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アラフィフになったキョロ充、異世界に行く  作者: アカピロ
第三章 キョロ充、冒険者に就職する
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第27話

いつもありがとうございます。感謝です。

 次の日、明け方の街を走るハルキ達。

 夜遅くまで考え過ぎたのか寝過ごしかけたが、バニラとライムに叩き起こされた。


「後五秒寝たら起きるから〜」


 などと腑抜けた言葉を吐くハルキの腹の上に最後は結構な勢いでライムが落ちてきた。

 五十年近く努力もしてこなかった男の中身はまだ変わり切ってはいないのか。

 それでもなんとかやる気を引き出して、昨日までよりもペースを上げて走っている。天高くからは二羽の雲切隼が見守っていた。


 宿に戻り汗を拭いているとと昨日伝えた様にミーユがやってきた。


「おはようございます、ご主人様」


「おはよう、ミーユ。よく眠れたかい?」


「はい、おかげさまで」


 スッとタオルをハルキから奪い汗を拭くミーユ。そのまま着替えまで手伝う。


「朝食の前に済ませようか、庭に行こう」


 二人が庭に出てハルキが雲切隼を呼び寄せる。


「なんとなくで良い、気が合いそうな方を抱いて」


 言われるがままミーユは一羽を選び抱く。


「しばらくそうしてて。意識が通った気がしたら声かけて。解放するから、そのままテイムしてみてくれる?」


「はい、ご主人様」


 じっと雲切隼を見つめながら優しく抱くミーユ。


「ご主人様お願いします」


 しばらくしてミーユがハルキに声を掛ける。


 ハルキが解放しミーユは雲切隼を抱いたまま唱える。


「テイム」


 ミーユが身体をビクッと振るわせる。うまくいった様だ。


「さぁ、これでその雲切隼はミーユの従魔だ。仲良くしてやってくれ」


「私の従魔…あ、ありがとうございますご主人様。大切にいたします」


「ああ、よろしくね」


 少しの間ハルキが教えるだけで筋が良いのかミーユは雲切隼をかなり自由に扱っていた。

 安心したハルキは雲切隼を高く飛ばしてミーユもそれに倣う。


「用事がある時だけ呼べば良いから後は自由にさせてて」


「はい、ご主人様」


 その後の朝食でもミーユを座らせて一緒に取る。食後に部屋でハルキはミーユに少しのお金を持たせた。


「悪いけどここの籠の中の物を洗濯しといてもらえるかな、いつも休みに纏めてしてるんだけど溜まっちゃって。店主に言えば洗い場とか教えてもらえるから」


「ご主人様、奴隷にそういう言い方はするものではありません。後、このお金は?」


「お昼代と、後は何か要る物あったら買って良いから」


「普通は奴隷に昼食など与えません。それにいくらなんでも多すぎます」


「いや、でも俺がいない間になんかあると困るからさ。もし困ったらギルドに行ってドーラさんに伝えてくれれば良いから。じゃあ、そろそろ行くよ」


「お待ちくださいませ、ご主人様」


 ミーユがハルキを呼び止める。


「無事のお帰りをお待ちしております。どうか、どうかお怪我などなさいませんよう」


 振り向いたハルキはミーユの頭をなでる。


「ちゃんと帰ってくるよ。ミーユもお昼ご飯ちゃんと食べなきゃ駄目だからね。じゃ、行ってきます」


「行ってらっしゃいませ、ご主人様」


 ギルドにつくとドーラがカウンターにいる。


「おはよう、ハルキ。どうだった?うまくやっていけそうか?」


「おはようございますドーラさん。ミーユで良かったです。お陰で長い事溜まってたものが出せてスッキリしました。今日からより頑張ります」


「そ、そうか。そんなに良かったのか。スッキリしてしまったのか。それは良かった、な」


 少し暗い顔になってドーラが答える。そこにエミリーとグウェンもやってきた。


「おはよう、ハルキ。ドーラさんも」


「二人ともおはようなのです。ドーラさん、何か顔色悪くないです〜?」


「グウェン、なんともない、なんともある訳がないだろう」


 よくわからないドーラの返しに苦笑いで返すグウェン。


「ドーラさん、俺今日からなるべく稼ぎたいんです。エミリーとグウェンとで一番稼げる依頼をお願いします」


 ハルキから溢れるやる気のオーラ。エミリーとグウェンも気がついたのか少し引き気味になっている。

ドーラは表情を戻して言う。


「あ、そうだなハルキ。普通は護衛なんかの方が単価が高いんだ。だがお前らの場合は金額が決まっている依頼よりも採集や討伐の方が結果稼げるからな」


 バニラとライムに加えて三人全員が雲切隼を従魔にしている。強さと索敵能力が兼ね備えられているハルキ達は普通の冒険者とは比べ物にならない速度で採集などをこなす。

 結果稼げるのはそういった依頼になるのだ。


 結局今まで行っていない、西門の先にある森で羊の魔物を狙う事にした。

 羊の魔物はかなり高い値がつく。体は大きく元の世界の牛くらいある為、マジックバッグが無いと素材を持ち帰るのが大変である。

 また警戒心が強く逃げ足も速い為探しにくい。なのに向かって来ると強いという中級の冒険者だと中々厳しい相手だ。

 なので数は結構いるはずだが仕留められてギルドに持ち込まれるのは極少数である。

 

 ハルキは昨日の夜遅くまで色々考えていた。


 これからこの世界でこれからも生きていくと決めた。

 元の世界では結局フラフラしていたままだった。どこか身軽でいたかったのだ。

 だがこれからはこの世界で生きていく。ミーユという奴隷も買った。

 ハルキは一年以内に家を買うと決めた。ローンがあるのか知らないが、あっても通らないだろう。一年で家を買う現金を手にする。

 家を買って確固たる自分の、自分とミーユの居場所を持つ。その為には強くならなければいけない。賢くならなくてはいけない。

 そして何より自分の家を持つという覚悟を決めなくてはいけない。

 ハルキは身軽さを捨てる決意をして今日から臨んでいた。

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