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ガントレットは青空を掴む ー旅は導き、世は助けー  作者: いさな
第一章 導きのエルフと自由の栞

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第17話 「氷鏡鱗のガントレット」

ルミナさんの前で号泣してしまうハプニングはあったが楽しいデートを過ごした次の日、まだ直接状態を知らせることができていなかったルーカスさんに会いに来た。


「ルーカスさんこの前はいきなり倒れてしまったのに報告が遅れてすいませんでした!」


 俺はルーカスさんにしっかりと頭を下げて謝る。ルミナさんに連れられていったことは事実だが、流れに身を任せて報告を後回しにしてしまったのは申し訳ない。


「マヌス、大丈夫だったのか?宿屋の主人から概要は聞いていたがそこまで心配はしていなかったが、元気そうで安心したぞ」


「心配かけてごめんなさい。色々あったんですけどルミナさんのおかげで良くなりました!また今日からよろしくお願いします」


 ルミナさんと昨日帰るときに「今のマヌス君なら修行してもいいよ~......」と許可を貰ったので反省を胸に刻みながら今日から討伐者に向けて頑張っていきたい。


「マヌス君が問題無いのなら俺も他のメンバーも大丈夫だ。固有スキルのことも気になるからな、この後修練所に行って確かめるところから始めよう。今日はカレンとソルも暇をしてたから声を掛けておく」


「ありがとうございます!――まだ自分でステータスを確認しただけなのでルーカスさんたちが一緒に見てくれるなら心強いです」


「マヌスが新しく手に入れた力は俺たちとの絆を元にしているらしいからな。凄く楽しみだ」


 ルーカスさんは眼鏡を直しながら、フッっと微笑んだ。


 ◇◆◇◆


 ルーカスさんとの会話を終えて俺はルミナさんと一緒に魔導列車で移動し、いつもの修行場所であるギアタウンの修練所に訪れた。


 全員が集まったことを確認したルーカスさんが口を開く。


「さぁ、マヌスの変化した神導武器を見てみようか。カレン、一応盾を構えておいてくれ」


「了解した、不殺の剣・賢牢な盾『機動』」


 カレンさんの手には刃の潰れた剣と体の半分ほどの大きさの真っ白な盾が表れる。人を害する気配は無く、絶対に傷つけさせない意思を感じさせる印象を抱く外見をしている剣盾だ。


「いつも修行で使う神導武器とは違うものですね!初めて見ました」


「私の神導武器は少し特殊でな。剣と盾があるテーマに沿って一緒に成長していくんだ。普段のものは不変の剣盾という常に同じパフォーマンスを維持できる長期戦用のものだが、今回使用するものは傷つける力を失う変わりに絶対的な防御をテーマにしている二対だな。これがあれば万が一のことがあっても対処ができる。安心してくれ」


「カレンさんありがとうございます!じゃあ、少し離れたところで機動しますね」


 そう言って俺は皆で集まっていた場所から少し後ろに下がり、頭の中で機動したい『氷鏡鱗のガントレット』を思い浮かべていく。


 イメージはあの時見た氷鉄竜の自分の姿が反射して映し出されるほどの綺麗な鱗、そして凍りついた街を闊歩する機械で造られた動物たちだ。


 目を閉じて漠然としたイメージを形に変えて内面に落とし込む。


 イメージの輪郭がハッキリとした瞬間にカチッという音が鳴ったことで機動できる準備が整ったことを理解した。


 一つ息を吐いて心を落ち着けた後、目を開けてキーワードを口に出す。


「ふぅーー......氷鏡鱗のガントレット『機動』」


 言葉を合図に、俺の両手から青と白の光球が表れる。光球が弾けて線となり俺の両腕を覆っていった。


 右手に半分に割った歯車を爪とする青鉄の鱗が生えた大きな籠手。


 左手には騎士の籠手の上に鏡鱗で出来た盾が装着された。


「よし......皆、これが俺の手に入れた氷鏡鱗のガントレットです」


 俺の手に装着されたガントレットを見て各々が「ほぉ......これが」「盾があるな。これは教えることが増えそうだ」「ソルちゃんの鱗かな?仲間~!!」「昨日も見たけど綺麗な武器.........」と感想を口にする。


「予想としてこのガントレットは右手の爪で切り裂いて左手の盾で守る新しいスタイルになるんだと思います!今までの戦い方とは全然違うものになるかな」


「俺たち『氷龍の煌めき』の戦闘スタイルを武器にしたようなガントレットだな。これなら俺たちがガントレットについても教えることが出来そうだ」


「盾を用いた戦い方は任せておけ」


「マヌス君!弾を飛ばすとかできない!?ソルちゃんだけなんか仲間はずれかも~?」


 これからの修行のことを考えてくれる二人を置いて、ソルさんが俺の肩を掴み前後ろにガクンガクンしてくる。


「ソルさん止まって!そんな揺らされると何もできませんよ!」


 俺の言葉を聞いてソルさんはピタッと止まり、カレンさんの方を向く。


「カレン盾!マヌス君は何ができるかを試すんだ~!!」


「はぁ......やれやれ。マヌス、申し訳無いが早速、氷鏡鱗のガントレットで何ができるかを調べてみることにしよう」


「はぁはぁ......わかり、ました。やりましょう!」


 揺らされて肩で息をしていた俺は気合いで身体を起こした。


 ――それからの検証でわかった氷鏡鱗のガントレットの性能は、爪の切り裂きと盾の防御に加えて装着時に氷属性の魔法適正を上げるというものだった。


 また、鏡鱗の盾は魔力攻撃を弾き返す効果があること。爪には氷属性魔力を流すことで更に切れ味を増す効果があることがわかった。


 原初のガントレットのときにはできなかった攻防一体の戦闘スタイルが確立できる可能性が見えたことで戦闘の幅が広がっていくのを感じる。


「大体試し終わりましたね!俺が足りないって思っていたものが揃っている素晴らしいガントレットでした」


「そうだな。ただ、原初のガントレットに比べて小回りが利きづらく素早い攻防には少し不向きな印象があったな。多機能型の宿命ではあるが戦況によって神導武器を器用に変化させる修行もしていった方がいいだろう」


「わかりました。まずは新しい力に慣れることから始めつつ神導武器の切り替えも勉強していきます!」


「ああ、その意気だ。ただ、倒れるような追い込みは止めるように。次も同じようなことがあれば俺たちも修行を中止しなければいけなくなるからな」


「はい、その件は深く反省してます......」


 肩をすぼめる俺の姿を見て、皆が笑い合うなかで今日の修行は終わった。


 それから俺は残りの約半年の期間をこれまでと同じような訓練に加えて、氷鏡鱗のガントレットを用いた戦闘スタイルの確立を目標に修行をする日々を過ごしたのだった。


 そして、ついに俺の運命が決まる討伐者試験日の前日まで時は進む。

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