第4話 「ルミナさんと優しいスキル」
アルジェントさんの案内通りに進むと図書館にたどり着くことが出来た。
なかに入ると館内はとても広々としており、経年劣化をしている紙特有の匂いがしている。
周囲を見渡すと数えきれないほどの本棚が綺麗に並んでおり、俺が一生かけても読み終わることは無いであろうと思えるほどの本を見て圧倒されていると入口近くの受付から「君......図書館に何か用事......?」と声がかかる。
そちらに振り向くとカウンターに体を伸ばしながら顔だけ上げた状態でこちらを見ているエルフの女性がいた。
尖った耳に整い過ぎているといってもいい美貌を持ったエルフが全力で脱力している姿はなかなかシュールな光景だ。
「すみません、武器と魔法についての資料を探しに来たのですが、えーと......司書さんで良かったですか?」
「ん......そう、ルミナって呼んで......優しそうなお兄さん」
のんびりな口調でそういうと体を少し起こしてこちらに手を振ってくる。
「ルミナさんですね、よろしくお願いします!あ、あと13歳で神導武器を授かったばかりでお兄さんって呼ばれると恐縮なので......良ければマヌスって呼んでください!」
「わかったよ~......よろしくねマヌス君~。マヌス君は図書館にくるの初めてだよね?ここ本の数がすごいでしょ......欲しい本の場所、わかる?」
そう言われて改めて館内をグルッと見渡してみても、想像以上の広さと本棚の数が変わるわけも無く、もしかしたら司書さんに聞かなくても本くらい探せるかもと思っていた過去の自分の浅はかさに呆れながら首を左右に振った。
「恥ずかしいんですけど見つけられる自信が無いです......」
「ふふ......大丈夫だよ、そのために私がいるんだから。見ててね」
ルミナさんはそう言うと指を立てて、クルクルと回しながら言葉を紡いだ。
『私はこの図書館の全てを記憶し望む者に道を示す【蘇る記憶保管庫】』
ルミナさんが詠唱だと思われる言葉を口にすると指先に解読不能な文字列が複数の円となりその数を増やしていく。
そして、複数の文字列の円が空中に解き放たれた後に図書館にある全ての本が光り輝いた。神々しいほどの光景に目を奪われていると、その光は光球となって本を形作っていき俺の目の前に三冊の本となって表れた。
「うわ......!この本は......」
「これは私の固有スキル【蘇る記憶保管庫】......対象者の求める知識をこの図書館の中から検索し、本として出現させる魔法だよ......結構疲れるから気に入った人にしか使わないんだけどね......普段は求める本の場所を教えるだけ、優しい君にサービスだよ~」
いつのまにか目の色が緑に変わっていたルミナさんはそういうとまたカウンターの上に体を突っ伏した。
「ルミナさん......!!ありがとうございます!俺のためにそんなこと......!」
「気にしないでいいよ~......その本は君が求める知識が書かれている。だけどね、その知識は万能では無いんだ。君が心から知りたいと欲しているものでありこの図書館にある本に書かれている知識を引き出しただけ」
「その先を知りたいなら自分の足で世界を回り、経験して培っていってね」
「はい!本当に助かります!」
微笑みながらも先ほどより真面目な口調で忠告してくれたルミナさんに再び頭を下げてから本のタイトルを見てみる。
一冊目は『神導武器大全 出力=ガントレット 著:アルマ・ディレク』
二冊目は『属性魔法・魔術指南書 出力=土魔法 著:アルマ・ディレク』
3冊目は『スキルについての理解と解釈 出力=モノマネ・固有スキル 著:アルマ・ディレク』
この三冊が今、俺が求めている知識が綴られた本ということだろう。望んでいたガントレットと土魔法が出力となっているためこの図書館にある大量の本の知識から選ばれていることがタイトルからわかる。
あと、全部の著者がアルマ・ディレクって人なんだけど、俺は聞いたこと無い名前だな。
これだけの情報が溢れる図書館から選ばれた本が全てアルマ・ディレクさんのものだってことなら凄い有名な人なのかもしれないけど......
俺がまじまじと本のタイトルを眺めているとルミナさんがゆっくりと身体を起こす。
「その三冊はもう君のものだよ~......私がスキルを解くまで消えないから焦って読まなくてもいいんだ。だから、君がその内容を理解してもう大丈夫だと思ったときに私に言ってくれれば問題無いよ~」
そんな優しい言葉を伝えてくれるルミナさんに感動して目に涙を浮かべながら俺はまた頭を下げる。
「そんな凄いものを俺に......!!ルミナさん改めてありがとうございます!このまま帰るにしてもまだ早いのでまずは図書館で読ませてもらってもいいですか?」
「そうだね~......良いけど帰りにはまた声をかけてね。マヌス君が気づかないうちに帰ったら寂しいからさ~」
今日が初対面なはずなのにここまで優しくしてくれるルミナさんに戸惑いながらも、そんな嬉しい言葉をかけられて口角が上がっていくのを自覚しながら返事をする。
「わかりました。また帰りに顔を出しますね!」
少し恥ずかしかったこともあり、そそくさと空いている席に向かって足を進めて席に座った。
俺はルミナさんが選んでくれたこの本にはどんなことが書いているのかワクワクしながらページを開いた。
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