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ガントレットは青空を掴む ー旅は導き、世は助けー  作者: いさな
第一章 導きのエルフと自由の栞

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第19話 「試験と説明」

「試験受付はここかな......?」


 俺は討伐者試験を受けるために鉱魔獣討伐者管理局000に訪れていた。


 調べたところ、討伐者試験は15歳以上が対象で試験日は週始めに1回開催されているらしい。


(一応、忘れ物が無いかだけ確認しておくか。)


 俺がベンチに座り、必要なものはちゃんとあるか鞄を開いて確かめていると頭上から声がかかる。


「マヌス君おはよう~......無事着けたね~......」


「ルミナさん!おはようございます、試験準備は終わったんですか?」


 ルミナさんは学術試験の試験問題を担当しているらしく、今日は朝早くから宿を出て準備をしていた。


「無事おわったよ~......今回は3年に一度の更新日だったからね。仕事だとはいえ、マヌス君と一緒にいられなくて寂しかったよ~......会えて良かった」


 そういうとルミナさんは俺の横に座り、肩へ身体を預けるように寄りかかってきた。


 ルミナさんが宿屋に来てからはずっと一緒に居たからな。俺も朝にルミナさんが居ないことに若干の喪失感を覚えた程だ。


 俺は肩に頭を預けながらこちらを横目に見ているルミナさんに向けて笑顔で答えた。


「俺もルミナさんに会えて良かったですよ。少し緊張していたんですけどルミナさんの顔を見られてリラックスできました!」


「ふっふ~ん......それは良かったよ~......これから試験受付に向かうところ?一緒に行こうか......?」


「そうしましょうか。せっかく会えたんだし、ルミナさんが一緒に居てくれるのは心強いです」


 ベンチから立ち上がった俺たちは二人で楽しく会話をしながら試験受付を目指して歩き始めた。


 ◇◆◇◆


「着いたね~マヌス君、ここが受付だよ~......私は後ろで見てるからささっと登録してきな~......」


「ありがとうございます、じゃあ行ってきますね!」


 俺は『討伐者試験の受付はこちら』と赤く光る魔蒸器具の看板が見えてきたところでルミナさんと一旦別れて受付カウンターへ足を進める。


 そちらへ向かう俺の姿が見えたのか、受付の担当者が作業をしていた手を止めて俺に声を掛けてきた。


「こちらで討伐者試験の受付担当をしています。アルジェントです......あら、マヌス君でしたか」


「こんにちは、アルジェントさん!やっと15歳になったので討伐者試験を受けに来ました。今日はよろしくお願いします」


 アルジェントさんは俺が初めて000に来たときに図書館の場所を教えてくれた人だ。それからも俺はルミナさんへ会いに来ていたため、総合受付で顔を合わせて挨拶するくらいの仲の良さだ。


「ルミナがそちらの宿屋を利用しているからめっきり顔を見る機会が減りましたが元気そうで何よりです。では、試験票をお渡しください」


 アルジェントさんの言う通りに鞄から試験票を出して、手渡す。


 内容を確認して問題が無かったのか、アルジェントさんは判子を押して俺に返した後に言葉を続けた。


「はい、確認いたしました。では、今日の試験内容をお知らせします。何か疑問などがあれば最後に聞きますのでまずは静かにお聞きください」


 その言葉に俺は静かに頷き、次の言葉を待つ。


「まず、討伐者試験対象者には学術試験を受けていただきます。範囲は討伐者基礎知識、魔法知識、歴史となります。この後に試験会場へご案内いたしますのでご安心ください。

 次に戦闘試験についてです。戦闘試験は対象者に鉱魔獣と戦う力は備わっているかを現役討伐者との模擬戦を通して確認します。神導武器を用いた戦闘、魔法の精度、アドリブに対応できるかを評価して学術試験の点数と合計した結果が合格ラインに届くかで合否を決定します。

 また、最後に総司令との面接がありますが人間性に問題が無ければ大丈夫ですのであまり気にしないでください。試験結果は面接終了時にお知らせいたします。ここまでで質問はありましたか?」


 アルジェントさんの説明してくれた内容は事前にルーカスさんに聞いていたので特に気になった内容は無いな。


 俺が首を横に振るのを確認するとアルジェントさんは話を終わらせた。


「特に無いようなのでこのまま試験会場へ向かいましょうか。試験会場には他の受験者の方もいますので是非交流してみてください。......ルミナ、あなたも行くの?」


 アルジェントさんが少し遠くにいたルミナさんに声をかけると、ゆっくりとした足取りでこちらへ向かってくる。


「もちろん行くよ~......マヌス君の雄姿をその目で確かめるのが私の役目だからね~......あ、もちろんマヌス君に学術試験の問題を教えたりはしていないからね。疑わないように」


「何なのよ、その役目は......あなたがそんなことをする性格じゃないのはわかっているわ。ルーカスから自分が勉強を教えているという報告も貰っているしね」


 びしっと音が鳴りそうな勢いで指を差すルミナさんの頭を軽く叩いてから呆れたように話すアルジェントさん。


 二人が話すところを初めて見たが、会話の気軽さから普段から仲が良さそうに感じた。初めて俺が図書館へ行ったときも司書のルミナさんのことを気にかけていたから、人との交流が少ないルミナさんの理解者なのかもしれない。


 勝手にルミナさんと仲の良い人を見つけて嬉しくなっている俺の姿を見て、少しだけ怪訝な表情をしながらアルジェントさんがカウンターから出てくる。


「じゃあ、二人とも会場へ行きましょうか。説明だから敬語で話していたけど試験会場に着くまでは外させてもらうわね。ルミナが横にいるから気が抜けちゃうし」


「失礼な物言いだね~......私ほど真面目で威厳のある者はいないと自負しているのにさ~......」


「冗談は休み休み言いなさい。あなたのどこが真面目なのよ!普段から寝ているし、最近仕事をし始めたと思ったら自動操縦で動いている分身だったし。少し感心した私の気持ちを返しなさい!」


「分身も私の一部だからね~......その反論は受け付けないよ」


「あはは......し、試験会場に向かいましょうか」


 二人の漫才のようなやりとりを眺めながら間に入るのは申し訳無いと思いながらも思わず口を挟んでしまった。


 そんな俺の声を聞いたアルジェントさんは気まずそうに咳払いをしているのに対し、ルミナさんはすすすっとこちらへ近づいて「アルジェントがうるさいのが悪いよね~......」と言いながら俺と手を繋いできた。


 俺は試験会場へ対照的な二人とともに和気あいあいと話しながら向かうのであった。


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