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♬和栗鼠の不思議な異世界と音の契約婚姻譚♬  作者: ナロージュ•ピクセル


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7/10

♬七小節目♬心音と共に結ばれし契約の婚姻♬


  ーー拝啓。愛しの恋しぃ。因幡(イナバ)君。

 アナタを追って私(わたくし)、和栗鼠(ワリス)は、不思議な異世界へとやって来てしまいました。…途方に暮れていた時でした。…白くて大きな兎の骸骨のような風体をした伽藍堂なポッカリと空いた両の眼窩に底しれぬ闇を抱いた因幡(イナバ)君と良く似た血のように赤き ビードロ玉の如き両の瞳(め)をした御方《・・・・》がー伽藍堂(ガランドウ)樣ーが、私(わたくし)を見詰め仰ったので御座います『ー和栗鼠(ワリス)ー我(われ)は君に婚約を申し込む♡ー我(われ)の花嫁となるのだー愛しの和栗鼠(ワリス)よ♡』と……私(わたくし)は、不思議な異世界で求婚されました。……答えは、勿論『……えっ?致しませんけども?』丁重に『私(わたくし)には、愛しぃ、恋しぃ、因幡(イナバ)君がいらっしゃいますもの!何処(どご)ぞの馬の骨?……兎の骨かしら?兎に角!よくわからない御方からの求婚は固くお断り致しますわ!』とーー婚約破棄してやりましたわょッッッ!!そしたらなんと不思議な音の館に招かれオ・モ・テ・ナ・シ晩餐を受けました。そうしたら『我の婚約を受け入れてくれたならば、ソナタの愛しの因幡(イナバ)とやらの居場所を教えてやろう……』と『彼のことは良く知っている己のことのように……和栗鼠(わりす)。我はソナタを愛している。ずっととは言わぬ。四十九日の間で良い。我と契約結婚してくれぬだろうか?』そう仰いましたのよ。ですから。ですから。私(わたくし)は、ー伽藍堂(ガランドウ)樣ーとの契約結婚をお受けする事に致しました。全ては因幡(イナバ)君…アナタの為に…アナタは何処(いずこ)におられるのです?

 ーーアナタに逢いたい。……かしこ。和栗鼠(わりす)ーー。



     ☆。*゜+★*.✧.。*★✧*。☆。*゜+★



 『ー契約を結ぶにはーソナタの心音(・・)を此(こ)の懐中時計に刻むー其(そ)れが此(こ)の契約結婚の証となるーなぁに、案ずるでない…四十九日を過ぎたら婚約は破棄され…ソナタの心音(・・)もソナタの元へと還りて、ソナタも元の世界に還そう……』……と。


 心音を懐中時計に刻む!?聞くからに恐ろしく怖い話で御座いました。ですが、私(わたくし)は、己の心音よりも、元の世界へ還ることよりも、ずっと、ずっと、大切な事があるのです。


 『…私(わたくし)の心音を其(そ)の懐中時計とやらに刻めば宜しいのね…さすれば、アナタは、本当に私(わたくし)の愛しぃ、恋しぃ、因幡(イナバ)君の居場所を教えてくださるのね?』


 ……私(わたくし)は念を押して確かめました。

 ……なんせ心音を捧げるのですからね。

 ……此処は慎重に慎重を期さなければいけませんことよ。



 『ーあゝ(あ)勿論だ愛しのー和栗鼠(わりす)ー契約は違わぬと誓おう』


 ……確かにー伽藍堂(ガランドウ)樣ーは、そう仰いました。

 

 『……わかりましたわー伽藍堂(ガランドウ)樣ー』


 ……私(わたくし)の心音如きで、愛しぃ、恋しぃ、因幡(イナバ)君の居場所がわかるのならば、幾らでも……。


 『ー私(わたくし)の心音をアナタにお捧げ致しますー』



    ☆。*゜+★*.✧.。*❦✧*☆。*゜+★



 「ー契約成立だなー愛しの和栗鼠(わりす)♡」ー伽藍堂(ガランドウ)樣ーは、とても嬉しそうに声を弾ませて仰いました。

 ……そして、私(わたくし)に向かい其(そ)の件(くだん)の金色に耀く心臓程の大きさの大きな懐中時計を掲げカチッと蓋を開けました。


 「ー時よ開け(オープンザ・タイム)ー…ソナタの心臓(いのち)の音をいただこう…」

 ー伽藍堂(ガランドウ)樣ーの静かな声が幽霊屋敷の様な洋館に響き。



 ーーカチカチッッッ!!ーーカチカチッッッ!!

 ーーカチカチッッッ!!ーーカチカチッッッ!!



 ーーと俄(にわか)に金色に耀く心臓程の大きさの大きな懐中時計の針が激しく廻り!!!!


 ーー軈て時計盤からまるで剣の様な時計の長針が現れ!!



 ーーーーカチッッッッッッッッ!!!!



 ……と、私(わたくし)の心臓を貫いたので御座います!!!!


 ほんの一瞬、瞬きの間だったでしょうかっ!?私(わたくし)の目の前は闇黒の闇に支配され、そして、其の瞬間、私(わたくし)の心臓(いのち)は確かに潰(つい)えました。……そう、潰(つい)えたので御座います。因幡(イナバ)君を追って川に落ちた時の様に、私(わたくし)は確かに死んだので御座います。



 ……心音が、聞こえない。……鼓動を感じない。

 ……体温を、感じない。……血の流れが聞こえません。

 ……息が、呼吸が、……できませんっっっっっ、、、、

 ……因幡(イナバ)君を追って川に落ちた時の様で、、、

 ……とても冷たくて、怖くて、恐くて、畏(おそ)ろしかった。


 

 ーーーーカチッッッッッッッッ!!!!



 ……と、私(わたくし)の心臓を貫いた其(そ)の心臓程の大きさの大きな懐中時計の剣の様な長針が、私(わたくし)の心臓から引き抜かれてゆきました。


 ーーするとどうでしょう。とても不思議な事に、カチカチと鳴っていた其(そ)の心臓程の大きさの大きな懐中時計の時を刻む秒針の音が、、、、ドクンっ!!ドクンっ!!と俄(にわか)に私(わたくし)の心音へと変わっていったので御座います。



 「ー嗚呼(ああ)ーよい音だ♫ソナタの心音は我の懐中時計の中だー和栗鼠(わりす)ー此(こ)れで我とソナタは心音と共に契約の婚姻が結ばれたー此(こ)れから四十九日の間ソナタは我の愛しの花嫁だ♡」



 ……こうして私(わたくし)は、四十九日の間ー伽藍堂(ガランドウ)樣ーと心音と共に契約の婚姻を結んだので御座います。

 因幡(イナバ)君。全ては、愛しぃ、恋しぃ、アナタの為に……。



 ♬七小節目♬心音と共に結ばれし契約の婚姻♬終♬


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