第29話
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朝早くミーユは朝食と弁当の準備を始めた。ハルキは既に外にトレーニングに出かけている。
「みんな、ありがとうね」
ミーユの元へ次々に収穫した野菜を届けるスライム達。多すぎると思われる分は勝手にマジックバッグに入れていく。
食事の準備ができた頃にはハルキも戻り朝風呂に入る。
「それじゃ行こうか。特に荷物はないね」
「はい、ご主人様。お弁当だけです」
バニラとライム、それに大牙狼のチョコと数匹のスライムを連れてハルキ達はランラプトルに乗り出発した。
「もう道が出来てるのわかってるからすぐに着くよ。バニラ、雲切隼とランラプトルだけはいたらテイムしよう」
「ワンッ」
上空では二羽の雲切隼が周囲を散策しているが、今の所はその気配はない様だ。
「ミーユ、昨日も言ったけどサノに戻ったらやってもらいたい事がある。まだドーラさんから返事は貰えて無いんだけどね」
「はい。どういった事でしょうか?」
「ミーユには医者の勉強をしてもらう。今ミーユが使えるのは治癒魔法だけだけど、診察と薬師の勉強なんかは医者を紹介してもらう事になってるから、下について教わってきて」
「は、はい。ですがご主人様、その様な機会を奴隷に与えるのは流石にやりすぎでは?」
「だから、俺は星の民だから奴隷の使い方なんか知らないんだって。
俺の中では自分の従業員に勉強させるのは普通の事だから」
「わかりました。必死に教わってご主人様のお役に立てる様になります」
「うん、無理しない程度に頑張ってよ。今の所は家の事もしてもらうつもりだからさ」
「はい。ありがとうございます」
その後も森を走り続けていつもの倒木を抜けて道まで辿り着く。
「ここまで来たらゆっくりでも昼には着くね。バニラ、疲れない程度でね」
「ワン」
バニラ達はまだまだ余裕がありそうだ。
「チョコ、お前も大丈夫か?」
「ワンッ」
ちびっ子大牙狼のチョコもまだまだ元気な様だ。
そのまま流して走り、昼前にはウワノ村まで辿り着く。村の入口てはドランが見張りに立っていた。
「あっ、ドランさんだ。お久しぶりでーす」
「おお、ハルキ殿。ようこそウワノ村へ。ドーラもさっき着いて休んでおる所じゃ。さぁさぁハルキ殿もゆっくりしてくだされ」
「はい、ありがとうございます。
ドランさん、紹介しておきます。彼女は自分の奴隷のミーユです。奴隷ですが家族の様なものなので、よろしくお願いします」
「おぅおぅ、ドーラから一応聞いてはおるよ。ミーユ殿、ワシはこの村の村長で、ドーラの父、ドランだ。
よろしくのう」
「は、はい。ミーユと申します。よろしくお願いします」
「ハルキ殿にとっては奴隷かも知れんが、ワシらには関係の無い事じゃ。客人として一緒にゆっくりしていってくだされ」
「ありがとうございます。私に出来る事が有れば手伝わせて頂きますので、ご主人様に仰ってください」
「ミーユ、ここは甘えさせて貰おう。ドランさん、一緒に休ませて頂きます」
案内された部屋に入るとドーラが村の者と集まっていた。
「ハルキ、来たか」
「今着きました。ドーラさん、待ちましたか?」
「いや、私もさっき着いたばかりだ。今からアニャ様の祠にお参りに行く所だ。一緒に来るか?」
「はい、自分も行きます」
ドーラとハルキとミーユ、そしてバニラ達はアニャの祠にお参りに向かった。道すがらドーラが
「ハルキ、昨日お前がサンに持たせた素材なんだが、結構な品が混じっている。大量に狩れそうなのか?」
「はい、多分。バニラ、あのサバンナはまだまだ獲物がいるよね?」
「ワンッ」
まだまだ狩っても問題ない様だ。
「そうか。それならハルキの家にいるうちにその狩場へ案内してくれ。どんな所か見ておきたい」
「わかりました。ドラゴンの鱗を見つけた所からそう遠くはないので。ランラプトルに乗ったまま行けます」
「それはありがたい。じゃあ、向こうに着いたら頼む」
そのままアニャの祠にお参りしてドランの家、つまりドーラの実家に入る。
「ハルキ、少し休んだらもう出ようか。問題はあるか?」
「特にありませんけど。でもせっかくの実家なのに良いんですか?」
「ああ。父とはハルキが雲切隼を分けてくれたおかげで今はすぐに連絡も取れるからな。
せっかくアニャ様の家に行くんだ。ゆっくり見てみたい」
こうして三人は軽く食事を済ませるとそのままウワノ村を後にした。
「またサノに戻る時に寄るつもりだ。何かあれば雲切隼を飛ばしてくれ」
「ドーラ、心配せんでもこんな村には何も起こらんよ。ひょっとすると星の民が来るかも知れんが、アニャ様の家にお前らが居ればそれもあるまいて」
そう言って笑うドランに手を振って村を出るハルキ達。
バニラを先頭に南へと走りだす
道をそれて森に入り、巨木の倒れている場所まで帰ってきたハルキ達を数頭の狼とスライムが出迎える。
「みんな、迎えに来てくれたのかい、ありがとうね」
ハルキが頭を撫でると狼は嬉しそうに飛び跳ねた。
「ハルキ、私が来た事があるのはここまでだ。この倒れた巨木から奥には行ってはならないと伝えられていた」
「そうなんですね。ウチのスライム達がくり抜いて道を作ったので、ここからもランラプトルに乗ったままで行けます。
一気に帰っちゃいましょうか」
前方を走る狼達のせいか魔物や動物も姿も見ないまま、森が開け広く光の差す場所へ。
その先には一軒の家が立っている。
「あれがアニャ様の家、か」
「はい、ドーラさん。
アニャ様、半兵衛さん、そして俺。
ここがこの世界に来た三人の星の民の現れた場所です」
ドーラは周りを見渡してランラプトルの上でスッと背筋を伸ばす。
「ドーラさん、一応周りを案内します」
ハルキはドーラを連れて家の裏に行き、農地や水路、骨などの置き場になっている所を案内する。
そこでは狼やスライム達が農作業や開拓を続けている。
「あの先からドラゴンの鱗のあった場所に行けます。その先には昨日行ったサバンナがあります」
ドーラはハルキの指した方向をじっと見つめた。
「あの先にドラゴンがいたのか…」
グッと唇を噛み締めたドーラはすぐに元の表情に戻った。
「ハルキ、それにしても敷地が広いな。ハルキがかなり広げたのか?」
ハルキは自分が来た時の敷地との違いを説明した。
「そうだ、ドーラさん。ランラプトル用の水浴びの場所も作りました。早速使ってみませんか?」
昨日作ったばかりのランラプトル用の水浴びの場所へ行き、水路を開けて水を張る。
「すぐに使える様になるはずです。ミーユ、ミーユは家のお風呂の準備を」
「はい、ご主人様」
ミーユはスライムを集めて風呂の準備を始めた。
「ハルキ、何というか、スライムがやっているだけでこれはもう立派な村だな。
農地や水の管理なんか考えたら小さな村より良く出来てる。このまま街が出来てもおかしくないよ」
ドーラは感心してハルキに伝えた。それ程この家の周辺は良く作られていた。
ランラプトルを水浴びさせていると狼やスライムが集まって一緒に水に飛び込んで行く。
「ウチの従魔達はみんな綺麗好きなんです。バニラやライムなんかも毎日風呂に入ってますよ」
ハルキが笑いながらドーラに説明する。そのままスライムや狼に声をかけた。
「お前らは今日は風呂こっちだけだからな〜。
ドーラさん、家に入りましょうか。サバンナは明日でも良かったですよね」
「ああ、そもそも家の中を見たくて来たからな。案内してくれるか」
家に入るとハルキはこの家の結界の魔石を見せた。
「この場所の結界の魔石はあれです。俺が来た時からある物で、最初はもっと色が薄かったです。
今はスライム達が毎日魔力を貯めてかなり濃くなってます」
「大きいな。ワイバーン程ではないがかなりの魔物の魔石だな」
「そうなんですね。確かにこの半分の大きさの魔石も取れた事はないですが」
魔石をマジマジと眺めてドーラは
頷いた。
「ハルキ、アニャ様達の記録はあるか?」
「はい。こっちです」
ハルキはドーラを本棚へ案内する。
「ここにあるのがアニャ様と半兵衛さんの残した本です。
後、この一冊は俺が一応書いている物ですが、大した事はまだ書いてないですね」
「そうか。ハルキ、すまないがしばらくここにある物を読ませてもらっていて良いか?」
「もちろんですよ。俺はミーユと食事の準備をしてますから。ゆっくり見ててください」
日が落ちてドーラが一通り本に目を通し終わる頃にはハルキ達は食事も風呂も準備を終えていた。




