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【更新停止中】ガントレットは青空を掴む ー旅は導き、世は助けー  作者: いさな
第一章 導きのエルフと自由の栞

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第27話 「外装の力」

「よし、忘れ物は無いかな!依頼のために買った道具に討伐者試験合格証、お弁当に......」


「マヌス君~早く行こ~......000に行って外装を試してから依頼を受けるんでしょ~......時間無くなっちゃうよ~」


「はーい!じゃあ、行ってきます!」


 俺は両親に出かけることを伝えてからルミナさんと一緒に宿屋を出て、000に向かう。


 今日はモーチラスさんから貰った外装を試してから初依頼を受けてみるんだ。緊張するけどルミナさんがついてきてくれるみたいだからちょっと安心かな。


 合格祝いでアレス父さんから貰った懐中時計を確認しながら、次に来る魔蒸列車の時刻には間に合いそうだと安心する。


「ルミナさん、000の修練所を予約してくれてありがとうございます!予約の仕方がわからなかったので助かりました」


「マヌス君は000の施設に詳しいわけじゃないからね~......予約方法は教えたから次からは大丈夫さ~......」


 ルミナさんは俺が気にしすぎないように軽く流してくれるが、それが無かったらギアタウンまで行って000まで移動することになっていた。


 いつもはゆっくりしててほのぼのする人だけどやっぱり頼りになるお姉さんなんだよな。


「まだ時間はありますし間食を駅で買う時間もありそうですね!お菓子かジャーキーとかにしようかな~」


「最近、倭国から来る人たちが増えててね~......おにぎり?っていう手軽に食べられるものが売ってるらしいよ~......」


「おにぎりですか。初めて聞きました!駅に売ってたら買ってみましょう。無かったらライメイに聞いてみよう」


 そんな話をしていると沢山の人が出入りする駅の前に着いていた。


 次の便が来るまで買い物をしながら、のんびりとした時間を過ごして、ルミナさんと一緒に魔蒸列車に揺られて000へと向かうのであった。


 ◇◆◇◆


 サンドバックや遠距離用の的に筋トレ用具など多くの設備が整う000の修練所の自由スペースに俺たち二人は立っていた。


「昨日、モーチラスさんから外装の着け方は教えて貰ったので、その通りにやってみます」


「おー頑張れ~......」


 手をフリフリしながら応援してくれるルミナさんに頷き、外装を装着するために必要なコアパーツを取り出し握りしめる。


「コアパーツに魔力を送り込んで、キーワードを言うんだよな。―鎖の騎士鎧シュバリエ・ウィンクルム『蒸装』」


 その瞬間、手の中にあるコアパーツから白い蒸気が溢れて身体を覆いつくしていく。魔力を含んだ蒸気が俺の外部魔力と反応することで熱を帯び、急速な冷却とともに硬化していき煙が晴れたときには俺の身体に『鎖の騎士鎧シュバリエ・ウィンクルム』が装着されていた。


 感触を確かめるために何度か拳を握り、その場で跳ねるのを繰り返してから神導武器を装着するためのキーワードを口にする。


「原初のガントレット『機動』」


 俺の胸から光球が出て来ていつも通り線となってガントレットを形作ろうとするが、その前に鎖の騎士鎧シュバリエ・ウィンクルムの籠手が蒸気となって空中に拡散されることで、神導武器の装着を阻害することなく原初のガントレットを装着することができた。


「これは凄いですね。装着にも時間が掛からないし、原初のガントレットの魔力に反応して勝手に装甲が外れました。モーチラスさんが俺の魔力反応を入念に調べてたのはこれが理由だったんですね」


「モーチラスが作る外装は一級品だからね~......量産品だったら装備にももっと時間が掛かるし、身体と一体型の神導武器は事前に装甲を外す必要があるんだよ~......」


 本当に凄いものを俺に作ってくれたんだな。モーチラスに答えるためにも備えられている機能を全て使いこなせるようにならなきゃな。


「よし、じゃあ色々動かしてみますね!まずは、鎧全体に魔力を纏わせることからかな」


 俺は無属性魔力を外へ放出して鎧に纏わせるイメージを固める。魔力を纏った鎧は純白の光を放ち、各部位の歯車がゆっくりと回り始めた。


 俺は少し遠くにある的に向かって走っていった。その速度は鎖の騎士鎧シュバリエ・ウィンクルムを装備する前と比べて体感にはなるが二倍程になっている。


 その勢いのまま勢いをつけてガントレットを振り抜くと、音を置き去りにした一撃が金属製の的を捉えて、粉々に砕け散った。遅れてやってきた風圧が修練所の空気を激しく掻き回した。


 不用意な怪我を避けるために心を落ち着けて残心していると回転していた歯車がカチッという音とともに停止して鎧から発していた光も落ち着いていく。


「これが鎖の騎士鎧シュバリエ・ウィンクルムによる肉体強化ですか。何も装備していない状態での肉体強化よりも効率が良くなるとは言ってましたが、ここまで違うものなんですね」


「精霊鉱を使ったから特に効果を実感出来るんだと思うよ~......まだマヌス君には見えてないけど鎖の騎士鎧シュバリエ・ウィンクルムに宿る精霊が一生懸命手助けをしてくれてるんだ~......」


「精霊が......俺も精霊術の半球が形になれば精霊術を覚えられて挨拶出来るようになるかもしれませんね。ずっとルミナさんに教えて貰っていますけど精霊術を習得する目標が出来ました!」


 今までルミナさんとの絆の力を無駄にしたく無くて精霊術の勉強をしていたけどこれから先の楽しみが見えてきたのは素直に嬉しい。


「あと、鎖の騎士鎧シュバリエ・ウィンクルムに宿ってる精霊は無属性だからね~......他の属性を強化する力の補助もしてくれるよ......」


「それも試してみますか。まずは土属性から」


 俺はさっきと同じように鎧全体に土属性魔力を纏わせていく。土属性に反応した鎧はオレンジ色の蒸気を発したあと、右手のガントレットに吸収された。


 俺が的に向けて開いた手を握りこむと、手から鋭利な鉄の棘が発射されて突き刺さる。


「鉄が生成された......ということは自分の力以上の魔法を使えるのかな?俺はまだ土を生成することしか出来なかったし」


 続けて、水と風の魔力を混ぜる意識をしながら同じように鎧へ魔力を通していく。


「ついでに......氷鏡鱗のガントレット『機動』」


 キーワードを合図に原初のガントレットが光となって弾け、代わりに両手から青と白の光球が現れて線となって爪と鱗盾を模したガントレットを形作る。


 次に、キラキラとした雪のような蒸気が鎧から発生して右手の竜爪に吸収されていく。


 最後に、魔力操作により螺旋操作で爪のひとつひとつに氷属性の回転を加えていくことで全ての準備が整った。


 俺の身長の二倍くらいの修練用の大きさの壁に向けて全力で右手を振り抜く。


「【氷龍螺旋爪】!!!」


 爪から発生した爪を模した魔力が壁へと飛んでいき荒々しい傷跡を刻み込む。


 後から、冷たい風がこちらへと返ってきて俺の前髪を吹き上げていった。


「初めて見る技だね~......」


「ずっと頭の中にあった技なんですけど練度が足りなくて完成していなかったんです。でも、鎖の騎士鎧シュバリエ・ウィンクルムの力があれば出来ると思ってやってみたらいけました!」


 俺の命を守ってくれる鎧でありながら攻撃にも多大な補助をくれるのが鎖の騎士鎧シュバリエ・ウィンクルムって感じだな。


 モーチラスさんはまだまだ鎖の騎士鎧シュバリエ・ウィンクルムは成長する前の子供だから性能は制限されているっていう恐ろしいことを言っていたな。


 今でも凄い性能なのにこれ以上強くなっていくなんて。


「でも、これで鎖の騎士鎧シュバリエ・ウィンクルムのことはある程度理解できました!これなら自信を持って依頼に臨めそうです」


「じゃあ、早速依頼を確認しにいこうか~......私は気の使えるお姉さんだからおすすめの依頼をピックアップしてあるのです......!」


「本当にいつも頼りになります。ありがとう、ルミナさん!」


 褒めて欲しそうに腰に手を当てて胸を張るルミナさん。そんなルミナさんに尊敬と好意を覚えながら俺たちは受付へと足を進めていく。



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