♬八小節目♬不思議な音の契約結婚生活♬
ーー拝啓。愛しの恋しぃ。因幡君。
アナタを追って私、和栗鼠は、不思議な異世界へとやって来てしまいました。白くて大きな兎の骸骨のような風体をした伽藍堂なポッカリと空いた両の眼窩に底しれぬ闇を抱いた因幡君と良く似た血のように赤き ビードロ玉の如き両の瞳をした御方がー伽藍堂樣ーが、私を見詰め仰ったので御座います『我の婚約を受け入れてくれたならば、ソナタの愛しの因幡とやらの居場所を教えてやろう……』と『彼のことは良く知っている己のことのように……和栗鼠。我はソナタを愛している。ずっととは言わぬ。四十九日の間で良い。我と契約結婚してくれぬだろうか?』そう仰いましたのよ。ですから。私は、ー伽藍堂樣ーに心音をお捧げし心音と共に契約の婚姻を結びました。全ては因幡君…アナタの為に…私は、己の心音よりも、心臓よりも、アナタの事が、何より大事で御座います。アナタは何処におられるのです?
ーーアナタに逢いたい。……かしこ。和栗鼠ーー。
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『ー時よ開けー…ソナタの心臓の音をいただこう…』
ー伽藍堂樣ーの静かな声が幽霊屋敷の様な洋館に響き。
ーーカチカチッッッ!!ーーカチカチッッッ!!
ーーカチカチッッッ!!ーーカチカチッッッ!!
ーーと俄に金色に耀く心臓程の大きさの大きな懐中時計の針が激しく廻り!!!!
ーー軈て時計盤からまるで剣の様な時計の長針が現れ!!
ーーーーカチッッッッッッッッ!!!!
……と、私の心臓を貫いたので御座います!!!!
ほんの一瞬、瞬きの間でしょうかっ!?
私の目の前は闇黒の闇に支配され、そして、其の瞬間、私の心臓は確かに潰えました。……そう、潰えたので御座います。因幡君を追って川に落ちた時の様に私は確かに死んだので御座います……。
……心音が、聞こえない。……鼓動を感じない。
……体温を、感じない。……血の流れが聞こえません。
……息が、呼吸が、……できませんっっっっっ、、、、
……因幡君を追って川に落ちた時の様で、、、
……とても冷たくて、怖くて、恐くて、畏ろしかった。
ーーーーカチッッッッッッッッ!!!!
……と、私の心臓を貫いた其の心臓程の大きさの大きな懐中時計の剣の様な長針が、私の心臓から引き抜かれてゆきました。
ーーするとどうでしょう。とても不思議な事に、カチカチと鳴っていた其の心臓程の大きさの大きな懐中時計の時を刻む秒針の音が、、、、ドクンっ!!ドクンっ!!と俄に私の心音へと変わっていったので御座います。
『嗚呼よい音だ♫ソナタの心音は我の懐中時計の中だー和栗鼠ー此れで我とソナタは心音と共に契約の婚姻が結ばれたー此れから四十九日の間ソナタは我の愛しの花嫁だ♡ー』
……こうして私は、四十九日の間ー伽藍堂樣ーと心音と共に契約の婚姻を結んだので御座います。
因幡君。全ては、愛しぃ、恋しぃ、アナタの為に……。
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「…ー伽藍堂樣ーに心音をお捧げし心音と共に契約の婚姻を結びました。全ては因幡君…アナタの為に…私は、己の心音よりも、心臓よりも、アナタの事が、何より大事で御座います。アナタは何処におられるのです?ーーアナタに逢いたい。……かしこ。和栗鼠ーー…」私はサラサラと笹の葉の短冊の様な葉書に硝子細工の万年筆で、夜空のインクで、愛しぃ、恋しぃ、因幡君に宛てて手紙をしたためました。
したためた手紙は素麺の様に白い色をした不思議なカササギが何時も嘴に咥えて、キラキラの星が犇めく天の川の彼方へと翼を広げて飛び上がり持って行ってくれるのですが、、、愛しぃ、恋しぃ、因幡君には届いているのかしら?
……あの世にも恐ろしい音の契約の婚姻を結んでから。
……早、ひと月程が経ちましたが、何と言いますか……。
平和な結婚生活?新婚生活?を過ごせて頂いております。
例えば、ハイカラな水着を着て天の川で川遊びをしたり。
ずっと夜の異世界で夜空を見上げては耀く星座を眺めて星占いをしたり。星に愛しぃ、恋しぃ、因幡君とまた逢えるようにと願ったり。夜空からキラキラと綺麗な音を鳴らして降る星の金平糖を蒐めたり。ー伽藍堂樣ーの幽霊屋敷の様な洋館で、不思議な音のお茶会をしたり。とても不思議だけれども平和でキラキラな結婚生活?新婚生活?を過ごしているので御座います。
ー伽藍堂樣ーは、優しく私の事を溺愛しておられます。
相変わらず捧げた心音は聞こえずに心臓は、あの日から止まったままだけれども、、、血の気は引いて、と言うか、血はきっと通っていませんわね……。
だってビスクドールの様に私の腕も足も顔も、肌が、真っ白けっけなんですものね……。
体温も感じられませんし本当に「私は人形になってしまったのかしら?」愛しぃ、恋しぃ、因幡君へとしたためた手紙を素麺の様に白い色をした不思議なカササギが天の川の彼方へと運び飛んでゆくのを眺めながら呟けば、キラキラと何時も夜の不思議な異世界の夜空からキラキラと星が音を鳴らして降ってくる。
「ー何だかずっと七夕の様な世界ですわねー」
キラキラとした星の降る不思議な音と夜に包まれた異世界で不思議な音の契約結婚生活?を送る私は、これからどうなってしまうのかしら?
と言うか、私は今、どう言う状態なのかしら?
……生きているのか?死んでしまっているのか?
……はたまた仮死状態なのかしらん????
……本当に元の世界へ戻れるのかしら!?!?
……不安を言えば星の数ほど御座いますが、、、
思いの外に私この不思議な異世界が、嫌いでは御座いませんの……ですけども。此処には、アナタが居ない。
「…因幡君…アナタに、逢いたい……」
和栗鼠の大きな瞳から流星の様な涙が一筋キラキラと流れて落ちた。
♬八小節目♬不思議な音の契約結婚生活♬終♬




