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ガントレットは青空を掴む ー旅は導き、世は助けー  作者: いさな
第一章 導きのエルフと自由の栞

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第7話 「距離と攻防一体の拳」

ルミナさんと絆を結べたことを喜びながら家に帰った後、慣れない知識を詰め込んだからか、すぐ眠りに落ちていた。


 熟睡して頭がすっきりしたことを確認しながら、身体を起こす。


「今日は宿屋が休日だし、朝から修行を一緒にしてくれるって父さんも言ってたな。よし、頑張るぞ!」


 気合を入れるために自分の頬をパンッと叩き眠気を吹き飛ばしてから部屋を出てリビングへの階段を降りていく。


 食卓へ向かうとすでにアレス父さんは机で新聞紙を広げており、ミレア母さんは台所に立っていた。


「おはよう、昨日もお願いしたけど修行に付き合ってもらっていいの?せっかくの休みなのに......」


「おう!マヌスが頑張って調べものをしてきたんだ。その頑張りに応えなくて何が父親だって話だよな!」


「そうね。私は家事があって今日は一緒には行けないけどマヌスが魔法の練習をするときは付き合うわよ!」


 返ってきたのは俺の親が二人で良かったと尊敬させるような頼もしく力強いものだった。


「二人ともありがとう!じゃあ、ご飯食べたらすぐ修行始めたい!」


「マヌスも早く試したくてうずうずしてるな!修行場所はギアタウンの修練場にしようか。あそこなら俺の神導武器も見せてやれるしな」


 そういえば、俺が物心ついたときにはもう宿屋だったから父さんの神導武器を俺は見たこと無いんだよな。

 討伐者時代の武勇伝を時々聞かせてくれるから父さんが斧、母さんが魔法補助型の杖を使うのは知ってたけど神導武器を見せるのは俺が授けの儀を受けてからって言ってたし。


 たしか、その時は授けの儀の前に他の神導武器に触れ合いすぎると可能性を狭めることになるからってことで見たいってお願いしても見せてもらえなかった。


 ルミナさんのくれた本には最初の神導武器の初めの文字で自由度が変わるって書いてあったし、俺が原初から始まる自由度が高そうな神導武器を得られたのも真っ新な状態で神様からの導きを受けられるように二人が気にかけてくれたことも関係してるのかも。


 もっとその辺の話を聞きたい気持ちはあるけど今は修行に早く取り掛かりたい!また今度、気になったときにでも聞いてみようかな。


 神導武器について考えながら食卓で待っているとミレア母さんが美味しそうなパンとベーコンエッグ、サラダにスープと栄養満点な料理を運んできてくれた。


「修行も大事だがまずはゆっくり食事をしようか。神よ、恵みに感謝を」


「「神よ、恵みに感謝を」」


 ◇◆◇◆


 食事をした後、俺はアレス父さんと一緒にギアタウンにある修練場に来ていた。


 ギアタウンは大小の歯車が連なり、重なった建造物が多く存在する面白い見た目をした街だ。

 大量の歯車が噛み合うことで、発生したエネルギーを街の中心にある魔導炉で魔力に変換して魔導ガス灯や魔導列車を動かすための燃料としており、自由国ラグス・フールのなかでも随一の魔力エネルギー生産量を持つ街である。


 そんなギアタウンの修練場は常に多重結界が貼られており、普通の広場などでは試すことができない力を使用することができる討伐者になりたい人や現役の討伐者にも人気の場所だ。


「マヌス、まずは情報の擦り合わせをしようか。俺が教えられることは効率的な肉体強化訓練と討伐者時代の経験だ。マヌスが昨日、調べてきた知識ではガントレットは近接で戦うことを主としていて肉体強化は必須だと書いてあったんだよな?」


「そうだよ!攻撃の間合いが狭くて近くで戦うことが求められるって書いてあったからガントレットはちょっと大きくなった拳ってイメージで修行するのがいいのかなって考えてるんだ」


 その為にも筋力と持久力に加えて技術も必要になるはず。


 仮にも剣術のスキルを得られるくらい剣は振ってきたので、ある程度の動きは出来るが拳を使った戦闘は経験無いから慢心はしちゃ駄目だな。


「マヌスは本当にしっかりと調べたんだな......偉いぞ!」


 そう言ってアレス父さんはとても笑顔で嬉しそうに俺の頭をガシガシ撫でてくる。


「よし、じゃあまずは模擬戦でもするか。筋トレは家でも出来るからここでは実戦形式での訓練を中心にやっていくぞ!前に来たときは刃の潰れた剣での模擬戦だったが今回は拳でやるぞ」


「わかった、よろしくお願いします!」


 俺はアレス父さんと少し離れて深呼吸をし、心を落ち着かせ拳を構えた。


「マヌス、討伐者時代に聞いたことだが拳での戦闘で大切なものは相手との距離と攻防一体の心構えらしい。まず、攻撃の距離についてだ。拳は遠すぎたら当然攻撃は当たらないが、あまりに近すぎると攻撃が当たらなかった場合に相手の強力な攻撃を喰らってしまうからな。理想は自分の攻撃は当てて相手の攻撃は届かない距離、もしくは避けられるようにしなければならない。」


 アレス父さんは俺に向かってゆっくりと殴る動きをしてくれる。アレス父さんは「ここでは当たらないだろう?だがここならどうだ」と言った後に3歩ほど進み同じ動きをしてくれた。


「今の父さんの位置ならちょうど拳が俺に当たるね!俺が殴れるのは伸ばした腕くらいだし、それも父さんならすぐ身体に引き寄せるだろうから俺の攻撃は当たらない......」


「そうだ、そして俺がフェイントをかけて腕を戻すのを少し遅くすればそれに釣られて俺の腕を殴ろうとしたマヌスの体は無防備になる......ということもありえるな」


 なるほど......要するにそこまで想定した上で適した距離を瞬時に理解することが必要になるということか。


「攻防一体については、攻撃をした後に防御を意識しなければいけないから拳を振りぬいた形でそのままにしておくんじゃなくて、すぐに自分の元へ戻し、相手の出方を伺う必要があるということだな。これが疎かになると攻撃が全て隙を晒す行為に繋がるぞ。まずはこの二つを意識して俺に打ち込んで来い......マヌス!」


 父さんの声を合図として模擬戦が始まる。


 俺は父さんに向かって踏み込み拳を顔に打ち込んだが簡単に腕でガードされて逆にカウンターを決められる。ガードされたことで外側に腕が弾かれ、防御姿勢が出来ていなかったことで無防備な腹にアレス父さんの拳が突き刺さる。


「うっ......」


「最初から顔を狙うのは良いと思うが隙だらけだな。大前提として俺とマヌスでは体格に差があることを考慮しろ。マヌスが全力で俺の顔を殴るんなら飛び上がって体重を全て預けた攻撃になる。鉱魔獣には俺たちよりも大きい個体がわんさかいる。その選択肢は先のことを考えられていないぞ」


 お腹に受けた衝撃で地面に伏している俺に父さんがアドバイスをくれる。


 確かに......木剣で模擬戦をしていたときはリーチの長さがあったことである程度体格差をカバーしてくれていたが拳にはその恩恵が無い。これが拳......いやガントレットの弱点か。


「神導武器のガントレットを装備することで多少はリーチが伸びるだろうが、それは短剣にも負ける程度の誤差だ。まずはバランスを崩さずに攻撃することを意識しろ」


「バランスを......崩さずに」


「そうだ、これは拳以外の武器でも言えることだが攻撃するときに大切なのは重心だ。例えば俺が斧を振るうときに上半身が前に行き過ぎてしまえばバランスが崩れてしまう。足を少し大きめに開き、頭から地面まで力が一本の線としてしっかりと伝わっている状態で攻撃をするんだ。まずは重心を真っ直ぐに保つ意識を持て!」


 重心を真っ直ぐに......足を少し開いて腰を落としながら自然と力が伝わる位置を探す。その状態で拳を前に突き出す!


 パンッという空気を打った音が周囲に響き渡る。


「それだ、マヌス。その打ち方を常に意識して攻撃をすることが最初に覚えるべき基礎になる」


「これが......」


 自分が放った拳を眺めていると頭の中に声が聞こえる。


『スキル:格闘術Ⅰを獲得しました』


「もうスキルが手に入った!?」


 今日始めたばかりでコツを少し掴んだだけでスキルが手に入るなんて......


 驚いている様子の俺を見てアレス父さんが俺の疑問に答えてくれる。


「そういえばマヌスに伝えてなかったな、自分の持つ神導武器との親和性が高いスキルは上昇値が高いという法則がある。昔から木剣を振っていたのに剣術がⅠしか手に入っていなかったのも、今回格闘術Ⅰの入手が早かったのもその法則があるからだ」


 なるほど......これが自分に最も適正があるものが神導武器として与えられるということか。


 こんなにスキルを獲得することに差が出るのなら神導武器以外を扱う人が少ないのも納得だ。


「まだ修行は始まったばかりだ。都度アドバイスはしていくからそれを元に模擬戦を続けるぞ」


 その後はアドバイスを参考に俺の体力が尽きるまでひたすら模擬戦を繰り返していった。

【作者からお願い】


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