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♬和栗鼠の不思議な異世界と音の契約婚姻譚♬  作者: ナロージュ•ピクセル


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8/10

♬八小節目♬不思議な音の契約結婚生活♬


 ーー拝啓。愛しの恋しぃ。因幡(イナバ)君。

 アナタを追って私(わたくし)、和栗鼠(ワリス)は、不思議な異世界へとやって来てしまいました。白くて大きな兎の骸骨のような風体をした伽藍堂なポッカリと空いた両の眼窩に底しれぬ闇を抱いた因幡(イナバ)君と良く似た血のように赤き ビードロ玉の如き両の瞳(め)をした御方《・・・・》がー伽藍堂(ガランドウ)樣ーが、私(わたくし)を見詰め仰ったので御座います『我の婚約を受け入れてくれたならば、ソナタの愛しの因幡(イナバ)とやらの居場所を教えてやろう……』と『彼のことは良く知っている己のことのように……和栗鼠(わりす)。我はソナタを愛している。ずっととは言わぬ。四十九日の間で良い。我と契約結婚してくれぬだろうか?』そう仰いましたのよ。ですから。私(わたくし)は、ー伽藍堂(ガランドウ)樣ーに心音をお捧げし心音と共に契約の婚姻を結びました。全ては因幡(イナバ)君…アナタの為に…私(わたくし)は、己の心音よりも、心臓(いのち)よりも、アナタの事が、何より大事で御座います。アナタは何処(いずこ)におられるのです?

 ーーアナタに逢いたい。……かしこ。和栗鼠(わりす)ーー。



     ☆。*゜+★*.✧.。*★✧*。☆。*゜+★



 『ー時よ開け(オープンザ・タイム)ー…ソナタの心臓(いのち)の音をいただこう…』

 ー伽藍堂(ガランドウ)樣ーの静かな声が幽霊屋敷の様な洋館に響き。


 ーーカチカチッッッ!!ーーカチカチッッッ!!

 ーーカチカチッッッ!!ーーカチカチッッッ!!


 ーーと俄(にわか)に金色に耀く心臓程の大きさの大きな懐中時計の針が激しく廻り!!!!


 ーー軈て時計盤からまるで剣の様な時計の長針が現れ!!


 ーーーーカチッッッッッッッッ!!!!


 ……と、私(わたくし)の心臓を貫いたので御座います!!!!


 ほんの一瞬、瞬きの間でしょうかっ!?

 私(わたくし)の目の前は闇黒の闇に支配され、そして、其の瞬間、私(わたくし)の心臓(いのち)は確かに潰(つい)えました。……そう、潰(つい)えたので御座います。因幡(イナバ)君を追って川に落ちた時の様に私(わたくし)は確かに死んだので御座います……。


 ……心音が、聞こえない。……鼓動を感じない。

 ……体温を、感じない。……血の流れが聞こえません。

 ……息が、呼吸が、……できませんっっっっっ、、、、

 ……因幡(イナバ)君を追って川に落ちた時の様で、、、

 ……とても冷たくて、怖くて、恐くて、畏(おそ)ろしかった。

 

 ーーーーカチッッッッッッッッ!!!!

 ……と、私(わたくし)の心臓を貫いた其(そ)の心臓程の大きさの大きな懐中時計の剣の様な長針が、私(わたくし)の心臓から引き抜かれてゆきました。


 ーーするとどうでしょう。とても不思議な事に、カチカチと鳴っていた其(そ)の心臓程の大きさの大きな懐中時計の時を刻む秒針の音が、、、、ドクンっ!!ドクンっ!!と俄(にわか)に私(わたくし)の心音へと変わっていったので御座います。


 『嗚呼(ああ)よい音だ♫ソナタの心音は我の懐中時計の中だー和栗鼠(わりす)ー此(こ)れで我とソナタは心音と共に契約の婚姻が結ばれたー此(こ)れから四十九日の間ソナタは我の愛しの花嫁だ♡ー』


 ……こうして私(わたくし)は、四十九日の間ー伽藍堂(ガランドウ)樣ーと心音と共に契約の婚姻を結んだので御座います。

 因幡(イナバ)君。全ては、愛しぃ、恋しぃ、アナタの為に……。


     ☆。*゜+★*.✧.。*★✧*。☆。*゜+★



 「…ー伽藍堂(ガランドウ)樣ーに心音をお捧げし心音と共に契約の婚姻を結びました。全ては因幡(イナバ)君…アナタの為に…私(わたくし)は、己の心音よりも、心臓(いのち)よりも、アナタの事が、何より大事で御座います。アナタは何処(いずこ)におられるのです?ーーアナタに逢いたい。……かしこ。和栗鼠(わりす)ーー…」私(わたくし)はサラサラと笹の葉の短冊の様な葉書に硝子細工の万年筆で、夜空のインクで、愛しぃ、恋しぃ、因幡(イナバ)君に宛てて手紙をしたためました。


 したためた手紙は素麺の様に白い色をした不思議なカササギが何時(いつ)も嘴(クチバシ)に咥(くわ)えて、キラキラの星が犇(ひし)めく天の川の彼方へと翼を広げて飛び上がり持って行ってくれるのですが、、、愛しぃ、恋しぃ、因幡(イナバ)君には届いているのかしら?


 ……あの世にも恐ろしい音の契約の婚姻を結んでから。

 ……早、ひと月程が経ちましたが、何と言いますか……。

 平和な結婚生活?新婚生活?を過ごせて頂いております。


 例えば、ハイカラな水着を着て天の川で川遊びをしたり。

 ずっと夜の異世界で夜空を見上げては耀く星座を眺めて星占いをしたり。星に愛しぃ、恋しぃ、因幡(イナバ)君とまた逢えるようにと願ったり。夜空からキラキラと綺麗な音を鳴らして降る星の金平糖を蒐(あつ)めたり。ー伽藍堂(ガランドウ)樣ーの幽霊屋敷の様な洋館で、不思議な音のお茶会をしたり。とても不思議だけれども平和でキラキラな結婚生活?新婚生活?を過ごしているので御座います。


 ー伽藍堂(ガランドウ)樣ーは、優しく私(わたくし)の事を溺愛しておられます。


 相変わらず捧げた心音は聞こえずに心臓は、あの日から止まったままだけれども、、、血の気は引いて、と言うか、血はきっと通っていませんわね……。

 だってビスクドールの様に私(わたくし)の腕も足も顔も、肌が、真っ白けっけなんですものね……。

 体温も感じられませんし本当に「私(わたくし)は人形(ドール)になってしまったのかしら?」愛しぃ、恋しぃ、因幡(イナバ)君へとしたためた手紙を素麺の様に白い色をした不思議なカササギが天の川の彼方へと運び飛んでゆくのを眺めながら呟けば、キラキラと何時(いつ)も夜の不思議な異世界の夜空からキラキラと星が音を鳴らして降ってくる。


 「ー何だかずっと七夕の様な世界ですわねー」


 キラキラとした星の降る不思議な音と夜に包まれた異世界で不思議な音の契約結婚生活?を送る私(わたくし)は、これからどうなってしまうのかしら?

 と言うか、私(わたくし)は今、どう言う状態なのかしら?

 ……生きているのか?死んでしまっているのか?

 ……はたまた仮死状態なのかしらん????

 ……本当に元の世界へ戻れるのかしら!?!?

 ……不安を言えば星の数ほど御座いますが、、、

 

 思いの外に私(わたくし)この不思議な異世界が、嫌いでは御座いませんの……ですけども。此処(ここ)には、アナタが居ない。


 「…因幡(イナバ)君…アナタに、逢いたい……」


 和栗鼠(わりす)の大きな瞳から流星の様な涙が一筋キラキラと流れて落ちた。


 

  ♬八小節目♬不思議な音の契約結婚生活♬終♬


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