♬七小節目♬心音と共に結ばれし契約の婚姻♬
ーー拝啓。愛しの恋しぃ。因幡君。
アナタを追って私、和栗鼠は、不思議な異世界へとやって来てしまいました。…途方に暮れていた時でした。…白くて大きな兎の骸骨のような風体をした伽藍堂なポッカリと空いた両の眼窩に底しれぬ闇を抱いた因幡君と良く似た血のように赤き ビードロ玉の如き両の瞳をした御方がー伽藍堂樣ーが、私を見詰め仰ったので御座います『ー和栗鼠ー我は君に婚約を申し込む♡ー我の花嫁となるのだー愛しの和栗鼠よ♡』と……私は、不思議な異世界で求婚されました。……答えは、勿論『……えっ?致しませんけども?』丁重に『私には、愛しぃ、恋しぃ、因幡君がいらっしゃいますもの!何処ぞの馬の骨?……兎の骨かしら?兎に角!よくわからない御方からの求婚は固くお断り致しますわ!』とーー婚約破棄してやりましたわょッッッ!!そしたらなんと不思議な音の館に招かれオ・モ・テ・ナ・シ晩餐を受けました。そうしたら『我の婚約を受け入れてくれたならば、ソナタの愛しの因幡とやらの居場所を教えてやろう……』と『彼のことは良く知っている己のことのように……和栗鼠。我はソナタを愛している。ずっととは言わぬ。四十九日の間で良い。我と契約結婚してくれぬだろうか?』そう仰いましたのよ。ですから。ですから。私は、ー伽藍堂樣ーとの契約結婚をお受けする事に致しました。全ては因幡君…アナタの為に…アナタは何処におられるのです?
ーーアナタに逢いたい。……かしこ。和栗鼠ーー。
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『ー契約を結ぶにはーソナタの心音を此の懐中時計に刻むー其れが此の契約結婚の証となるーなぁに、案ずるでない…四十九日を過ぎたら婚約は破棄され…ソナタの心音もソナタの元へと還りて、ソナタも元の世界に還そう……』……と。
心音を懐中時計に刻む!?聞くからに恐ろしく怖い話で御座いました。ですが、私は、己の心音よりも、元の世界へ還ることよりも、ずっと、ずっと、大切な事があるのです。
『…私の心音を其の懐中時計とやらに刻めば宜しいのね…さすれば、アナタは、本当に私の愛しぃ、恋しぃ、因幡君の居場所を教えてくださるのね?』
……私は念を押して確かめました。
……なんせ心音を捧げるのですからね。
……此処は慎重に慎重を期さなければいけませんことよ。
『ーあゝ勿論だ愛しのー和栗鼠ー契約は違わぬと誓おう』
……確かにー伽藍堂樣ーは、そう仰いました。
『……わかりましたわー伽藍堂樣ー』
……私の心音如きで、愛しぃ、恋しぃ、因幡君の居場所がわかるのならば、幾らでも……。
『ー私の心音をアナタにお捧げ致しますー』
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「ー契約成立だなー愛しの和栗鼠♡」ー伽藍堂樣ーは、とても嬉しそうに声を弾ませて仰いました。
……そして、私に向かい其の件の金色に耀く心臓程の大きさの大きな懐中時計を掲げカチッと蓋を開けました。
「ー時よ開けー…ソナタの心臓の音をいただこう…」
ー伽藍堂樣ーの静かな声が幽霊屋敷の様な洋館に響き。
ーーカチカチッッッ!!ーーカチカチッッッ!!
ーーカチカチッッッ!!ーーカチカチッッッ!!
ーーと俄に金色に耀く心臓程の大きさの大きな懐中時計の針が激しく廻り!!!!
ーー軈て時計盤からまるで剣の様な時計の長針が現れ!!
ーーーーカチッッッッッッッッ!!!!
……と、私の心臓を貫いたので御座います!!!!
ほんの一瞬、瞬きの間だったでしょうかっ!?私の目の前は闇黒の闇に支配され、そして、其の瞬間、私の心臓は確かに潰えました。……そう、潰えたので御座います。因幡君を追って川に落ちた時の様に、私は確かに死んだので御座います。
……心音が、聞こえない。……鼓動を感じない。
……体温を、感じない。……血の流れが聞こえません。
……息が、呼吸が、……できませんっっっっっ、、、、
……因幡君を追って川に落ちた時の様で、、、
……とても冷たくて、怖くて、恐くて、畏ろしかった。
ーーーーカチッッッッッッッッ!!!!
……と、私の心臓を貫いた其の心臓程の大きさの大きな懐中時計の剣の様な長針が、私の心臓から引き抜かれてゆきました。
ーーするとどうでしょう。とても不思議な事に、カチカチと鳴っていた其の心臓程の大きさの大きな懐中時計の時を刻む秒針の音が、、、、ドクンっ!!ドクンっ!!と俄に私の心音へと変わっていったので御座います。
「ー嗚呼ーよい音だ♫ソナタの心音は我の懐中時計の中だー和栗鼠ー此れで我とソナタは心音と共に契約の婚姻が結ばれたー此れから四十九日の間ソナタは我の愛しの花嫁だ♡」
……こうして私は、四十九日の間ー伽藍堂樣ーと心音と共に契約の婚姻を結んだので御座います。
因幡君。全ては、愛しぃ、恋しぃ、アナタの為に……。
♬七小節目♬心音と共に結ばれし契約の婚姻♬終♬




