第5話
食事が進みエミリー達がやっと落ち着いた。
「やはりミーユちゃんの食事は最高なのです」
「そうだねグウェン。でもハルキの料理も物凄く美味しい」
「二人共、外食以外はいつもは何を食べてたんだ?」
「とにかく火を通して、塩味です〜」
「貧乏だったからね、お腹壊さないように火をしっかり入れて、塩」
それは流石に何を食べても涙が出るのもわかるレベルだ。
「ご主人様、うちは母が塩だけでも美味しく作ってくれましたが、エミリー様達の様な食べ方も結構一般的ではあります」
ミーユがエミリー達をフォローした。
ハルキが思っていたよりもこの世界の料理は貧相なのかもしれない。
この世界に来てから殆ど自炊とお店だけで食事を済ませていたハルキ。あまり料理が得意でない他人の作る物を口にする機会などなかった。
「ですがお二人は相当料理が苦手ではありますが。
それでもご主人様の指導で今日でもすぐに動けていましたので、多分あっという間に上手になられます」
ミーユも上げたり下げたり忙しい。
「掃除も溜まってるんだろ? ミーユ、二人の家は片付きそうか?」
「最後に行かせて頂いてから変わりなければ、後二日もあればしっかり綺麗に出来るかと」
エミリーとグウェンが目を合わせる。
「それがね、ミーユちゃん」
エミリーが申し訳無さそうに口を開いた。
「何とか二人で片付けようとしたんだけど、上手くいかなかった」
片付けが上手くいかないなんて事かこちらの世界にはある様だ。
「ミーユちゃんの掃除の続きをしていたのです〜。でも何故かやる前よりも家が狭くなったです〜」
「そうですか。ご主人様、後四日程かかるかと思います」
ミーユは冷静だった。
「二人共、家事が苦手なのはわかったから、ミーユの邪魔だけはしない様にな」
その後も宴会は進み、時折ミーユが追加のツマミなどを作る。エミリー達も段々と酔って来たようだ。
「ハルキ、そういえばですがその辺に貼ってある紙はなんなのですか?」
「ああ、ちょっとした目標みたいなもんだ。俺にしかわからないけど、初心を忘れないようにと思ってな」
「初心ですか。エミリー、私達もそんな頃があったですね〜〜」
「そうだねグウェン。でも私達はとにかくお腹いっぱいに食べれる様になる!ってのが最初だったね。
それが今ではこんなに美味しい物をお腹いっぱい食べて、お酒も飲んで。もう目的果たしちゃってるよね〜」
二人は昔を懐かしみながらしみじみと飲み続ける。
「お前ら、結構酔っ払ってるけどちゃんと帰れるのか?」
「大丈夫なのです〜、ここで泊まって明日帰るです〜」
「いや、人が泊まれるように準備してないから」
「ハルキ、何を言うんだ。私達は同じパーティーじゃないか。泊めてくれてもいいだろう」
「依頼は一緒に受けてるけどパーティーを組んだ覚えは無いよ。ほら、動けるうちに帰って。家まで送るから」
「ご主人様、私が送りますので」
「いや、いいよ。夜道だし帰りにミーユが一人になるし」
「帰らないって言ってるです〜。
あっ、そうだエミリー、お風呂に入るです。この家にはお風呂があるです〜」
「いいね〜。よし、お風呂入ろう、お風呂っ!お風呂っ!」
「ホントお前ら勝手だな〜。酔って風呂入ると危ないよ。もうわかったから少し酔いを醒ましておけ。
ミーユ、ちょっと空いてる部屋軽く片付けて。すぐに布団とか買ってくるよ」
「大丈夫ですかご主人様?」
「こんなになったら帰す方が面倒そうだしね。確かこの時間でも店やってるはずだから」
「かしこまりましたご主人様。お部屋はすぐに用意します」
ハルキはバニラを連れてすぐ近くの家具と生活用品の店へ向かう。
閉めかけていた店になんとか間に合い、家具のコーナーでベッドと布団を購入してマジックバッグにしまいすぐに帰る。
「ミーユ、二人は?」
「お風呂に入るから着替えを取りに家に一旦帰ると言われて…」
「なんだそりゃ?アイツらめ」
しばらくしてほろ酔いの二人が
「お風呂っお風呂っ」
と歌いながら帰ってきた。
「なぜそのまま家で寝ないんだ?」
「だって、お泊まり会したかったです〜」
「お風呂も久しぶりだしね〜。お風呂入ったら寝るから大丈夫」
何が大丈夫かわからないハルキを素通りして二人は風呂へ向かう。
「ミーユ、お湯は?」
「準備は出来ております」
「アイツら二人だと心配だから使い方だけ教えてあげて。俺はちょっと飲み直してるから」
「かしこまりましたご主人様」
一気に疲れたハルキがグラスを空にして見た先には
『モテモテになる』
と日本語で書かれた紙だった。
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