第37話
「ハルキ、すまないが査定には数日かかると思う。構わないか?」
「特に問題はありません。すぐにお金がいる事もないので。剣を買わなきゃいけないですけど、その位の待ち合わせはありますし」
ハルキはあの家に剣を置いて来ていた。アニャの紋章が入っている剣だ。それもアニャの本に書いてあったのだが、一度街へ行ったらこの家に戻す様に記されていた。
ハルキは次に来た人の護身の為だと思っているが、本当はウワノ村の人間があの剣を持つ人間が来た時に、その人間が星の民だと気がつく為だ。
「あの剣を置いてきたのか」
ドーラは何か考えている。
「ハルキ、少し待っていろ」
しばらくしてドーラは一本の刀を手にやってきた。
「ハルキ、これを使ってみないか?これは『百姓武士』と呼ばれた過去の英雄、大野半兵衛の刀だ」
ハルキはビクッとした。
大野半兵衛、ハルキの前に来ていた大正時代の日本人の転移者。
呼び名は初耳だった。英雄と呼ばれている事も。
「えっと、よくわからないですが大事な物でしょう?ドーラさんは使わないんですか?」
「百姓武士の残した剣や刀は結構ある。私は剣を使っていて刀は殆ど使う事はないんだ。ハルキならうまく使えそうな気がしてな。
ドラゴンの素材の礼だ、受け取ってくれ」
そう言ってドーラはハルキに刀を渡した。日本刀によく似ている。ハルキは元の世界では日本刀など持った事はない。だが妙にしっくりきていた。
「ありがとうございます。使わせてもらいます」
「ああ、そうしてくれ」
ハルキは刀を抜いて二、三度振ってみる。
「ワン」
バニラが良いんじゃないかと吠える。
「ドーラさん、なんか凄く馴染む気がします」
「そうか、それは良かった。癖はあるがモノは間違いなく良い物だ」
「ありがとうございます。結局お世話になってばかりですね」
「いや、こっちのセリフだよハルキ。ウワノ村の事に素材に、ドラゴンの事までな。
そういえば話は変わるがミーユにはもう会ったのか?」
「いえ、帰って来てすぐにギルドに来たのでまだです。表でエミリーとグウェンには会いましたが」
「そのエミリー達の事なんだが。アイツら他人の奴隷を買い取るにはどうしたら良いか私に聞いて来たぞ?
今の所有者と奴隷本人の合意が無いと無理だとは言っておいたが。
アイツらが何をさせているか知らんが、お前もその、ミーユじゃないと、とか、ス、スッキリとか、なんか溜まってとか、色々あるんだろ?
じ、自分からもちゃんと言っといた方が良いぞ。だ、大事な奴隷ならな」
ちょっとハルキには伝わりにくい部分もあったが、ハルキはさっきの二人の態度を思い出す。
「そういえば、鬼とか奪うなとか色々なんか言われましたね。今日はもう帰ってミーユに話を聞いてみます。ドーラさん、依頼は何日かしてから受け始めるつもりです」
「ああ、わかった。落ち着いたら飲みにでも行こう。ミーユによろしくな」
ハルキはバニラ達とスライムをゾロゾロ連れて出て行く。
「そうだハルキ、そのスライム達はどうするつもりなんだ?」
「一応全部ミーユにテイムさせて家の手伝いとかさせようと思ってますけど?」
「やっぱりか。まぁ、ハルキの連れてきたスライムだから大丈夫かも知れんが、普通は数匹もテイムしたら魔力持ってかれてぶっ倒れるぞ。
ミーユにテイムさせるならちゃんと様子見ながらやるんだぞ」
「わかりました、ありがとうございます」
そのままギルドを出てまだ一泊しかしていない家に向かうハルキであった。
が、我慢出来ずに途中で公衆浴場に立ち寄り、大きな湯船でこの数日の疲れを癒しているのだった。
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