第13話
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「ハルキ、大丈夫か?」
顔面蒼白になったハルキにドーラが心配そうに声をかける。
「ご主人様!」
すぐにミーユもハルキの肩を抱き抱えて寄り添う。ハルキはハッとして口を開いた。
「ごめん、ミーユ。ドーラさんも。
大丈夫です」
エミリーとグウェンも心配そうにハルキに近づいた。
「ミーユ、もう大丈夫だ。
……エミリー、グウェン、悪いが少しの間席を外してくれないか」
「あ、うん。わかった。行こう、グウェン」
二人はハルキを一瞬見て家の外に出て行った。
「ハルキ、大丈夫か? 無理しなくて良いんだぞ」
ドーラがハルキに声をかける。
「大丈夫です。ミーユ、ミーユも座ってくれるか」
「は、はい」
「ドーラさん、ミーユ。言っておかなければならない事があります」
ドーラは既にハルキが何を言おうとしているか理解していた。エミリー達を外させたのもその為だろうと。
一方ミーユは突然顔色を変えて固まった主をただただ心配している様だ。
「…俺は星の民です。今まで黙っていてすみませんでした…」
「ハルキが星の民か。…ハルキ、それは確かな事なのか?」
「確か、と言われても…証明する方法などありませんが俺は星の民です」
「ミーユ、どう思う? ハルキは星の民だと思うか?」
「私に聞かれてもわかりませんが、ご主人様はその様な事で嘘をつく方ではありません」
「…そうか。ハルキ、ミーユとは良い関係を築けているみたいだな。
結論から言おう。最初から知っていたよ」
「えっ!?
…最初からって一体どういう事ですか?」
「私やウワノ村の人間はアニャ様の教えを代々聞かされて育っている。ハルキが実家だという場所や、そこに置いてある書物の内容も、大体の事は理解している」
「だからと言って何故俺が星の民だと?」
「あの家から街に出るにはウワノ村を必ず通る。アニャ様の書物にそこに寄る様に書かれている事も知っている。
そしてその時にハルキが最初に言った言葉や、持っていた剣。あの剣にはアニャ様の紋章が入っているんだ。
その時の様子からうちの父はハルキが星の民だと確信してその旨を書いた手紙をハルキに持たせたのさ」
「…そう、だったんですね。なんか必死に隠してましたよ、俺」
「すまないな。知っている事を伝えても良かったんだが、星の民の希望を優先させるのが使命だったのでな。ハルキはまだ知られたくなさそうだったし。
それに、近しい人間にも隠す事でより広がる事を防げるしな」
「ドーラさん、俺が星の民だから親切にしてくれてたんですか?」
「最初はもちろんそれもある。だがハルキの事を私が気に入ったからに決まっているだろう」
「ありがとうございます。
俺が星の民だと知っているのはウワノ村の人とドーラさん、後はカネさん達サノにいるウワノ村の出身者ですか?」
「…それ以外に二人いる。ギルマスのアートと、領主のピーター様だ」
「領主も知ってるんですね。だからあの時、レイナ姫に会う時に顔を出したんですね」
「そういう事だ。私としてはまだ誰にも伝えていないうちにソータが貴族の使いとしてハルキを探しに来てびっくりしたよ」
「レイナ姫を助けたのは本当にたまたまですからね」
「それはすぐに理解したよ。だから慌てて領主にも伝えたんだからな。本当はもう少しハルキの様子を見てから伝えるつもりだったんだが」
「そうだったんですね」
「ああ。星の民の力はかなり知られている。領主や国王陛下も無視出来る事ではないんだ。
ウワノ村はまた少し違う。
アニャ様の教えを引き継いで、星の民の手助けをする。その為にウワノ村はあの場所にあり続けている。
とはいってもハルキで二人目だかな」
「半兵衛と俺ですね」
「そうだ。だからハルキに半兵衛の刀を渡した。同じ世界から来たなら馴染むかと思ってな」
「今思うとウワノ村での扱いとかドーラさんが取っていた態度とか、繋がる部分が多いですね。
その時は全くわからなかったですが」
その後しばらく星の民についてドーラとハルキは話した。
「ハルキ、その話も大事だが続きはまたにしよう。バニラの事だ」
「そうでしたね。バニラの話をしてたんでした」
「ハルキ、バニラはあの家の側で一匹でいたんだよな?」
「多分そうです。まだ小さくて傷だらけで、お腹空かしてました」
「一年前くらいか?」
「そうですね。一年と少し経ったかな、位です」
「おそらくだが…
バニラの一族はドラゴンに挑んで、やられていると思う。
さっき言っただろう。群れと配下の殆どを連れてドラゴンに挑むと。」
「はい」
「バニラは群れが全滅しない為に残されたはずだ。
そして、もしもエンペラーウルフ達がドラゴンを倒していたら、バニラには迎えが来ている。
来ないという事は、恐らく挑んだ者達はもういない」
「はい」
「ハルキがバニラを見つけたのは一年前、そしてバニラはまだ小さかった。
つまりバニラの群れがドラゴンに挑んですぐだったという事だ。
そしてこの前ハルキが持ち帰ったワイバーンの素材とドラゴンの素材。
ハルキ、どういう事だと思う?」
「あの家の南に、今もドラゴンがいるって事ですか?」
「ああ。ほぼ間違いなく。このサノ領の南にドラゴンがいる。ハルキの家の南、そう遠くない所に。
アオの仇であり、バニラの一族を返り討ちにしただろう、双頭の紫龍がな。
ハルキ、これが私が急いでこちらに来た理由だ」
「はい。理解しました。で、ドーラさんはいつ挑むつもりですか?」
「挑む、か。私一人が挑んでどうなるものでもない。
ハルキに忠告しに来たんだよ。バニラがその内ドラゴンに挑もうとするかもしれないと。
だが、とてもじゃ無いがすぐにどうこうできる話じゃない。だからバニラを抑える様に、とな。
ハルキはバニラを見殺しには出来ないだろう。だからバニラがもしすぐにドラゴンに挑むとするならば、ハルキは共に命を落とす。
良いかハルキ。双頭の紫龍に殺される人間が出るならば、次は私の番だ。
もちろん簡単にやられるつもりなど無いし、私がアオの仇をとるんだがな」
「わかりました。早く強くなって手伝います。
バニラ、お前も先走ったらダメだよ」
「ワオーン」
今一つ理解してないが、先走ったりはしない様だ。
「ハルキ、お前は本当に…」
「いや、大丈夫です。
ちゃんと強くなって手伝いますから。な、バニラ」
「ワン」
もちろんだとバニラが返事をする。
「ビョビョビヨーーン」
ライムが自分もいるよとアピールする。
「そうだな、ライム。ライムも一緒に頑張ろう。なんか秘密がなくなってスッキリしました。
ミーユ、ミーユは大丈夫?俺が星の民でも」
「私にとってはご主人様がどこの民かなど、ご主人様の奴隷である事に比べたら何の意味もありません。
お尽くしするだけです」
「そうか。よし、飲み直そう。
ドーラさんもグラスを」
「…まだかなぁ〜」
「…まだですかねぇ〜」
ハルキがスッキリした顔で三杯目のグラスを空にした頃、家の前の道を行ったり来たりするエミリーとグウェンの背中にはまるで演歌歌手の様な哀愁が漂っていた。




