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ガントレットは青空を掴む ー旅は導き、世は助けー  作者: いさな
第一章 導きのエルフと自由の栞

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第2話  「不安と優しい家族」

 導きの儀式を終えて、家までの帰り道を歩きながら神様から授かった力について考えていた。


 俺が授かったのはガントレットという神導武器とステータス。


 改めて......ガントレットって武器なのか......?


 籠手を武器として使うということだよな...?結構な大きさだったし、あの拳で鉱魔獣を殴れば効果はありそうだが、俺の知識では修行方法が全く思い浮かばない。


 出来ることなら剣みたいなわかりやすくて修行がしやすそうな武器を授かり、旅に出たいという俺の人生プランが崩れてしまった。


 剣を授かるために結構頑張ったんだけどなぁ......


 はぁ......特殊な武器は最初の一歩で躓くことが多いとは聞いていたがまさか自分がそうなるとは。


 後はスキル欄にあった『絆が結ぶ世界ノードゥスワールド』と『写し身』に魔法欄にあった『土魔法』と『無魔法』くらいか。


『剣術』は子供の頃から頑張った修行で身についたものだと思うが、成果として見えるのが喜ばしい反面でガントレットには活かすことが出来ないのが少し寂しい。


『写し身』の効果は今すぐにはわからなそうだし、土魔法もすぐに主戦力となる魔法では無いことは知っている。あとは【固有】となっていた『絆が結ぶ世界ノードゥスワールド』か。


『絆が結ぶ世界ノードゥスワールド』は絆を結んで育むほどに自分の力になってくれるスキルだということはステータスから読み取れる。


 少し抽象的な効果だけど、要するに仲間を見つけて仲良くなればいいのかな?


 追加効果になっている斧術と魔法使いの種はアレス父さんとミレア母さんの神導武器が斧と杖だから、いつも笑顔で過ごすことが出来ている仲の良さが力となって俺のステータスに反映されているようだ。


 だけど、『絆が結ぶ世界ノードゥスワールド』のせいでまた新しい選択肢が増えたことによってなおのこと成長の方向性を見失いそうになっている。


 自由度が高いが故に一般的なステータスよりも一癖ある力に頭を悩ませながら帰り道を歩いていると、うちの両親が働いている宿屋兼家についてしまった。


 俺が昔から剣を神様から授かって旅に出るのが夢だ!と語ってしまっていたから悲しい顔をさせてしまうかもな......このままじゃ討伐者にもなれないかもしれない。


 そんな憂鬱な思いを流す為に、軽くため息をついた後、玄関の扉を開き中へ入っていった。


「おーおかえり!マヌス、どうだった?神様からどんな武器を授かったんだ?大剣か直剣か!?」


「昔から剣の英雄様に憧れてたもんね!どんな神導武器を授かったの?」


 扉を開けるとわくわくしたアレス父さんとミレア母さんの顔が目に入る。剣じゃなくて大きい籠手だなんて言い出せないほどの笑顔だ。


「あーと......その、剣は授かることが出来なかったよ」


 少しショックだったこともあり声のトーンが落ちてしまったけど、両親の勢いに押されながらも苦笑いで答えることができた。


 そんな俺を見て少しだけ不安そうな顔をした両親は、直ぐに切り替えたかのように笑顔を浮かべる。


「そうなのか......剣が良いと言っていたマヌスとしては少し残念だったな。でも、神導武器は授かったんだろう?」


「そうね!ねぇマヌス、あなたの神導武器を見せてくれないかしら」


 アレス父さんとミレア母さんの言葉からは俺に前を向かせるような優しい気遣いを感じた。


 二人にそう言われたらもちろん見せたいんだけど......俺もガントレットについてはよくわかってないんだよな~とりあえず出してから考えよう。


「わかった、ちょっと特殊な武器で俺にもわからない部分が多いから驚かないでね」


『機動』


 合図に合わせて胸から光球が現れ光の線に変化した後、俺の両腕には教会で見た形と変わらない黒鉄のガントレットが形作られ装着された。


 ――改めて見ても結構な威圧感あるな、これ。


「マヌス......申し訳無いんだがそれは何の武器だ?」


「籠手......にしては大きいわよね」


 やっぱりそういう反応になるよな......俺の家族は宿屋を営んでいることもあって、他の神導武器の話題も軽くなら聞いたことはあるが、ガントレットなんて誰からの口からも聞いたことないし。


「司祭様が言うにはこの武器はガントレットって名前なんだって。ステータスには原初のガントレットってなってた。中心の窪みに魔鉱石を入れると特殊な蒸気が発生するって書いてあったから武器としての使い方は何となくはわかるけど......」


 拳がそのままドンッて大きくなったようなものだからこれで殴るのかな?


 多分だけど拳で殴るってことは近接戦闘が主軸になるっていうことと、身体の使い方が戦えるかに直結しそうなことくらい?駄目だ......強くなる未来があんまり見えてこない。


「なるほど......珍しい神導武器は最初の成長が難しいと聞いていたがまさか自分の息子で実感するとはな。俺の神導武器は最初は片手斧だし、母さんは杖だったからな」


「そうねぇ......どちらもメジャーな武器だし指南書も多くあるから困ったことは無かったわね」


 うーんと言いながら首を捻る両親の姿を見ていると、このまま流れに沿って過ごして自発的な行動をしなければ成長できないと感じてきた。


 両親は宿屋を営んでいてお客さんからの話を聞く機会が多くあり、それに加えて元討伐者だ。


 普通の人よりは知識は多い方で良く俺にも昔の冒険のことを教えてくれる。


 そんな二人がわからないなら、自分で考え続けるよりも調べに行った方が良さそうだ。


「父さんたちでもわからないなら明日、図書館で勉強してくるかな。自分の神導武器のことを知らないと、修行も何をすればいいのかもわからないから」


 俺が住んでいる国では15歳から成人と同じ扱いを受けて討伐者になることが出来る。


 それまでは家業を手伝いながらお金を貯蓄し、神導武器を使いこなす修練の期間として計画をしていた。


 残念なことに、これまで剣術の修行をスキルが手に入るほど真剣に行なっていたが、意味のないものとなってしまった。


 だけど、剣術以外の筋力や技術は無くならないはず。


 ガントレットを授かったことで修練の内容が簡単には進まなくなったとしても計画自体は変更しないことにする。


「そうか!なら、明日は宿屋の手伝いは大丈夫だからゆっくりと時間をかけて勉強してきなさい。マヌスの相棒のことについて調べてくるんだ、俺らにも手伝えることがあったらなんでも言ってくれ!」


 母さんも同じように笑顔で頷いて同意してくれている。


 優しい二人に甘えることになるとわかってはいるが、それを許してくれる両親に感謝を込めて頭を下げる。


「ありがとう、父さん、母さん!何か成果があったら二人にもしっかり話すね!」


 神導武器を授かり、ステータスを見たときは不安でいっぱいだったが、俺のことを心から応援してくれている両親の姿を見ているとそれが薄れていくのを感じる。


 そんな二人の優しさを無駄にしない為にも明日はしっかりと勉強してこよう。

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