第36話
ハルキがギルドに駆け込むと受付には天然娘が立っていた。
「ドーラさんは?」
「ハルキさん、良いですか?
私は新人ですが受付嬢としての仕事はもう殆ど全部こなせます。いえ、もうドーラさんを超えている部分もあるかも痛いっ!」
後からドーラの拳骨が落ちていた。
「ハルキ、今着いたのか。よく来てくれた。バカ娘、応接室にまともな茶を二つだ。ハルキ、行こう」
応接室でハルキはお茶を飲みながらこの数日の内容を伝えていた。
「村の皆にスライムか。今連れてるのと同じ位の強さなら相当だな。それにしてもハルキ、一体どれだけテイム出来るんだ?」
「うーん、とりあえずスライムばっかり百匹テイムしてやめたのでどの位いけるかはよくわからないですね。魔力は今の所問題無いです」
「百って、無茶苦茶な数字だな。まぁハルキだからな」
納得するドーラ。戦闘能力ではドーラの圧勝なのではあるが。
「それで、ワイバーンの素材とドラゴンらしき鱗と牙か。裏で見せてもらえるか」
裏の解体所でマジックバッグから取り出す。解体の職員も何人か立ち会っている。
「まずはワイバーンの素材ですね。これが骨、こっちが皮ですね」
「「おお〜」」
巨大な骨と皮がそこに並び、職員達が感嘆の声をあげる。
「確かに背中の部分が抉られているな。だが、ギルドにワイバーンの素材が入る事など久しぶりの事だ。しかもほぼ全体が残っているなど、滅多にあるもんじゃない」
「そうなんですか?貴族の配下がテイムしている位だからたまにはあるのかと思ってました」
「貴族が外には滅多に出さないんだよ。殆どはお抱えの職人に加工させて配下に持たせて終わる。たまにおこぼれが市場に出回る程度だな」
「そういうもんなんですね」
「ああ、ギルドとしては久しぶりのワイバーンの素材だ。有難いよ全く。
お前ら、久しぶりのワイバーンだ。処理は完璧にな」
「「おおー!!」」
解体の職員達もテンションが上がっている様だ。
「で、ハルキ。ドラゴンらしい牙と鱗を見せてくれ」
「ああ、はい。これですね」
マジックバッグから牙と鱗を五枚取り出す。
鱗を目にした瞬間にドーラの目の色が変わる。
「ハルキ、これはやはりドラゴンのものだ。しかもこの暗く光る紫は、多分、いや、間違いなくアオを殺した双頭の紫龍のものだ」
「アオを殺したドラゴンって。これだけでそんな事までわかるんですか?」
「ハルキ、世界にどの位の数のドラゴンがいるか知ってるか?」
「いえ、知りません。てかわかってるんですか?」
「成竜として確認されているもので二十一頭だ。勿論、まだ知られていないドラゴンがいる可能性も無いとは言えないが、おそらくいないだろう。
ドラゴンは赤竜、青竜、黒竜が殆どで、白竜も二頭だけ確認されている。
その二十一頭の中にこの色を持つドラゴンは一頭しかいない。
それが私とアオの仇、双頭の紫龍だ」
ハルキは何と言えば良いかわからずに黙り込んだ。ドーラが前にまだ復讐を諦めてはいないと言っていたからだ。その空気を感じたのかドーラが口を開く。
「ハルキ、私の仇という部分はとりあえず置いておこう。とりあえずこれもギルドに卸して欲しい。
流石に全部引き取ったのがバレると領主からクレームが来そうだから、一枚は献上した方が良いかもしれない。残りの四枚の内一枚有ればワイバーンの素材と組み合わせれば相当な防具が数人分は作れるだろう。
処理はこちらでするからそれで良いか?」
「ドーラさんにお任せします。自分とエミリー達、後はミーユの分も。それとドーラさんの分も作れますか?」
「勿論作れるが良いのか?普通じゃドラゴンの素材なんて人生で回ってくる方が珍しい程のものだぞ」
「構いません、他に知ってる人もいないし。知ってる人が安全になるならその方が良いです。
レイナ姫達の分は献上するならそれで足りるでしょうし」
「わかった、ハルキ。そうさせて貰おう。私の分はちゃんと私が買取りするから安心してくれ」
「ドーラさん。俺、ずっとドーラさんにお世話になってるんでそのお礼だと思ってください。
それに、ドーラさんがいつか仇討ちに行くなら、装備は良いに越した事はないでしょう?」
「そうか、ハルキ。わかった。
恩にきる」
「あっ、でもドーラさん。いきなり一人で行ったりしないでくださいね。先走ったら駄目ですよ」
「ハルキ、私もまだあのドラゴンに勝てるとは思っていないよ。だが、やっと奴の痕跡を見つけたんだ。今日からまた自分自身を鍛え直す事にするよ」
ドーラはグッと拳を握りしめていた。
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