♬六小節目♬不思議な音の契約結婚♬
ーー拝啓。愛しの恋しぃ。因幡君。
アナタを追って私、和栗鼠は、不思議な異世界へとやって来てしまいました。……途方に暮れていた時でした。……白くて大きな兎の骸骨のような風体をした伽藍堂なポッカリと空いた両の眼窩に底しれぬ闇を抱いた因幡君と良く似た血のように赤き ビードロ玉の如き両の瞳をした御方がー伽藍堂樣ーが、私を見詰め仰ったので御座います『ー和栗鼠ー我は君に婚約を申し込む♡ー我の花嫁となるのだー愛しの和栗鼠よ♡』と……私は、不思議な異世界で求婚されました。……答えは、勿論『……えっ?致しませんけども?』丁重に『私には、愛しぃ、恋しぃ、因幡君がいらっしゃいますもの!何処ぞの馬の骨?……兎の骨かしら?兎に角!よくわからない御方からの求婚は固くお断り致しますわ!』とーー婚約破棄してやりましたわょッッッ!!そしたらなんと不思議な音の館に招かれオ・モ・テ・ナ・シ晩餐を受けました。そうしたら『我の婚約を受け入れてくれたならば、ソナタの愛しの因幡とやらの居場所を教えてやろう……』と『彼のことは良く知っている己のことのように……和栗鼠。我はソナタを愛している。ずっととは言わぬ。四十九日の間で良い。我と契約結婚してくれぬだろうか?』そう仰いましたのよ。因幡君……アナタは何処におられるのです?ーアナタに逢いたい。……かしこ。和栗鼠ー。
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『大体アナタ御名前は?どうして私のことを知っているの?この不思議な異世界はなんなのよ?因幡君は何処に行ったのょ!?』
質問攻めにしてやりましたらば、よくわからない何処ぞの馬の骨?……兎の骨かしら?兎に角!よくわからない御方は、伽藍堂なポッカリと空いた両の眼窩に底しれぬ闇を抱いた因幡君と良く似た血のように赤き ビードロ玉の如き両の瞳で私を見詰めて、私の質問に一つ一つ丁寧にお答えになりました。
『ー此れは申し遅れたー我は兎餓者髑髏伯爵と申す者ー伽藍堂ーとお呼びくだされ。此処は現し世と彼の世の間の不思議な異世界…我が治めるー音と夜の世界ーソナタの事は、天の川の水面に映し出された時より見て良く知っている♡我の婚約を受け入れてくれたならば、ソナタの愛しの因幡とやらの居場所を教えてやろう…』ほぼほぼ何を言っているのか正直に言ってわかりませんでしたが、かろうじて、よくわからない何処ぞの馬の骨?……兎の骨かしら?兎に角!よくわからない御方の御名前が「ー伽藍堂ー樣」と言う事と「因幡君の居場所を知っているの?」と言う事がわかりました。
『ーあゝ…彼のことは良く知っている己のことのように…和栗鼠。我はソナタを愛している。ずっととは言わぬ。四十九日の間で良い。我と契約結婚してくれぬだろうか?』
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……私は、不思議な異世界で、不思議な音の館で、三度、求婚されました。……そして答えは、勿論。
……えっ?だから致しませんって言ってますけども?と言ってやりたいところではありましたが此処は取り敢えず。
「…四十九日の間だけ…契約結婚?」
取り敢えず話を聞くことに致しましたわ。だって、この御方ー伽藍堂樣ーは、愛しぃ、恋しぃ、因幡君の居場所を知っているみたいですからね。
「ーあゝ。四十九日の間だけ我とこの不思議な異世界で甘い甘い結婚生活を送ってくれ♡さすれば愛しのー和栗鼠ーソナタを元いた世界へ現し世へと還そう。その時にソナタの愛しの因幡とやらの居場所を教えてしんぜようー我と結婚の婚姻を結ぶのだー」ー伽藍堂樣ーは、燕尾服の内ポケットの中から金色に耀く心臓程の大きさの大きな懐中時計をその骨張ったと言うか骨骨しぃ手にとって私に掲げて仰るのです。
「ー契約を結ぶにはーソナタの心音を此の懐中時計に刻む必要があるー其れが此の契約結婚の証となるーなぁに、案ずるでない…四十九日を過ぎたら婚約は破棄され…ソナタの心音もソナタの元へと還りて、ソナタも元の世界に還そう」……と。
心音を懐中時計に刻む!?聞くからに恐ろしく怖い話で御座いました。ですが、私は、己の心音よりも、元の世界へ還ることよりも、ずっと、ずっと、大切な事があるのです。
「…私の心音を其の懐中時計とやらに刻めば宜しいのね…さすれば、アナタは、本当に私の愛しぃ、恋しぃ、因幡君の居場所を教えてくださるのね?」
……私は念を押して確かめました。
……なんせ心音を捧げるのですからね。
……此処は慎重に慎重を期さなければいけませんことよ。
「ーあゝ勿論だ愛しのー和栗鼠ー契約は違わぬと誓おう」
……確かにー伽藍堂樣ーは、そう仰いました。
「……わかりましたわー伽藍堂樣ー」
……私の心音如きで、愛しぃ、恋しぃ、因幡君の居場所がわかるのならば、幾らでも……。
「ー私の心音をアナタにお捧げ致しますー」
♬六小節目♬不思議な音の契約結婚♬終♬




