第34話
次の日の朝スッキリと目覚めたハルキ。
一年と少し過ごしたこの家のベッドにハルキの体はかなり馴染んでいた様だ。街に行ってからは清潔だが宿暮らしだった為、今ひとつ疲れが抜け切っていなかったのかもしれない。
朝食を取り、奥の森へ向かう為家を出るハルキ達。ハルキは約半数のスライムを呼び、一緒に連れていく事にした。
バニラの一声で狼達も集まって来た。狼の背中をスライム達が取り合いし、今日の騎乗者が決まったところで出発した。
元々ハルキは家の裏側の森へは殆ど足を運んでいない。街のある方向へと探索を続けた為だ。
スライム達はハルキと違い、家を中心に敷地や農地を広げていた。道を作った為幾分かは表側の方が広くはなっていたが。
残されたスライム達が畑を掘り返している横を抜けてハルキ達は森へ入った。
大きな獣道を雲切隼が先を行き、スライムの乗った狼が少し離れてハルキ達を囲む。バニラとハルキの後ろから約四十匹のスライム達がついてくる。
ハルキの頭よりまだ上の高さの枝が折れている。この獣道はスライム達があのワイバーンを運んだ道だろう。ライム並とはいかなくてもあれだけ育ったスライムが百もいたらこの森の中をワイバーンを運ぶ事位は余裕で出来そうだ。
昨日までに比べて獣や魔物の気配がある。昨日片付けたばかりだが、ワイバーンの骨をマジックバッグにしまった事で何か変わったのかもしれない。
クラウドが見つけ、狼達が囲み、バニラとライムが一気に屠る。スライム達がハルキの側まで狩った魔物を乗せてくる。
何度か繰り返しながら進むうちに日は高く登っていた。
「みんな、お昼にしよう」
ハルキの声に皆が集まり、食事を取る。周辺の警戒をしている狼達も入れ替わりながら。
さっき狩った猪などを広げてみんなに与える。
「クラウドも一度戻って」
ハルキがクラウドに声をかけるとすぐにクラウドは戻ってきた。だが何故かクラウドはもう一羽、雲切隼を連れていた。
「えっ?クラウド?この子は誰?」
ドーラやエミリー達がテイムした個体とは違う、新たな個体の様だ。
何故か逃げようともしないのでハルキはそのまま餌を与えてテイムする。これでドーラに頼まれたドランの従魔が用意出来た。
「ありがとう、クラウド。お手柄だね」
良く撫でて褒めるハルキ。
「ワン」
自分も出来たけど譲っただけだとバニラが吠える。ライムも飛んで広がってアピールする。
「ありがとう、わかってるよ」
バニラとライムも撫でるハルキ。
いつの間にかその後ろにスライム達の列ができており、さらに狼達も並んでいた。
ハルキは苦笑いをした後その全てを撫でて、長い昼休みが終わった。
キョロ充の習性なのか、慕ってくれる者の頼みはまだ断る事など出来ない様だ。
撫でて使った時間を取り戻すべく一気に進むハルキ達。
獣や魔物も向こうが逃げ出すなら無理に追わず先を急ぐ。
「ワオーーン」
バニラの号令が森に響き全体が止まる。どうやら辿り着いた様だ。
「ここだね、皆。その辺の痕跡を集めてくれるかな」
痕跡という程はもう残っている物はなかったが、その中でバニラが大きな牙を一本咥えてハルキの元へやってきた。かなりの大きさで、ワイバーンのものより二回りは大きい。
「これ、ドラゴンだよな〜」
スライム達が鱗を数枚集めてきた。
「これもドラゴンぽいよね」
他には特に残された物は無さそうだ。上空で襲われたワイバーンの抵抗の結果だろうか。
バニラはもう何も無いという顔でハルキを見る。
「よし、場所もわかったし帰ろう。帰りはなるべくワイバーンを運んだ痕跡は消しながら行こう。
みんな、よろしくね」
スライム達が葉や枝に付いた血などを取り込みながら帰り道を進む。なんとか日の暮れる前に家までたどり着き、ハルキは今日も風呂の準備を始めた。
次の日の朝、ハルキは久しぶりに帰っていた家を後にした。
「みんな、ぼちぼちやっててね。もし、ここに人間が現れても攻撃しないで助けてやってね。ここにいるスライムは味方だって書き置きしてあるから」
来た時とは違い、ハルキの側にはバニラ、ライムの他に二十匹のスライムが行動を共にしていた。
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