第32話
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「ここまで来ると流石に元いた丘は見えないですね」
ハルキ達はサバンナの東端の崖に沿って南下し続けていた。
崖が先程大きく東に曲がったので降りて来た丘はもう見えない。
「それにしても広いな、ハルキ。ここまで来たらある程度は先が見えるかと思ったが、まだまだ終わりが見えそうも無い」
「そう、ですね。あの先に見える大岩に登って見てみますか?」
ハルキ達の先には巨大な岩が見えていた。
近づくとその大きさは想像以上で、まるでハルキの元の世界のエアーズロックの様な巨大な岩山だった。
「なんとかランラプトルでも登れそうですね。バニラ、特に危険な生き物はいなさそうか?」
「ワン」
バニラも上空を飛ぶ雲切隼達も特に危険を感じていない様だ。
「ドーラさん、登ってみましょう」
岩山を頂上まで登り、ハルキ達はその先を眺めた。
その先に見えたのは同じ様に広がるサバンナだった。
時折見える生き物達は段々と大きくなっている様に見えた。
「ハルキ、全ては見えないな。
このまま海まで続くのか、山か森があって海なのか。いずれにしても今日でどうこう出来る広さでは無さそうだ」
「そうですね。東の崖もどこかで登り下り出来る場所が有れば良いんですがね」
「そうだな。だが今日はこの位にしてそろそろ帰ろう。
魔物をテイムしながら帰るなら遅くなりすぎない方が良い」
「そうですね。帰りは崖よりも少し西を通りますか」
「普通は安全を考えて同じルートを戻るんだが、狼や雲切隼もいるから問題ないだろう。そのルートで帰ろう」
「ワンッ!!」
その時突然バニラが吠え立て走り出した。
岩山の端で飛び上がり、更にライムが空に舞う。
「ドーラさん、雲切隼です! テイムします」
ライムには二羽の雲切隼が突き刺さっていた。すぐにポーションを振りかけたハルキは二羽続けてテイムする。
「サヤちゃんとシオリちゃんの雲切隼を用意したかったんです。バニラ、ライム、よくやったね」
「ワン」
ハルキの元へクラウドがスッと降りて来た。どうやらクラウドが空でこちらに追い込んできていた様だ。
「クラウド、ありがとう。お前もよくやったね」
クラウドは一瞬頷くとすぐに空へ飛び立って行った。
「ハルキ、雲切隼を捕まえる所は初めて見たよ。いつもこうなのか?」
「殆どこんな感じですね。一度普通にクラウドと一緒に側に来たのもいますが」
「そうか、あのやり方は他の者には真似出来そうも無いな。大したもんだ」
褒められたバニラもライムも嬉しそうにしている。
少しだけ雲切隼を慣らしてから飛ばし、岩山を下りサバンナを丘に向かって走り出す。
しばらく行った水場の側でバニラが足を止めた。
「ワン」
少し待てと言っている。
「ドーラさん、何かいるみたいですね」
「わかった、止まろう」
ハルキ達がその場でランラプトルから降りて待つ。
「ズン、ズン、ズン」
地鳴りの様な音で足元が揺れた。
「ドーラさん、あれ!!」
ハルキの見た先には巨大な生き物が数頭こちらに向かって走っている。
「ハルキ、あれは魔物だ。足止めするからテイムしろ!!」
「はい!! ミーユ、下がってて!!」
バニラがハルキとドーラの前に出た。
前から地鳴りと共に現れたのは巨大な角を三本持つ生き物だった。
「ト、トリケラトプス?」
ハルキ達の先にやって来たのは狼達に追われたトリケラトプスに似た魔物だった。
「地竜の一種だ。行くぞっ!!」
ドーラが飛び出して群れの中に雷魔法を落とす。
次の瞬間に周辺の狼や大牙狼達から次々とスライムが空を舞う。
スライム達はそれぞれ目や鼻、そして広がって口を覆う。
そこへドーラが巨大な足に土魔法で作り出した岩を当てる。
「ズドーン!!」
倒れたトリケラトプス一頭に狼が襲い掛かる。牙はそこまで入り込んでは居ない様だが動きが殆どなくなった。
「ハルキ、行けるかっ?!」
「はいっ!!」
ハルキはトリケラトプスに飛び乗りすぐさまテイムを唱える。
テイムしてすぐにポーションを振りかけた。
ライムがそこに来て続けて治癒魔法をかけている。
一頭のテイムが終わってハルキが次に行こうとするとバニラが次の一頭の首を切り裂いていた。
「バニラ、やり過ぎて殺すなよ!」
「ワンッ」
わかってるよとバニラも吠える。
「ハルキ、こっちは土魔法で固める。バニラの方からやれ!」
「はいっ」
バニラが倒した一頭に飛び移ってテイムする。ライムと空いたスライムが治癒魔法をかける。
「ミーユ、来れるか!?」
「はい、ご主人様」
ハルキの元へ来たミーユはそのまま治癒魔法でトリケラトプスを癒す。
バニラは既に次の一頭の首を切り裂いていた。
ドーラは二頭を土魔法で固めている。
結局全部で五頭のトリケラトプスをテイムして、その全ての傷を癒やし終えた。
「ハルキ、魔力は大丈夫か?」
「はい、特には。ミーユは?」
「私も問題ありません」
「そうか。流石だな。ミーユもあのレベルの治癒魔法を立て続けに使っても大丈夫なのか」
「ドーラさんは大丈夫ですか?」
「ああ。久しぶりにしっかり魔法を使ったがこの程度なら大丈夫だ。だが、こんな魔物がゴロゴロいるならまだ鍛え直す必要があるかな」
「ワン」
その時バニラがハルキの前にやってきた。一匹のスライムを咥えている。
「ん? これもテイムするのか?」
「ワン」
ハルキ達の元へ狼達が次々とスライムを咥えてやって来る。ライム達は何匹ものスライムを包んで連れてきた。
「ドーラさん、ミーユ、テイムしてください」
次々に連れて来られたスライムは千近くになり、ハルキ達がテイムし終わるとバニラの指示か、順番にトリケラトプスに乗って行く。
「ワォーン」
半分程のスライムを残してトリケラトプス達はバニラの声で北の丘へと向かって行った。
「ハルキ、流石に少し疲れたな」
「ドーラさん、魔力回復のポーションもあります。一応飲んでください。ミーユも」
二人に魔力回復のポーションを飲ませるとバニラが北へと動き出した。
結局その後に青色のヒョウの魔物を数頭と、角の生えた銀色に光るライオンの群れをハルキ達ははテイムした。
そしてその全てにスライム達が乗り込んでいった。
ハルキ達がテイムした魔物とは別に、バニラはチーターや狼の群れ、そして数百頭の牛の群れを配下にしていた。それにもスライムが乗っている。
「ハルキ、これ以上は遅くなるのは避けたい。後は真っ直ぐ帰ろう」
「そうですね。バニラ、魔物のいない所を通って帰ろう」
「ワンッ!」
狼達の露払いで魔物のいないルートを通ったハルキ達が家に帰り着いた時には日は落ちて、辺りが薄暗くなっていた。




