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ガントレットは青空を掴む ー旅は導き、世は助けー  作者: いさな
第一章 導きのエルフと自由の栞

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第20話 「同期と学術試験」

 試験会場へ向かうための昇降機に乗り込んだ俺たちは、他愛も無い会話をしながら目的の階へ止まるのを待っていた。


 目的地が近いのであろう。一定の速度で進む昇降機が次第にゆっくりとその動きを止めていく。


 ポーンという軽快な音が鳴った後、昇降機の動きは微かな振動とともに止まり蒸気が排出される音とともに重厚な扉が開いた。


「マヌス君、着いたわよ。この待機所で待っていれば係の人が呼んでくれるから、それまでは他の受験者と交流してても良いし勉強してても良いわ。私はルミナを連れて戦闘訓練を見れる場所に行くから」


「私はずっと一緒に居たいんだけど規則で駄目なんだよね~......応援してるよ~マヌス君」


「ありがとうございます!精一杯頑張ってきます」


 俺は言葉を返して昇降機から外に出る。扉が閉まるまで中にいる二人の姿を見届けた後、振り返り待機所を見回した。


 そこはどこかのパーティー会場と見間違えそうなほど煌びやかで上品な雰囲気が漂う場所だった。


 天井にはシャンデリアが吊るされ、置かれているソファも素人目に見ても上級品だということがわかる。魔力を流すための魔導回路も一種のデザインなのだろう。規則性があり、絵画のような美しさで配列されている魔導回路は俺が生きてきて初めて見るほどの美しさだった。


 奥に何人か受験者が見えるが、それも気にならない程の眩しい待機所に見惚れていると、俺の横から声が聞こえた。


「凄いよね、ここ。僕もさっき来たところだけどびっくりしちゃったもん」


 声の方向へ顔を向けるとそこには青い髪色をした俺と同い年くらいの青年が立っていた。


 腕を捲った白いシャツに黒のベルト、胸には十字架のネックレスが揺れている。肌は色白で傷や汚れが一つもない綺麗なものだ。種族的な特徴は見えないから人族だろうか。


 青年は俺と目が合うとにっこりと笑顔を作り、手を伸ばす。


「いきなり話かけてごめんね、僕の名前はシアネスっていうんだ。多分君と同じく討伐者試験を受けにきた受験者だね」


「全然大丈夫だ。俺はマヌスだ。受験者に知り合いがいないから話し相手が出来て心強いよ」


 そう言うと俺はシアネスの手を掴み握手をする。


「立ち話も何だし、座って話そうか」というシアネスの言葉に同意し、ソファに腰を下ろして向かい合う形になる。


「僕も一人だと心細くてね。連れのいない人が昇降機から出てくるのを見て話かけたんだ。それに......君からは強い光を感じるからね」


「強い......光?なんだそれ、才能とかか?」


「そうじゃない、光とは闇を払い影を作るもの。闇は負の感情から生まれるが、光は正の感情から生まれる。光から生まれた影は正から生まれた闇ともいえるね。本には光の神シューラ様・闇の神シャーマ様と書かれているが、正確には陽光の神・暗影の神というのが正式な呼び方なんだよ。知ってた?」


「それは知らなかったが......それが俺から感じる光に関係するのか?」


「もちろんさ。マヌスから感じる光は心に抱えるトラウマのような闇を払い、新たな光と強固な意志を表す影を生み出せるほど優しく、暖かいものだ。そんな光を持つ君に興味が湧いたのさ」


 んーなるほど?闇はトラウマのようなものを指すけど、影はトラウマを乗り越えた先にある強固な意志のようなものか。


 とりあえず、それで考えると俺にはトラウマを払えるほど優しい光があると。つまり――


「性格が良さそうだから話しかけたってことか?」


「簡単に言えばそういうこと!」


 シアネスはなぜか嬉しそうにパチンッと指を鳴らす。


 回りくどい言い方だったけど、要するにルミナさんの魔眼のようなものでそれがわかったってことだろう。


 でも、この二年間で誰かに優しくされたことはあるけどその恩は返せて無いんだよなぁ。俺はこれまで周りの人におんぶに抱っこだったから討伐者になったらしっかりと恩返ししなきゃ。


「そう言って貰えるのは素直に嬉しいな。お互い討伐者になることが出来たら仲良くしてくれ」


「僕からもよろしく頼むよ。生憎、僕は自由行動が好きな性分だからパーティーとかは組めそうに無いのが残念だけどねー」


 シアネスとそんな話をしていると、奥から管理局の制服を着た男性が表れた。


「討伐者試験受験者の皆様、お待たせいたしました。これから学術試験会場へご案内します。学術試験は全3科目で1科目につき45分の回答時間が設けられています。

 全ての科目が終了した後はそのまま待機していただき、解答用紙を回収後に係の者が戦闘試験会場へご案内します。何か質問はありますか?――特に無いようですので進めます。私に付いてきてください」


 そう言うと案内係の男性はスタスタと歩いていく。


「よし、じゃあ行こうか。お互い頑張ろうね、マヌス」


「ああ、シアネスも勉強してきたんだろ。その結果を全て出せば絶対に大丈夫だ。一緒に合格しよう」


 俺たちはソファを立ち、互いの拳を打ち合うことで健闘を祈った。


 ◇◆◇◆


「――そこまで!受験者はペンを机の上に置き、解答用紙を触らないようにしてください。回収後に席を立つのは自由ですが係の者が来た際は私語を止め、案内にしたがうようお願いします。お疲れ様でした」


 その言葉を合図に周りからペンを置く音が連続で鳴る。そこから粛々と解答用紙を回収していく。


 俺は目の前の解答用紙が回収されたのを確認した後、深く息を吐き、固まった身体を解すように肩から両腕をぐるぐると回した。


 それから目を閉じて次の戦闘試験について考えていると、後ろからこちらへ向かってくる足音が聞こえた。


「やぁ、マヌス、結果はどうだい?僕は大丈夫そうで安心したよ」


「小さなミスはあるかもしれないが俺も合格ラインには届いてそうだ。これならシアネスも一緒に討伐者になれそうだな」


 目を開けて声の主に振り向くと先ほどと変わらない余裕のある表情をしたシアネスが立っていた。


「面接は問題無いとしても戦闘試験で結果が出せなかった時が少し怖いくらいかな?相手は現役討伐者だって話だし、勝つまでは行かなくてもせめて驚かせたいね」


「俺の修行を見ていてくれた討伐者の人はBランクだったが、今の俺では勝てる気はしないな。良くて、全力を出させたら最高ってくらいだろう」


 氷龍の煌めきの皆に修行を頼んでからの一年間でやった模擬戦では勝てることは何度かあった。だけど、それは相手が全力を出していないことが前提だ。


 もし、ルーカスさんに氷魔法での防御と神導武器のレイピアで最高火力を打たれればなすすべなくやられている。


 カレンさんにはそもそも攻撃が効かないだろうし、ソルさんに至っては俺との修行で用意した弾幕の5倍以上は楽に扱えるらしいからな。勝てるわけがない。


 ――突然、膨大な魔力が俺たちに降りかかり、思わず肩を竦めるほどの圧を感じた。


 俺は思わず席から立ち上がり、感覚で魔力発生源に向かって拳を構える。


「お~今年は優秀なのが揃ってそうだな。反応できたのは......3人か!他のやつもこれぐらい瞬時に反応できなきゃ依頼で死ぬことになるぞ~」


 そこにいたのは俺よりも30㎝以上高そうな身長と服がはち切れそうな筋肉を持った髭面の男性だった。


 あの人があんな魔力を発したのか......今の俺が全力を出しても絶対に超えられない壁を感じたぞ。


「あの人やばいね~。勝てる未来が全く見えないや」


「だな、咄嗟に拳を向けたがあれは無理だ」


 俺と同じように反応したシアネスと二人で話しながら戦闘態勢を解いて相手の出方を伺う。


「少しは落ち着いたな。では自己紹介しよう......私の名前はレクス・へーロース、この自由国ラグス・フールにある000を任されている総司令である!今日の戦闘試験官は私だ。全員遠慮せずにかかってくるがいい!!!」


 堂々と胸を張り、豪快な名乗りを挙げながら獲物を狙うようなギラギラとした眼をしているこの男性こそ、全ての討伐者を纏める総司令レクス・へーロースであり俺たちが挑まなければいけない模擬戦の相手らしい。


「一筋縄ではいかなそうだな」

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