第28話 「初めての依頼」
「アルジェントさん、こんにちは!依頼を受けに来ました」
「マヌス君、こんにちは。マヌス君は今回初めての依頼でしたね。では、簡単な説明をした後に資格証である討伐者カードをお渡しします。こちらを読んでください」
そう言ってアルジェントさんは一枚の紙を俺へと差し出してくる。
俺はその紙を受け取って内容に目を通していく。書いている内容をざっくりと纏めるとこうだ。
討伐者はF級から始まり、S級が最高の階級となる。例外として人理を超越した力を得た者をX級とすることもあるが対象者は現時点で10名しかいない。
C級に昇格する際に000から指定された依頼を達成する試験が実施される。これはC級討伐者から信頼度が保証される恩恵が与えられるためである。
依頼を達成することで依頼達成料が得られる他、討伐した鉱魔獣の素材を持ち帰ることが出来れば000で換金することも可能である。
依頼には常設依頼と募集依頼の二種類があり、常設依頼は特定の鉱魔獣の素材を持ってくることが達成条件になるが、募集依頼は依頼主の要件を達成することが達成条件になる。(施設を壊してくる鉱魔獣の討伐であれば該当の鉱魔獣を排除しなければいけない)
ランクアップ条件は常設依頼を多く達成するよりも募集依頼で良い評価を貰うことが重要である。
最後に、討伐者は鉱魔獣を滅ぼすことが命題であり、鉱魔獣という存在を許してはいけない。(過去に鉱魔獣の幼体を逃がした者が原因で起きた大事件があるため)
「ありがとうございます、全て読みました」
「マヌス君から質問があれば受け付けますが何かありましたか?」
質問か......何かあるかな。ん~あ、そうだ!
「ランクアップまでどれくらいの依頼を受ければいいかは000に聞いたら教えて貰えるんでしょうか。ある程度の指針になるのでわかったら嬉しいと思ったんですけど」
「そうですね、質問に答える前にまずは討伐者カードをお渡しします。こちらをどうぞ」
アルジェントさんは受付カウンターの上に銅色のカードを置いた。そのカードを受け取った俺は手に取って眺める。
「そのカードに魔力を流してみてください」
言われた通りにカードへ少し魔力を流してみると、表面に俺の名前と現在のランクであるFという文字とともに横に0/10と書かれた数字が浮かび上がる。
「それがマヌス君のランクと必要依頼数です。常設依頼では基本的に1、募集依頼では最低限は1で評価によっては多い数字を貰うことができます。これを目標にしてください。また。討伐者カードには通知機能も備わっているので緊急の依頼や討伐者全体への通達が表示されることもあります」
なるほど、俺の思っているよりも高性能なカードのようだ。
「ありがとうございます、カードを紛失した場合の罰則などはありますか?」
「もし、紛失した場合は再発行のための罰金がかかります。ランクが上がるにつれて罰金も高額になりますので注意してください。また、カードを握りこみ、蒸気を魔力貯蔵器官に吸収するイメージを持ってください。そうすればカードを魔力粒子へと変換して体内に収納できますので紛失リスクは低いと思います」
俺はアルジェントさんの言葉を確かめるために再びカードを握りこみながら魔力を流した。俺の魔力に反応したカードは蒸気となって手から消えるように溶け込んでいった。
「取り出すときは先ほどとは逆で手に魔力を込めてカードを取りだすイメージで大丈夫です。......説明は以上となりますのでこれからマヌス君は正式に討伐者と認められます。おめでとうございます」
「ありがとうございます!これからもよろしくお願いします」
そう言って軽く頭を下げた俺を見てアルジェントさんは笑顔を浮かべていた。
「じゃあ、依頼を見に行こうか~......依頼ボードはすぐ近くにあるよ~......」
「ルミナさん、わかりました!アルジェントさんもまた!」
手を振ってアルジェントさんに別れを告げたあと、ルミナさんと一緒に依頼を見に行くことにした。
依頼ボードは何個か置かれていて、上に書かれている文字を見るにランクごとで別れているようだ。
俺たちはFランクボードの前でどんな依頼があるのかを確認する。
「Fランクの依頼は常設依頼が多めなんだよね~......アイアンスライムにブロンズバード、屑鉄のカカシといったの弱めの鉱魔獣が貼られてるんだよ~......たまーに募集依頼もあるけどお手伝いみたいな小さい虫型鉱魔獣を倒すくらいしかないんだ~......」
「募集依頼があるだけ助かりますね。まずはどんな流れで募集依頼をこなすのかも知りたいですし!」
「そうだね~......面倒くさがらずに一度は募集依頼を受けておくのをおすすめするよ......で、私がおすすめの依頼はこれ......」
ルミナさんがボードから取った紙に書いてあったのはアイアンゴブリンの常設依頼だった。
「アイアンゴブリンですか。どんな鉱魔獣なんですか?」
「アイアンゴブリンは身体の一部が鉄になってる子供みたいな姿をしてるよ~......子供とは言ったけど見た目は醜悪でお腹が凄い出てるからみたらすぐわかると思う......」
子供か......でも、相手は鉱魔獣。どんな小さい生物でも中身は俺たちを苦しめる害獣だ。討伐者になると決めてから心構えは欠かしてない。
「わかりました。じゃあ、その依頼を受けます。で、準備が終わったら国の外に行きましょう」
遂に初めての依頼を受けるんだな!少し緊張するがこれまでの修行を思い出せば大丈夫だろう。ルミナさんがおすすめしてくれたんだし、恥ずかしい姿を見せないように頑張ろう!
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