第40話
二人になった家でハルキとミーユは整理を始めた。
ハルキがいない間にミーユはある程度片付けてはいたが、実際にハルキが住み出したのは昨日からみたいなものだ。
平家の庭付き四LDKの家は、二人で暮らすには充分な広さだ。外に小さな薪小屋もある。取り壊される予定なので後一年程しか住む事は出来ないが。
家の中を片付け終わった二人は庭を掃除する。
ライムを含めたスライム達が一斉に枯葉などを取り込み、何本かの木が残された。ミカンらしき木は小さな実を付けている。
雑草を取り除いた場所には小さな花壇の跡が現れた。
「ご主人様、ここに花を植えてもよろしいですか?」
「構わないけど。でもミーユ、一年で出る予定だからね、それでもよければ」
「ありがとうございます。種を持っているのでそれを植えさせていただきます」
そう言ってミーユは部屋へ行き、小さな袋から種を取り出して植えて行った。
「何の花の種なの?」
「秋桜です。母が好きだった花です」
ミーユがスライム達に育てる植物を教えて外のテーブルで一息つく。ミーユがお茶を入れた。
バニラとスライム達は嬉しそうに庭を駆け回っている。ハルキの雲切隼、クラウドはミーユの雲切隼と庭の一番高い木の上で肩を寄せている。
「そう言えばミーユ、雲切隼に名前はつけたの?」
「はい。ムーンと呼んでいます」
「ムーンか、良い名だね。スライム達は可哀想だけど名付けは諦めた方が良いかもね。俺もライム以外には名前つけてないし。
ミーユとドーラさんの村の人にテイムしてもらったけど、まだ八〇匹いるからな〜。あっ、それでバニラやライム達にまで様付けはやっぱり変だよ。な、バニラ?」
「ワンッ」
そうだよと返事をするバニラ。
ライムもクルクル回る。クラウドも下に下りてきた。
「みんなもそう言ってるし」
「わかりました、バニラ、ライム、クラウド。これからもご主人様の為に一緒に頑張りましょう」
「ワンッ」
当然だと吠えるバニラ。ライム達もその様だ。
「さぁ、お昼にしようか。簡単に準備出来る物はある?なければ何処か食べに行く?」
「すぐに出来ます。しばらくお待ちください」
ミーユはそう言って厨房に向かった。後ろからスライムが数匹薪を乗せて着いていく。
ハルキはその光景を眺めながら初夏の日差しに包まれる。
「ワン」
バニラが側に来て吠える。ハルキが身体を撫でると気持ち良さそうな顔をしたが、バニラはそこじゃないと額をハルキの手に当ててきた。
ハルキがバニラの額を撫でるとそこには小さなコブの様な物が三つ出来ていた。
「バニラ、これってひょっとして角?角生えて来たの?」
「ワン」
どうやらバニラは魔物だった様だ。エンペラーウルフという名だけわかっていたが、ハルキは敢えて調べていなかった。
ドーラ達はハルキがテイムしているから狼系の魔物だと思っていたが、ハルキはバニラはテイムしていない。
ハルキにとってはこの世界に来て最初の友達で家族だ。魔物でも動物でもどちらでも良かったのだ。
「そっか〜、バニラは魔物だったか〜。でも別にテイムしなくても良いよね、今のままで」
「ワン」
どちらでも構わないとバニラが返事をする。ライムは側でウニョウニョしながら、自分もテイムしなくても関係ないとアピールしている様だ。クラウドは木の上でこちらを見てコキコキと首を振っている。
「ご主人様、もうすぐ出来ますのでお入りください〜」
ミーユの澄んだ声が庭に響いた。
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