでねっ!お兄様!
フリース様は人混みに押されてよろめいたご令嬢を片手で支えられて『怪我は無い?』って。っきゃー!!
あのご令嬢は二度と忘れられない体験をされたわね!」
「そうか、それは良かった。
ミーナ...お兄様はいくら大好きな妹とのお話会だとしてもレイドの話はさすがにおなかいっぱいだ。」
「あら、私ったらこんなにもお話していたの!?
大変!もう寝る時間じゃない!
それにフリース様と同級生だったお兄様はこんなフリース様のこんな姿、沢山見てきたわよね。
こんなに長く付き合わせてしまってごめんなさい。
おやすみなさい、お兄様。」
「いや、楽しかったよ。おやすみミーナ。
...あ、そうだミーナ。さっきレイドが令嬢を支えたって言っていたけど、ミーナは嫉妬とかしないの?」
「何を言っているのよ、お兄様!
私はあのご令嬢に嫉妬するわけないじゃない!
嫉妬とは恋心を持った相手にするものよ。
フリース様は推しだもの。
羨ましくはあるけど、嫉妬なんてしないわ。
ではお兄様、今度は本当におやすみなさい。」
「そ、そうか...可愛いミーナ、おやすみ。良い夢を。」
ルークは1番嫉妬して欲しい人に嫉妬して貰えない
可哀想な友人を思い、苦笑いを浮かべた。
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